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中等部編

第七話 警察沙汰で青春大ピンチ危機一髪! (5)

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 わたしはそう願ったけど、うさんくさい男がさらに言い返したことで、その願いが叶う気配は遠く消えた。

「言いがかりはやめてほしいですね! どうせ、未熟なちびっ子達が追跡されていたに決まってる! 保護者失格ですよ、ヴィーさん!」

 さらに燃え上がりそうなことを言い返したー! しかもどうでもいい火の粉がこっちに振りかかろうとしてるー!

「そっちこそ言いがかりはやめろ! 俺のお守りは完璧だぞ! 俺の感知能力を疑うのか?!」

 んー、微妙な反論! 
 ヴィーさんとうさんくさい男がそんなどうでもいい水掛け論をしているうちに、わたし達は工場のフェンスを乗り越え、街中に入った。
 このまま何事も無く駅まで走れるだろうか?
 ……あ、やっぱりあきらめる気は無いみたい。追いかけてきてる。しかも工場の外に何人かを待機させていたらしく、回り込もうとしてる赤い点がある。
 このままだと待ち伏せされちゃう! どうしよう!
 直後、先頭を走るヴィーさんが声を上げた。

「こっちだ!」

 そう叫びながら狭い路地に入っていったヴィーさんの背中を追う。
 あれ? でも、この先は行き止まりだとわたしの右目には表示されてるんですが。
 その疑問を声に出そうとした瞬間、ヴィーさんは再び声を上げた。

「登るぞ!」

 登る?! 一瞬意味がわからなかったけど、ヴィーさんは直後にそれを実践してみせた。
 上へ跳躍し、細い路地の壁を蹴って反対側の壁に飛び、さらに壁を蹴って上へ登る。
 いわゆるパルクールってやつですか? そんなことを考えながらわたしも同じように壁を登った。
 無事、屋根の上に到着!
 って、クラリスちゃんは?! そう思って振り返ると、クラリスちゃんはしっかりとついてきていた。うさんくさい人もだ。
 ……えぇ。もしかして、こういうことってみんなできることなの? なんか自信無くす。
 でも体力は自信あるもんね! そんなことを考えながら屋根の上を走り出すと、わたしは再び感じ取った。
 ……うわー。警察さんもしっかりとついてきてる。屋根の上に登ってきた。しかも速いよお。自信無くすぅ。
 このままだと追い付かれちゃうなあ。じゃあしょうがないね。ヴィーさん、自首してください。
 と、わたしが提案しようとした瞬間、ヴィーさんは再び叫んだ。

「降りるぞ!」

 言うと同時にヴィーさんは屋根から飛び降り、わたし達も続いた。
 でも路地に降りても状況は変わらない。というか状況悪くなってない? このままだと挟み撃ちにされちゃう。
 なんで降りたんだろう? その疑問を尋ねる前にヴィーさんは行動を起こした。

「こっちだ!」

 ヴィーさんはそう声を上げながら、民家の裏口を蹴破った。
 ええええ!? ちょっと?! なにしてるんですか! まさか!?
 そのまさかだった。ヴィーさんは民家に駆け込んでいった。
 食事中の家主が「え?!」的な視線をこちらに向けている。 
 その視線に対し、ヴィーさんは答えた。

「失礼! 緊急事態なので通らせてもらう!」

 失礼すぎる! 他人の家をショートカットに使うなんて、小学生低学年でも許されないムーブですよ!
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