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第五話 わたし、島を出ます! (14)

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   ◆◆◆

「目標を視認!」

 戦闘機を操縦する飛行士の一人がそう声を上げると、別の飛行士の声が通信機から響いた。

「精霊による補正を開始!」

 その声に、全員が精霊を起動する。
 それが終わるのとほぼ同時に、先頭を飛ぶ隊長の声が響いた。

「全機、急降下のち機銃掃射! 船には当てるなよ!」

 細かな指示は必要無かった。
 全員が感知能力者であり、全員の頭にどう動くべきかのイメージが流れていたからだ。
 ゆえに直後の動きは、何度も事前に練習していたかのような滑らかな動きだった。
 急降下の開始と同時に隊列をまっすぐな一列の形に変更。
 次のイメージの内容は、鳥が水面に浮かぶエサをすくいとる動きだった。
 精霊の補助のおかげもあり、すべての戦闘機が機械的に同じ動きをした。
 自然落下のような降下から、流れるように滑空態勢に移行。同時に機銃掃射。
 目標の頭上を通過しながら、ミシン縫いするように弾丸を叩きこんでいく。
 ハチの巣にされた巨大なスライムは、まるで苦しむかのように、もがきながら逃げ始めた。

「目標が船から離れます!」

 ならばアレが使える、そんな思いを含ませながら飛行士の一人が叫ぶと、隊長はその思いに応えた。

「全機旋回! 深く潜られる前に追撃するぞ!」

 そう言いながら隊長は旋回を開始。
 他の機体もまったく遅れることなく追従する。
 そうして十秒もかからぬうちに目標の頭上に戻ってきた隊長は叫んだ。

「全弾投下!」

 その指示と同時に、全員が発射のボタンを押した。
 機体の下腹部が開き、中から爆弾がパラパラと放たれ、海へ投下されていく。
 爆弾は着水から数秒後に起爆し、次々と巨大な水しぶきを上げていった。
 その衝撃に船は大きく揺れたが、被害は無かった。
 そして爆撃が終わった数秒後に、飛行士の一人が声を上げた。

「全弾着弾! 敵は小さくバラバラになったまま離脱していきます!」

 敵はもはや戦える状態では無かった。
 それを感じ取れていた隊長は勝利を宣言した。 

「これだけ痛めつければしばらくは大人しくしてるだろう。上々の戦果だ!」
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