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第一話 素直になれない再会(3)
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わたしはテニス部に入った。
中学の時もテニス部だったから、主な理由はそれだけ。中学の時の先輩から誘われて断りにくかったというのもある。
だから入部に抵抗感は無かった。だから自己紹介にも緊張せずに挑めたのだが、
「……!?」
彼がいたことにわたしは驚いた。
そして彼はわたしの隣に立ち、先輩達に向かって自己紹介を始めた。
「夜野田 一徳(よのだ かずのり)です。テニスの経験はありませんが、一生懸命がんばるつもりです。よろしくお願いします」
このテニス部は男女でわけられていない。部員がそんなに多くないからだ。
だから自己紹介もこうして男女混じってやっている。
そしてわたしは彼に続いて口を開いた。
「朝比奈 小姉(あさひな こあね)です。中学からの経験者ですが、新しい気持ちで頑張ろうと思っています。よろしくお願いします」
新しい気持ちなんてものは本当は無かったが、そこを突っ込んでくるイジワルな先輩は幸いなことにいなかった。
だけど、新鮮な気持ちは無かったけれども驚きはあった。それはごまかしようの無い本心からのものだった。
◆◆◆
部活に入るつもりは最初は無かった。
自由時間をたっぷり満喫するために帰宅部、そのつもりだった。
彼女はテニス部に入るかもしれないとは思っていたが、それを追いかけるつもりは無かった。本当に。
だが、男女がわけられていないということを知って気が変わった。
彼女とプレイできるからでは無い。彼女が他の男と仲良くするのを想像するとモヤモヤしたからだ。
我ながら情けない行動理由だと思う。
しかし理由がなんであれテニス部に入ったのは正解だった。それは断言出来る。
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