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第一話 素直になれない再会(4)
しおりを挟む◆◆◆
彼が同じ部に入ったことには驚かされたけど、わたしは平静を装うとした。
だけど、
「じゃあヨノダ君の指導、お願いね」
わたしをこの部に引き込んだ先輩はとんでもない事をわたしに押し付けてきた。
「わかりました」
しかしわたしには拒否できなかった。
気まずいから、そんな理由で拒否したら、あとで何を噂されるかわかったものじゃないからだ。
そしてそんな思いを知ってか知らずか、
「よろしくおねがいします。アサヒナさん」
彼は敬語でわたしにお願いしてきた。
アサヒナさん、他人行儀なその呼び方に、わたしは少しホっとした。
いまさら幼馴染のように振舞われても、どう反応したらいいか分からなかったからだ。
だからわたしはテニスの先輩らしく普通に振舞うことが出来た。
「じゃあ、まずはラケットの握り方から――」
こうしてわたしの高校生活は微妙な感じで始まった。
◆◆◆
彼女が俺に対して壁をつくっていることはすぐに分かった。向こうから話しかけてこないからだ。
それは当然だと思った。俺は自分を変えるために彼女から離れた。それが間違っていたとは思っていないが、当時の彼女からすればそれは裏切りに等しい行為だっただろう。
だったらこちらから話しかけるしか無い、そう思ったからそうした。
久しぶり、それを口実に話しかけた。
最近は何して遊んでる? などの趣味の話から入った。そのような雑談から、中学という空白期間でお互いがどう変わったのかを確認し合った。
俺は見栄を張ってカッコつけようとはしなかった。
こんなゲームをやるだの、あんなマンガを読んでるだの、そういう俗っぽいことを優先して選んで話した。
そうして話しているうちにわかった。彼女も同じだった。彼女の趣味も年相応に変わっていた。
だが、性格などは変わっていないように思えた。
だから当時の俺は安心したのを覚えている。
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