6 / 55
Ep1 あなたひとりの章(6)
しおりを挟む
「では、私はこれで失礼しますね。夕食の準備が出来たらお呼びします」
オーナーの声が部屋に響き、ドアが閉まる。
そして二人になると同時に、友達は口を開いた。
「夕食まで時間あるみたいだな。どうする?」
スキーで疲れたから、ぼーっとしていたいと、あなたは答えた。
すると、友達は薄く笑いながら口を開いた。
「若さが無いなあ」
これにちょっとムっとしたあなたは軽く反論した。
何か他にやることある? と。
友達は少し考える様子を見せてから口を開いた。
「本当は夜に見ようと思って持ってきたものだけど、映画があるぞ」
まさかこいつは、こっちはスキーで疲れてるのに、映画でオールさせるつもりだったのかと、あなたは聞き返そうと思ったが、それよりも先にテレビのほうに視線を移した。
テレビにはちゃんとプレーヤーが設置されていた。
ここに予約の電話を入れたのは友達だ。その時に部屋の設備について聞いていたのかもしれない。
それなら、ここで映画を見ながらダラダラ過ごすのはいいかもしれない、あなたがそんな答えを返すと、友人はとんでもないことを言い出した。
「じゃあさ、下の広間の柱時計の横に大きなディスプレイがあったよな? それで観ないか?」
それはちょっとマズイのでは? あなたはそう答えた。
なんで? という友人の問いに対しての答えは単純なものだった。
他の客の迷惑にならないか、ということだ。
確か、一組いるはずだ。
その人たちも広間のテレビを使いたがる可能性は十分にある。自分達が占領していいものとは思えない。
あなたが発したその指摘は当然で常識的でもっともであったが、それでも友人はあきらめなかった。
「まあ、とりあえずオーナーに聞いてみよう」
言いながら、友人はドアの方に歩き始めた。
暇なのであなたもついていこうとしたが、あることを思い出したあなたは「ちょっと待って」と友人を呼び止めた。
そしてあなたがその用事を済ませるために携帯を取り出すと、察した友人は口を開いた。
「充電か?」
うん、と、あなたが答えながら慣れた手つきで充電をセットし始めると、友人はそれを急かした。
「はやく行こう」
オーナーの声が部屋に響き、ドアが閉まる。
そして二人になると同時に、友達は口を開いた。
「夕食まで時間あるみたいだな。どうする?」
スキーで疲れたから、ぼーっとしていたいと、あなたは答えた。
すると、友達は薄く笑いながら口を開いた。
「若さが無いなあ」
これにちょっとムっとしたあなたは軽く反論した。
何か他にやることある? と。
友達は少し考える様子を見せてから口を開いた。
「本当は夜に見ようと思って持ってきたものだけど、映画があるぞ」
まさかこいつは、こっちはスキーで疲れてるのに、映画でオールさせるつもりだったのかと、あなたは聞き返そうと思ったが、それよりも先にテレビのほうに視線を移した。
テレビにはちゃんとプレーヤーが設置されていた。
ここに予約の電話を入れたのは友達だ。その時に部屋の設備について聞いていたのかもしれない。
それなら、ここで映画を見ながらダラダラ過ごすのはいいかもしれない、あなたがそんな答えを返すと、友人はとんでもないことを言い出した。
「じゃあさ、下の広間の柱時計の横に大きなディスプレイがあったよな? それで観ないか?」
それはちょっとマズイのでは? あなたはそう答えた。
なんで? という友人の問いに対しての答えは単純なものだった。
他の客の迷惑にならないか、ということだ。
確か、一組いるはずだ。
その人たちも広間のテレビを使いたがる可能性は十分にある。自分達が占領していいものとは思えない。
あなたが発したその指摘は当然で常識的でもっともであったが、それでも友人はあきらめなかった。
「まあ、とりあえずオーナーに聞いてみよう」
言いながら、友人はドアの方に歩き始めた。
暇なのであなたもついていこうとしたが、あることを思い出したあなたは「ちょっと待って」と友人を呼び止めた。
そしてあなたがその用事を済ませるために携帯を取り出すと、察した友人は口を開いた。
「充電か?」
うん、と、あなたが答えながら慣れた手つきで充電をセットし始めると、友人はそれを急かした。
「はやく行こう」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
不労の家
千年砂漠
ホラー
高校を卒業したばかりの隆志は母を急な病で亡くした数日後、訳も分からず母に連れられて夜逃げして以来八年間全く会わなかった父も亡くし、父の実家の世久家を継ぐことになった。
世久家はかなりの資産家で、古くから続く名家だったが、当主には絶対守らなければならない奇妙なしきたりがあった。
それは「一生働かないこと」。
世久の家には富をもたらす神が住んでおり、その神との約束で代々の世久家の当主は働かずに暮らしていた。
初めは戸惑っていた隆志も裕福に暮らせる楽しさを覚え、昔一年だけこの土地に住んでいたときの同級生と遊び回っていたが、やがて恐ろしい出来事が隆志の周りで起こり始める。
経済的に豊かであっても、心まで満たされるとは限らない。
望んでもいないのに生まれたときから背負わされた宿命に、流されるか。抗うか。
彼の最後の選択を見て欲しい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる