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中等部編
第九話 ちっちゃくてかわいくてうわつよい(1)
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◆◆◆
第九話 ちっちゃくてかわいくてうわつよい
◆◆◆
放課後――
クラスのみんながそれぞれの部活へと出かけていく中、わたしとクラリスちゃんは注意深く気配をうかがっていた。
……よかった。今日はヴィーさんは来ないみたい。わたし達は自由だ! あ、ちなみに、ルナちゃんはまだクラリスちゃんの上に座ってます。
クラリスちゃんはその自由を喜ぶかのように、笑顔でわたしに向かって口を開いた。
「アイリスちゃん、よかったらわたしと同じ部活に入らない?」
もちろんこれは、サバイバルゲーム部のことでは無い。ていうか、わたしはクラリスちゃんが何の部活に入っているのか知らない。
だからわたしがそれを尋ねると、クラリスちゃんは笑顔のまま答えた。
「剣術部だよ!」
剣術かあ。ふふん。剣なら島で振りまくってましたから、ちょっと自信ありますよ!
だからわたしも同じ笑顔で答えた。
「うん、いいよ!」
すると、わたし達の笑顔に釣られたのか、ルナちゃんも笑顔で口を開いた。
「わたしも行くー」
ルナちゃんはクラリスちゃんの服を引っ張りながらおねだりするようにそう言った。かわいすぎる!
ああ、なんて素晴らしいのでしょうか。いままで散々な目にあってきたけど、ようやくわたし達の本当の青春が始まるんだ! わたしはそう感じた。
◆◆◆
そして案内されたのは大きな城下町にある体育館だった。
いや、体育館と言っていいのだろうかこれは。めちゃくちゃ頑丈そうで大きい倉庫のようでもある。工場と体育館を足してはんぶんこにしたような印象のデザインだ。
その重厚な雰囲気に合わせたかのように、パワーアーマーを着た人達がそこらをガシャンガシャンと歩いている。まるでパワーアーマーがドレスコードのようだ。
そんな建物の中にわたし達が足を踏み入れると、そこには一人の大人の男性が待っていた。
その人は明らかに異国の人だった。黒髪で、素朴な印象を受ける。
あまりしゃべらなそうな印象を放つ人だ。でもヴィーさんの雰囲気とは違う。あっちはめんどくさいから口数が少ないだけだけど、この人は考えながら話すタイプという印象を受ける。知的な感じだ。
そしてその雰囲気を相殺するかのように、体はムキムキだ。すごく鍛えてあるのが服の上からでもわかる。
さらに、ヴィーさんが持っているものと同じ大太刀を腰にぶらさげている。これがヴィーさんと印象がかぶる一番の原因かもしれない。
そしてその男の人はクラリスちゃんに向かって口を開いた。
「クラリス、その二人が君が言っていた新入部員だね?」
どうやら、わたし達のことは既に知らされていたらしい。話が早くてたすかるなあ。
それでもわたしは礼儀として自己紹介しようとしたが、それよりも黒髪の男の人が口を開くほうが早かった。
「ようこそいらっしゃった。私が剣術部の顧問である万刹(ばんせつ)だ。歓迎しよう」
バンセツ、その響きと共に知らない異国の2文字が頭に浮かび上がった。このオジサン、感知能力者だ。
そしてこの自己紹介に対し、わたしとルナちゃんは小さな礼をしながら名乗った。
「アイリスです。よろしくお願いします」
「ルナです。よろしくです」
これにバンセツさんは頷きを返し、口を開いた。
「それではついてきて。案内しよう」
第九話 ちっちゃくてかわいくてうわつよい
◆◆◆
放課後――
クラスのみんながそれぞれの部活へと出かけていく中、わたしとクラリスちゃんは注意深く気配をうかがっていた。
……よかった。今日はヴィーさんは来ないみたい。わたし達は自由だ! あ、ちなみに、ルナちゃんはまだクラリスちゃんの上に座ってます。
クラリスちゃんはその自由を喜ぶかのように、笑顔でわたしに向かって口を開いた。
「アイリスちゃん、よかったらわたしと同じ部活に入らない?」
もちろんこれは、サバイバルゲーム部のことでは無い。ていうか、わたしはクラリスちゃんが何の部活に入っているのか知らない。
だからわたしがそれを尋ねると、クラリスちゃんは笑顔のまま答えた。
「剣術部だよ!」
剣術かあ。ふふん。剣なら島で振りまくってましたから、ちょっと自信ありますよ!
だからわたしも同じ笑顔で答えた。
「うん、いいよ!」
すると、わたし達の笑顔に釣られたのか、ルナちゃんも笑顔で口を開いた。
「わたしも行くー」
ルナちゃんはクラリスちゃんの服を引っ張りながらおねだりするようにそう言った。かわいすぎる!
ああ、なんて素晴らしいのでしょうか。いままで散々な目にあってきたけど、ようやくわたし達の本当の青春が始まるんだ! わたしはそう感じた。
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そして案内されたのは大きな城下町にある体育館だった。
いや、体育館と言っていいのだろうかこれは。めちゃくちゃ頑丈そうで大きい倉庫のようでもある。工場と体育館を足してはんぶんこにしたような印象のデザインだ。
その重厚な雰囲気に合わせたかのように、パワーアーマーを着た人達がそこらをガシャンガシャンと歩いている。まるでパワーアーマーがドレスコードのようだ。
そんな建物の中にわたし達が足を踏み入れると、そこには一人の大人の男性が待っていた。
その人は明らかに異国の人だった。黒髪で、素朴な印象を受ける。
あまりしゃべらなそうな印象を放つ人だ。でもヴィーさんの雰囲気とは違う。あっちはめんどくさいから口数が少ないだけだけど、この人は考えながら話すタイプという印象を受ける。知的な感じだ。
そしてその雰囲気を相殺するかのように、体はムキムキだ。すごく鍛えてあるのが服の上からでもわかる。
さらに、ヴィーさんが持っているものと同じ大太刀を腰にぶらさげている。これがヴィーさんと印象がかぶる一番の原因かもしれない。
そしてその男の人はクラリスちゃんに向かって口を開いた。
「クラリス、その二人が君が言っていた新入部員だね?」
どうやら、わたし達のことは既に知らされていたらしい。話が早くてたすかるなあ。
それでもわたしは礼儀として自己紹介しようとしたが、それよりも黒髪の男の人が口を開くほうが早かった。
「ようこそいらっしゃった。私が剣術部の顧問である万刹(ばんせつ)だ。歓迎しよう」
バンセツ、その響きと共に知らない異国の2文字が頭に浮かび上がった。このオジサン、感知能力者だ。
そしてこの自己紹介に対し、わたしとルナちゃんは小さな礼をしながら名乗った。
「アイリスです。よろしくお願いします」
「ルナです。よろしくです」
これにバンセツさんは頷きを返し、口を開いた。
「それではついてきて。案内しよう」
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