らぶこめ! わたしのツンが消える時

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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第一話 素直になれない再会(5)

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   ◆◆◆

 彼との雑談を重ねるうちに、わたしは彼が変わったことを知った。
 男らしくなったと感じた。
 話し方が力強い。自分に自信を持っているのを感じる。
 おどおどしていたあの頃のおもかげは微塵も無い。
 あの頃の彼は自分から話そうとはしないタイプだった。
 でも今は違う。
 彼のほうから積極的に話しかけてくる。
 そして気付けば、わたし達は普通の部活仲間のように雑談するようになった。
 だからわたしのほうから声をかけることもあった。

「そういえば、なんでここに入ったの? 前はサッカー部だったじゃない」

 ある日、わたしはふと浮かんだ疑問を彼にぶつけた。
 彼は少し考える素振りを見せたあと、答えた。

「……俺はプロにはなれそうにないと分かったから」
「……?」

 その答えにわたしはモヤっとした。
 なぜなら質問に対しての答えになっていないからだ。
 じゃあ、テニスならプロになれる自信があるんだろうか? だからここに? いや、それも何かおかしい。
 ウソをついている、そう思った。
 だからモヤっとした。
 ウソをつく理由が分からなかったからだ。
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