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中等部編
第九話 ちっちゃくてかわいくてうわつよい(6)
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そしてそれからは何事も無く部活は終わった。
更衣室のとなりにあるシャワー室で汗を流し、三人で帰路につく。
「クラリスちゃんのパワーアーマー、すっごくカッコよかったね!」
「そ、そうかな……」
わたしの言葉に、クラリスちゃんが照れたしぐさを見せる。……Oh、これまた普段とギャップがあってイイ!
対し、
「……」
ルナちゃんは反応を示さなかった。
帰路についてからずっとこの調子だ。
どうしたんだろう? 体育館での出来事をまだひきずってるのかな?
ちょっと心をのぞいてみようか、わたしがそう思った瞬間、
「「!」」
わたしとクラリスちゃんの目に入っている精霊が自動で起動した。
“警告! 敵性反応の接近を感知!”
精霊の言葉と共に見下ろし視点の地図が表示される。
その地図の中で、ひとつの赤い点が屋根の上を走って接近してきているのが見えた。
かなり速い。この速さだとあと十秒くらいで――いや、さらに加速した。もう間も無くだ。
数秒後、それは屋根の上からわたし達の前に飛び降りてきた。
それは一目で怪しく見える様相だった。
全体的に暗い色調で統一された服装。フードを深くかぶっており、性別や年齢は判別できない。背の高さはルイスさんと同じくらい。
しかし一般的に市販されてる服では無いことが一目でわかる。
革製で、頑丈そうな作りをしている。なのに動きやすそうだ。戦いのための服装にしか見えない。
そして深めの両ポケットの中になにかあるのを感じる。……銃ではないことを祈るしかない。
わたしはそれを祈りながら二人をかばうように前に立った。
瞬間、
「!?」
背筋に怖気が走った。それと同時に、わたしは自然と抜刀して構えていた。
今のは?! 疑問を抱くと同時に答えはわかった。
殺気だ。殺意をぶつけられたんだ。この人、本気でわたし達を殺す気だ。
……ついにこの日が来てしまった。初めての襲撃だ。
こんな街中で堂々と襲ってくるとは思ってなかったけど――いや、ここは人気が無い。遠くからわたし達を監視して機会を待ってた?
ヴィーさんはまず逃げろと言ったけど、二人を置き去りにはできない。二人とも武装してないからわたしが守るしかない。いや、まずは悲鳴を上げて誰かを呼んでみるべきだろうか?
わたしはそう思っていた。
が、直後、ルナちゃんがわたしのとなりに並びながら口を開いた。
「アイリスとクラリスは逃げて。こいつはわたしの客だから」
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