らぶこめ！ わたしのツンが消える時

第七話 ふわふわであまあま(2)

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　そして秋のある日、わたしはやらかしてしまったのだ。
　彼から借りた化学のレポートを返し忘れたのだ。
　それだけじゃない。今朝は弁当も渡せなかった。渡すついでにレポートも返すつもりだったのだ。
　こうなってしまったのはわたしが寝坊しちゃったからである。
　買ったばかりのゲームが面白くてつい……。最初は軽い夜ふかしのつもりだったんだけど……。
　とにかくすぐに返さなくてはならない。たしか、彼は今日の四時間目が化学で、その時に提出しなければならなかったはずだ。
　休み時間に弁当と一緒に持っていけばいいだろう。
　そう、たったそれだけのこと。難しいことじゃない。普通は。
　しかし今のわたしにはそんな単純なことすら難しかった。
　わたし達が恋人同士であることは学校では秘密にしているからだ。
　一緒に登校していることは既に知られている。
　だが、あくまでも友達。ただの友達。周囲にはそう認識されているはずだ。登校以外に接点が無いように見えているはずだ。
　しかしレポートと一緒に弁当まで渡したら……周囲にどう思われるのかは明らかだ。
　じゃあ今日は弁当をあきらめてもらう？　レポートだけ返す？
　でもそれじゃあ彼がお腹をすかせてしまう。

（～～っ）

　そしてわたしが授業中に悩んで出した答えは、

（やむを得ない！）

　彼につらい思いをさせるわけにはいかない、レポートと一緒にお弁当も渡す、であった。彼への思いやりが勝ったのだ。