110 / 120
中等部編
第十一話 お金ってステキですよね? あ、違いますよ? そういう意味じゃないです。お金って生活に必要じゃないですか。それ以外のry(10)
しおりを挟む
精霊の剣と共に一斉に斬りかかる。
十本の剣が縦横無尽に走る。光の線が幾重にも重なる。
うわーすごい。エッジくんの姿がよく見えなくなるくらい光の線が重なってる。触手を器用に使ってガードしてるエッジくんもすごいけど。
あ、でも、エッジくん少しずつ押されてる。このままいけば勝てそう。もうすぐ壁際だ。
フェンスを背負ったら一気に不利になる。だから、エッジくんは追い詰められる直前に上へ高く跳んで逃げた。
見上げるお姉ちゃんと、フェンスにはりついたエッジくんの視線が重なる。
フェンスを蹴って体当たりの要領で突っ込んでくる気だ。わたしはそう感じ取れた。お姉ちゃんもそう思った。
だけど違った。
感知が外れたわけじゃない。直前でエッジくんは思考を切り替えたのだ。
エッジくんは反対側のフェンスに激突する勢いでわたしの頭上を飛び越えていった。
上手い。逃げられた。裏の選択肢となるもう一つの思考を隠しておいて、直前で切り替える、そんなテクニックもあるのかあ。勉強になるなあ。
距離を取り直して仕切り直し、そうなったのと同時にエッジくんは言った。
「なるほど。もう手加減は必要ないみたいだな」
そう言うと同時に、今度はエッジくんからしかけてきた。
鋭く踏み込んでくると同時にパンチの連打!
軌道はフックやショートアッパーなど、曲線ばかり。触手を振り回すためだろう。
拳が描く光る曲線と、ムチのようにしなる触手の黒い曲線は同時に襲いかかってくる。白と黒のコントラストがちょっとキレイだ。
いやいや、そんなことに感動してる場合じゃない。いろいろとバチバチしてますよ! 魔力のぶつかり合いが激しすぎて、白い雷があちこちに走ってる! これは止めないとマズいのでは?
チラリと審判のほうに意識を向ける。
しかし止めてくれる気配は無い。仕事して?
「うおおおおおぉっ!」
ほら、エッジくん興奮のあまり叫んじゃってるし。はやく止めて? もしもーし!
うわ、エッジくんの気迫が心にびりびりと伝わってくる。はわわわ、これは本当にマズい――
「「っ!」」
瞬間、閃光と共に走った痛みに、わたしとお姉ちゃんの意識は同じように揺らいだ。
エッジくんのパンチが頬をかすった! それだけですごくイタイ! 直撃したらどうなっちゃうの!? やばたん!
はわわわ、揺らいだところにしっかりと追撃してきてる! 寸止めだよね! 寸止めしてくれますよね!
わたしの願いは届かず、直後に閃光と共に衝撃が走った。
しかし走ったのは顔面にではなく両手にだった。お姉ちゃんのガードが間に合ってくれたのだ。
そして鈍い衝撃がもう一つあった。左足だ。お姉ちゃんはガードしながら蹴ったのだ。
お互いによろめき、距離が再び離れる。
ふう、試合を止めるには良いタイミングですね。二人とも、一度落ち着きましょう!
わたしはそう願ったのだけど、この願いも届かなかった。
先に動いたのはお姉ちゃんだった。
宙を舞う精霊の剣が次々と合体し、大きな二本の剣となる。
え? これはまさか? ダメだよ! お姉ちゃん、これはシャレにならないよ!
もしもーし! ダメだ! このお姉ちゃん言うことをきいてくれない! エッジくん逃げて!
わたしはそう心の声を響かせたのだが、エッジくんはわたしのお願いとは真逆の動作をした。
エッジくんは構え、そして叫んだ。
「ダァクネス!」
その声と共に触手が右腕に集合して巻き付いた。
その腕から放たれる気配はもう灰色じゃない。言葉通りの黒だ。
そしてその右腕を引き絞りながら、さらに声を響かせた。
「バァスト!」
声と共に右腕が燃え上がる。
はわわわわ! これは! エッジくんも必殺技的なアレを出すつもりだ!
あわわわわ! マズイマズイマズイ! なんとかして止めないと!
二人とも落ちついて! どうどう、どうどう、くっくどうどぅるどぅわあああああああ! 何を言ってるんだわたしはあああ!
落ち着けわたし! 深呼吸! すーはーすーはー、すーはわわわわ! 無理だああああああああああ! だれかたすけてー!
わたしのテンパりが伝わったのか、リングの外で見ていたおじいちゃんがようやく声を上げてくれた。
「止めろ審判!」
ありがとうございます! でもちょっと遅すぎた気がします!
