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中等部編
第六話 わたし、中学生です! (4)
しおりを挟む◆◆◆
白ソーセージを堪能したわたし達は、学校へと向かった。
白ソーセージは本当においしかった。だから何度もおかわりした。
食事の途中、イタクァさんから「スゴイな、キミ……」などという、年頃の少女に対しては失礼に値する感想をもらったけども、わたしはそんなことは気にしないのです。ヴィーさんから「脂質が多いから太るぞ」などという警告も受けたような気がするけど、それも気にしないのです!
そんなこんなあってわたし達は学校の前に到着!
イタクァさんとはそこでお別れとなった。メカニックとしての仕事があるらしい。「ボクはこのマシンで風にならないといけないんで!」とかわけのわからないことを言って去っていった。
ヴィーさんが言った通り、お城が学校だった。
列車の中から見た時と印象は変わらない。大きくてカッコいいけど古い。
学校の前にはまた城門がある。街の入り口の門よりはだいぶちいさいけど、十分立派だ。
そんな門の前には人型の精霊が立っていた。
街の入り口で会ったガイド役とは服装がぜんぜん違う。軍服っぽい、キリっとした服装だ。
学校を守るガードマンなんだろうな。わたしがそんなことを考えた直後、ガードマンさんはわたし達に向かって声を響かせた。
“お待ちしておりました。ヴィー様、ブルーンヒルデ様、アイリス様”
さわやかな男の声のイメージと共に、言葉が頭に流れる。
そしてガードマンさんはヴィーさんと視線を合わせながら声を響かせた。
“ご案内します。どうぞこちらへ”
そう言ったあと、ガードマンさんは背を向けて歩き出したので、わたし達はその背について学校の中へと足を踏み入れた。
◆◆◆
外見とは正反対に、中はキレイに改装されていた。
どこもピカピカの新品だ。
学校っていう感じはしない。装飾が豪華すぎるからだ。シャンデリアみたいな照明がいくつもぶら下がっている。やっぱりお城って感じ。
ちょうど休み時間だったらしく、廊下では多くの生徒達とすれ違った。制服を着た彼らの存在だけが、学校らしさを演出してる。
素晴らしいことに、女生徒の制服はかなりいい感じだった。偉大な学校としての格式とオシャレさを両立させた感じだ。まったくもって本当に素晴らしい! カッコかわいい!
中には明らかに私服の生徒もいる。どうやら、制服は義務ではないようだ。これまた素晴らしい!
私服と一言で言ってもいろいろだ。
わたしの私服と大差無い人もいれば、そうではない人もいる。
貴族っぽい服装をした人がちらほらいる。軍服っぽい人もいる。さすが名門校と言ったところか。
精霊もいっぱいいる。街中で見たクマっぽいなにかみたいな大きいのはいないけど。
よく見ると、精霊を引き連れている生徒がいる。まさか、精霊であればペット持ち込みOK!?
そんなわたしの思考を呼んでいたヴィーさんが答えた。
「ああ、そうだ。この学校では精霊を自由に連れ歩くことが許可されている」
回答ありがとうございます! いや~、本当にこの学校はすごいなあ。
そんなことを考えながら階段を登り、進んでいくうちに、生徒の姿は見えなくなった。
かなり高いところまで登ってきた。頂上付近だと感じる。おそらくここは、生徒が普段立ち入ることの無いエリアなんだろう。
内装の雰囲気も違う。改装されていない。古く格式高いものが並んでる。
変わったものもある。ショーケースの中に剣と魔法の杖と銃が一緒に並べられていたりする。剣と杖が並んでも違和感はないけど、その横にある銃があまりにも近代的すぎて不思議な感じだ。
よくわからない機械もいっぱいある。歴史を記したレリーフの下にエンジンっぽいものが置かれていたりする。
そんなものを見回しながら歩いていると、わたし達はそれっぽい部屋のドアの前にたどりついた。
観音開きの大きなドアだ。
そのドアの前でガードマンさんは立ち止まり、わたし達に向かって言った。
“中で理事長がお待ちです”
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