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第二話 夏だから気前よく大胆に(3)
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「え?」
部活が休みだったある日の朝、突然家にやってきた彼が言った言葉に、わたしは思わず聞き返した。
彼は恥ずかしがりもせずに、もう一度言った。
「遊びに行こう」
正直困った。驚いた。
だから、
「遊びにって……どこに?」
わたしは時間稼ぎのような質問を返した。
これにも彼ははっきりと、そして薄い笑みと共に答えた。
「どこでもいいよ。映画でもいいし、軽く何か食べに行くのでもいい」
彼がそう言った直後、わたしの背後から声が響いた。
「いいじゃない。一緒になにか食べてきたら」
それは母の声だった。
どうやら盗み聞きしていたようだ。
母は彼の前に姿を見せ、私の真後ろに立ちながら再び口を開いた。
「そのほうがわたしも助かるもの」
そして母は「はいこれ」と言って、わたしの手にお金を握らせた。
「……」
わたしは何も言えなかった。
応援されている、それが丸分かりだったゆえに恥ずかしくなったからだ。
◆◆◆
そして俺は彼女をあちこちに連れ回した。
ゲームセンターで遊んだり、マンガ喫茶で時間を潰したり、喫茶店でケーキを食べたり、映画を見たり、とにかく色々やった。
お金はほとんど俺が払った。
彼女がバイトをやっていないことを知っているからだ。高校生の小遣いだけではこのような派手な遊びは難しい。それに、金目当てで付き合うような女の子じゃないことも分かっているからだ。
だが、夏らしい遊びは、プールや海へのお誘いははっきりと断られてしまった。
恥ずかしいからイヤ、彼女の答えはそれだけだった。
だが、俺はあきらめなかった。
同じ夏の遊びでも露出が低いものならば通る、その可能性に賭けることにした。
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