わたしの予想通り、お姉ちゃんとエッジくんは止まらず、直後に二人の叫び声が重なった。
「テンペスタス・ルシス!」
「ファングッ!」
十本の剣が縦横無尽に走る。光の線が幾重にも重なる。
うわーすごい。エッジくんの姿がよく見えなくなるくらい光の線が重なってる。触手を器用に使ってガードしてるエッジくんもすごいけど。
あ、でも、エッジくん少しずつ押されてる。このままいけば勝てそう。もうすぐ壁際だ。
フェンスを背負ったら一気に不利になる。だから、エッジくんは追い詰められる直前に上へ高く跳んで逃げた。
見上げるお姉ちゃんと、フェンスにはりついたエッジくんの視線が重なる。
フェンスを蹴って体当たりの要領で突っ込んでくる気だ。わたしはそう感じ取れた。お姉ちゃんもそう思った。
だけど違った。
感知が外れたわけじゃない。直前でエッジくんは思考を切り替えたのだ。
エッジくんは反対側のフェンスに激突する勢いでわたしの頭上を飛び越えていった。
上手い。逃げられた。裏の選択肢となるもう一つの思考を隠しておいて、直前で切り替える、そんなテクニックもあるのかあ。勉強になるなあ。
距離を取り直して仕切り直し、そうなったのと同時にエッジくんは言った。
「なるほど。もう手加減は必要ないみたいだな」
そう言うと同時に、今度はエッジくんからしかけてきた。
鋭く踏み込んでくると同時にパンチの連打!
軌道はフックやショートアッパーなど、曲線ばかり。触手を振り回すためだろう。
拳が描く光る曲線と、ムチのようにしなる触手の黒い曲線は同時に襲いかかってくる。白と黒のコントラストがちょっとキレイだ。
いやいや、そんなことに感動してる場合じゃない。いろいろとバチバチしてますよ! 魔力のぶつかり合いが激しすぎて、白い雷があちこちに走ってる! これは止めないとマズいのでは?
チラリと審判のほうに意識を向ける。
しかし止めてくれる気配は無い。仕事して?
「うおおおおおぉっ!」
ほら、エッジくん興奮のあまり叫んじゃってるし。はやく止めて? もしもーし!
うわ、エッジくんの気迫が心にびりびりと伝わってくる。はわわわ、これは本当にマズい――
「「っ!」」
瞬間、閃光と共に走った痛みに、わたしとお姉ちゃんの意識は同じように揺らいだ。
エッジくんのパンチが頬をかすった! それだけですごくイタイ! 直撃したらどうなっちゃうの!? やばたん!
はわわわ、揺らいだところにしっかりと追撃してきてる! 寸止めだよね! 寸止めしてくれますよね!
わたしの願いは届かず、直後に閃光と共に衝撃が走った。
しかし走ったのは顔面にではなく両手にだった。お姉ちゃんのガードが間に合ってくれたのだ。
そして鈍い衝撃がもう一つあった。左足だ。お姉ちゃんはガードしながら蹴ったのだ。
お互いによろめき、距離が再び離れる。
ふう、試合を止めるには良いタイミングですね。二人とも、一度落ち着きましょう!
わたしはそう願ったのだけど、この願いも届かなかった。
先に動いたのはお姉ちゃんだった。
宙を舞う精霊の剣が次々と合体し、大きな二本の剣となる。
え? これはまさか? ダメだよ! お姉ちゃん、これはシャレにならないよ!
もしもーし! ダメだ! このお姉ちゃん言うことをきいてくれない! エッジくん逃げて!
わたしはそう心の声を響かせたのだが、エッジくんはわたしのお願いとは真逆の動作をした。
エッジくんは構え、そして叫んだ。
「ダァクネス!」
その声と共に触手が右腕に集合して巻き付いた。
その腕から放たれる気配はもう灰色じゃない。言葉通りの黒だ。
そしてその右腕を引き絞りながら、さらに声を響かせた。
「バァスト!」
声と共に右腕が燃え上がる。
はわわわわ! これは! エッジくんも必殺技的なアレを出すつもりだ!
あわわわわ! マズイマズイマズイ! なんとかして止めないと!
二人とも落ちついて! どうどう、どうどう、くっくどうどぅるどぅわあああああああ! 何を言ってるんだわたしはあああ!
落ち着けわたし! 深呼吸! すーはーすーはー、すーはわわわわ! 無理だああああああああああ! だれかたすけてー!
わたしのテンパりが伝わったのか、リングの外で見ていたおじいちゃんがようやく声を上げてくれた。
「止めろ審判!」
ありがとうございます! でもちょっと遅すぎた気がします!
わたしの予想通り、お姉ちゃんとエッジくんは止まらず、直後に二人の叫び声が重なった。
「テンペスタス・ルシス!」
「ファングッ!」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる