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Ep1 あなたひとりの章(6)

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「では、私はこれで失礼しますね。夕食の準備が出来たらお呼びします」

 オーナーの声が部屋に響き、ドアが閉まる。
 そして二人になると同時に、友達は口を開いた。

「夕食まで時間あるみたいだな。どうする?」

 スキーで疲れたから、ぼーっとしていたいと、あなたは答えた。
 すると、友達は薄く笑いながら口を開いた。

「若さが無いなあ」

 これにちょっとムっとしたあなたは軽く反論した。
 何か他にやることある? と。
 友達は少し考える様子を見せてから口を開いた。

「本当は夜に見ようと思って持ってきたものだけど、映画があるぞ」

 まさかこいつは、こっちはスキーで疲れてるのに、映画でオールさせるつもりだったのかと、あなたは聞き返そうと思ったが、それよりも先にテレビのほうに視線を移した。
 テレビにはちゃんとプレーヤーが設置されていた。
 ここに予約の電話を入れたのは友達だ。その時に部屋の設備について聞いていたのかもしれない。
 それなら、ここで映画を見ながらダラダラ過ごすのはいいかもしれない、あなたがそんな答えを返すと、友人はとんでもないことを言い出した。

「じゃあさ、下の広間の柱時計の横に大きなディスプレイがあったよな? それで観ないか?」

 それはちょっとマズイのでは? あなたはそう答えた。
 なんで? という友人の問いに対しての答えは単純なものだった。
 他の客の迷惑にならないか、ということだ。
 確か、一組いるはずだ。
 その人たちも広間のテレビを使いたがる可能性は十分にある。自分達が占領していいものとは思えない。
 あなたが発したその指摘は当然で常識的でもっともであったが、それでも友人はあきらめなかった。

「まあ、とりあえずオーナーに聞いてみよう」

 言いながら、友人はドアの方に歩き始めた。
 暇なのであなたもついていこうとしたが、あることを思い出したあなたは「ちょっと待って」と友人を呼び止めた。
 そしてあなたがその用事を済ませるために携帯を取り出すと、察した友人は口を開いた。

「充電か?」

 うん、と、あなたが答えながら慣れた手つきで充電をセットし始めると、友人はそれを急かした。

「はやく行こう」
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