45 / 120
第五話 わたし、島を出ます! (10)
しおりを挟む
床を蹴って回避行動を取りながら剣と隊長さんを使って迎撃を行う。
だけど触手の数はあまりにも多く、わたしの両足は触手に捕まってしまった。
直後、
「っ!」
両足に激痛が走り、わたしはその場に倒れた。
そしてわたしの足は動かなくなった。
足に力が入らない。
なぜか。わたしの感知能力はその答えをすぐに見つけてくれた。
(信号の伝達を邪魔されてる!?)
筋肉への命令が届かない。
だけど、魔力の経路はすべては遮断されていない。
少し遠回りすれば魔力を目的地に流し込める。そうすれば動ける!
わたしは即座にそれを実行しようとしたのだけれど、
「!!」
その実行よりも黒い染みからの追撃のほうが早かった。
腰に、背中に、肩に、腕に、次々と触手が巻き付く。
次にどこが狙われるのか、敵の本命はどこなのかはわかっていた。
それは顔面。
だからわたしは隊長さんの剣で防御しようとしたのだけど、放たれた触手の数は一本では無かった。
わたしのあたまを丸ごと包もうとするかのような数。
隊長さんの剣だけで捌ききれる数じゃ無かった。
だからわたしは回避行動を取った。
だけどわたしにできた動きは、片腕で顔をかばいながら上半身をひねることだけだった。
それでもなんとか顔面への直撃はさけることができた。
でも、一本の触手がわたしの首に巻き付いた。
「っ! ぃや、あああ!」
触手が首に根を張り、何かが流れ込んでくる感覚に、わたしは叫び声を上げることしかできなかった。
その痛みと共にわたしは感じ取った。
(お、ねえちゃん……?!)
おねえちゃんがわたしの中に流れ込んできている。わたしはそう感じた。
その感覚と共に全身から力が抜けていく。
隊長さんの剣もやられた。もう抵抗できない。
わたし死んじゃうの? そんな思いが脳裏に走った直後、
「……!?」
誰かが走ってきた音と共に、わたしに巻き付いていた触手はすべて斬り落とされた。
解放されると同時に抱きかかえられる。
助けにきてくれた? 誰が?
ヴィーさんかブルーンヒルデさんかと思いながら見上げると、そこにはまったく違う顔があった。
わたしを助けてくれたのはルイスさんだった。
あの時の隊長さんのように、片腕でわたしを抱きかかえたまま、もう片方の腕で剣を振るい、襲い掛かってくる触手を切り伏せる。
その剣はまるで宝石のように――いいや、これはたぶん本物の宝石だ――その刀身は七色に輝いていた。
その輝きが太陽のように強さを増すと同時に、その刀身から白い雷が放たれる。
雷が空気を裂く音と共に、ルイスさんの声が響いた。
「少し気持ち悪いかもしれないけど、我慢して!」
直後にその言葉の理由は明らかになった。
ルイスさんの袖の中から、胸元から、服のあらゆる隙間から大量のムカデが伸び現れ、わたしの体に巻き付き始めたからだ。
確かに気持ち悪かった。でも嫌悪感はすぐに消えた。それがルイスさんの精霊であることが感じ取れたからだ。
すると間も無く、わたしの体から痛みが引いていくのを感じた。ムカデさんが触手に攻撃されたところを治療してくれているようだった。
だけど触手の数はあまりにも多く、わたしの両足は触手に捕まってしまった。
直後、
「っ!」
両足に激痛が走り、わたしはその場に倒れた。
そしてわたしの足は動かなくなった。
足に力が入らない。
なぜか。わたしの感知能力はその答えをすぐに見つけてくれた。
(信号の伝達を邪魔されてる!?)
筋肉への命令が届かない。
だけど、魔力の経路はすべては遮断されていない。
少し遠回りすれば魔力を目的地に流し込める。そうすれば動ける!
わたしは即座にそれを実行しようとしたのだけれど、
「!!」
その実行よりも黒い染みからの追撃のほうが早かった。
腰に、背中に、肩に、腕に、次々と触手が巻き付く。
次にどこが狙われるのか、敵の本命はどこなのかはわかっていた。
それは顔面。
だからわたしは隊長さんの剣で防御しようとしたのだけど、放たれた触手の数は一本では無かった。
わたしのあたまを丸ごと包もうとするかのような数。
隊長さんの剣だけで捌ききれる数じゃ無かった。
だからわたしは回避行動を取った。
だけどわたしにできた動きは、片腕で顔をかばいながら上半身をひねることだけだった。
それでもなんとか顔面への直撃はさけることができた。
でも、一本の触手がわたしの首に巻き付いた。
「っ! ぃや、あああ!」
触手が首に根を張り、何かが流れ込んでくる感覚に、わたしは叫び声を上げることしかできなかった。
その痛みと共にわたしは感じ取った。
(お、ねえちゃん……?!)
おねえちゃんがわたしの中に流れ込んできている。わたしはそう感じた。
その感覚と共に全身から力が抜けていく。
隊長さんの剣もやられた。もう抵抗できない。
わたし死んじゃうの? そんな思いが脳裏に走った直後、
「……!?」
誰かが走ってきた音と共に、わたしに巻き付いていた触手はすべて斬り落とされた。
解放されると同時に抱きかかえられる。
助けにきてくれた? 誰が?
ヴィーさんかブルーンヒルデさんかと思いながら見上げると、そこにはまったく違う顔があった。
わたしを助けてくれたのはルイスさんだった。
あの時の隊長さんのように、片腕でわたしを抱きかかえたまま、もう片方の腕で剣を振るい、襲い掛かってくる触手を切り伏せる。
その剣はまるで宝石のように――いいや、これはたぶん本物の宝石だ――その刀身は七色に輝いていた。
その輝きが太陽のように強さを増すと同時に、その刀身から白い雷が放たれる。
雷が空気を裂く音と共に、ルイスさんの声が響いた。
「少し気持ち悪いかもしれないけど、我慢して!」
直後にその言葉の理由は明らかになった。
ルイスさんの袖の中から、胸元から、服のあらゆる隙間から大量のムカデが伸び現れ、わたしの体に巻き付き始めたからだ。
確かに気持ち悪かった。でも嫌悪感はすぐに消えた。それがルイスさんの精霊であることが感じ取れたからだ。
すると間も無く、わたしの体から痛みが引いていくのを感じた。ムカデさんが触手に攻撃されたところを治療してくれているようだった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる