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中等部編

第十一話 お金ってステキですよね? あ、違いますよ? そういう意味じゃないです。お金って生活に必要じゃないですか。それ以外のry(7)

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 踏み込むと同時にパンチ!
 ヒラリとかわされるけど、追いかけながら再びパンチ!
 パンチパンチ連打連打! 手数で圧倒だ!
 うん、圧倒するつもりなんだけど、エッジくんは涼しい顔でガードしてる。
 あ、これはどこかで反撃されてしまう感じですね。
 そう思った直後にそれは来た。

「っ!」

 拳が空を切る感触と共にそれは来た。
 反撃の気配。
 どう反撃するつもりか、その動きのイメージがエッジくんの心から伝わってくる。
 そのイメージは強く、鮮烈だった。リアルに感じられるくらいに。
 だからわたしの意識はそれに釘付けになった。
 反撃の型は、姿勢を低くしてわたしのふところに潜り込んでからのアッパー。
 映し出されるイメージに意識を向けながらタイミングを合わせる。
 今だ! 回避!

(え?!) 

 わたしはタイミングを完璧に合わせたと思った。
 タイミング通りにエッジくんはアッパーを放ったと思った。
 だけど違った。
 エッジくんはまだ攻撃を繰り出してない!
 リアルなイメージのせいだ。リアルすぎたせいで幻覚を見たように錯覚しちゃったんだ! 感知が優秀なほどひっかかっちゃうやつだ!
 相手が感知能力者ならばこんな手もあるのかあ、などと感心している余裕は無かった。
 ワンテンポ遅れて、本物の攻撃が飛んできた。
 型は大きな横振りのフック。
 大振りだったおかげでガードが間に合った。
 けども、

(やっば!)

 威力は予想以上で、わたしは体勢を崩された。
 上半身が大きく横にかたむく。
 傾く視界の中で、エッジくんが拳を引き絞るのが見える。
 伝わってくるイメージは直線。
 わたしがその直線に対して両手を重ねてガードの構えを取ると、エッジくんはそのイメージ通りの攻撃を放った。
 まっすぐなストレートがわたしの両手を打つ。

「……っ!」

 い……っったい! 手の甲が割れたかと思った!
 って、ん? なんか浮遊感が? わたし吹き飛んでる?!

「ぁいた!?」

 ガシャンと、背中がフェンスに叩きつけられる。
 追撃はこない。
 エッジくんは中途半端に構えてこちらを見ている。
 まだやるのか? その目はそう言っていた。
 もちろん! わたしが心の中でそう答えながら構えると、エッジくんは構えを変えた。
 開いた左手を前に突き出し、握りしめた右拳を脇下に引き絞った構え。
 左手の親指と人差し指の間の空間で狙いを定めながら、エッジくんは言った。

「これは当たると危ないぞ。ちゃんとよけろよ」
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