42 / 120
第五話 わたし、島を出ます! (7)
しおりを挟む
ガチャガチャと、兵士達が武器を構える音が甲板上に響く。
そしてきっかり十秒後に機銃の攻撃は始まった。
船の側面、そして甲板上に設置されている機銃が次々と火を噴く。
その連射性能は凄まじく、耳栓をしていなければ耳がやられるほどの音であった。
放たれた弾幕が、近づいてくる敵精霊を次々と撃ち砕いていく。
敵の精霊の形は統一感が無かった。
鳥のようなもの、魚のようなもの、クラゲのようなもの、蛇のようなものなど、様々であった。
そして間も無く、海面に大きな水しぶきが次々と上がり始めた。
海中に投げ撒かれて(まかれて)いた機雷が炸裂し始めたのだ。
衝撃の規模は大きく、巨大な船体が揺れるほど。
間も無く、船体に張り巡らされていたブルーンヒルデの精霊も動き出した。
花びらをまき散らしながら触手のようなツルを伸ばして敵精霊を迎撃する。
だが、これほどの迎撃をもってしても突破してくる個体がいた。
弾幕を突破した敵精霊はその身を七色に発光させながら、機銃に向かって突撃を開始した。
体内の魔力をすべてぶつける、特攻の体当たり。
だが、甲板上にいる兵士達がそれを許さない。
兵士達は手にある銃を構え、接近する精霊に照準を合わせ、引き金を引いた。
放たれた弾は放物線を描き、精霊の目の前で爆発した。
兵士達が装備している銃はグレネードランチャーと呼ばれるものであった。
大口径の散弾銃のような外見であり、爆発する榴弾や散弾、さらには焼夷弾など、用途に応じて弾を使い分けることができる。
精霊は魔力に対して耐性を持つが、衝撃波に対してはもろい。ゆえに榴弾は精霊の群れを吹き飛ばすにはうってつけであった。
パワーアーマーの戦士もグレネードランチャーを装備していた。
しかし、普通の兵士が両手で扱っているのに対し、パワーアーマーの戦士は片手で軽々と扱っていた。
だが、グレネードランチャーは接近されると厳しい。
ゆえに、兵士達は接近戦用に銃をもう一つ携帯していた。
それの出番は直後に訪れた。
ある兵士の腰から引き抜かれたそれが火を噴き始める。
軽い音であったが、連射速度はすさまじかった。
それはサブマシンガンであった。
威力は低いが、連射性能と取り回しに優れる銃。
山のように大きい相手で無ければ、精霊を倒すのに大きな銃弾は必要無い。連射性能が優れ、簡単に弾幕を張れるサブマシンガンは対精霊との接近戦において最適解の一つであった。
そして、パワーアーマーの戦士達も接近戦用の武装をもう片方の手に所持していたが、それはサブマシンガンでは無かった。
それは大きな拳銃であった。
ヴィーの銃と同じくらいだが、ヴィーの銃がリボルバーであるのに対し、戦士の手にあるのはまったく違った。
銃の形をしてはいるが、弾を入れられそうな箇所が見当たらない。
その理由は直後に明らかになった。
いくつもの迎撃をかいくぐってきた一匹の精霊に対し、パワーアーマーの戦士は引き金を引いた。
そして放たれたのは銃弾では無かった。
放たれたのは白い雷。
その銃はダイヤモンドを用いた宝石銃であり、魔力を炭素で加速させて発射する武器であった。
放たれた魔力は雷のように空気を裂きながら衝撃をまき散らし、精霊をねじ切るようにえぐり破った。
それは余裕のある迎撃に見えたが、戦士はそうでは無いと声を上げた。
「かなり速い! こちらの反応速度ギリギリです!」
これに、別の戦士が声を続けた。
「この物量と速度であれば、かなりの数がここまで突破してくることが予想されます!」
ならばどうすべきか、それは一つしか無かった。
だから隊長はそれを指示した。
「精霊を展開しろ! ただしこの戦いは長くなる可能性がある! 出しすぎるなよ!」
そしてきっかり十秒後に機銃の攻撃は始まった。
船の側面、そして甲板上に設置されている機銃が次々と火を噴く。
その連射性能は凄まじく、耳栓をしていなければ耳がやられるほどの音であった。
放たれた弾幕が、近づいてくる敵精霊を次々と撃ち砕いていく。
敵の精霊の形は統一感が無かった。
鳥のようなもの、魚のようなもの、クラゲのようなもの、蛇のようなものなど、様々であった。
そして間も無く、海面に大きな水しぶきが次々と上がり始めた。
海中に投げ撒かれて(まかれて)いた機雷が炸裂し始めたのだ。
衝撃の規模は大きく、巨大な船体が揺れるほど。
間も無く、船体に張り巡らされていたブルーンヒルデの精霊も動き出した。
花びらをまき散らしながら触手のようなツルを伸ばして敵精霊を迎撃する。
だが、これほどの迎撃をもってしても突破してくる個体がいた。
弾幕を突破した敵精霊はその身を七色に発光させながら、機銃に向かって突撃を開始した。
体内の魔力をすべてぶつける、特攻の体当たり。
だが、甲板上にいる兵士達がそれを許さない。
兵士達は手にある銃を構え、接近する精霊に照準を合わせ、引き金を引いた。
放たれた弾は放物線を描き、精霊の目の前で爆発した。
兵士達が装備している銃はグレネードランチャーと呼ばれるものであった。
大口径の散弾銃のような外見であり、爆発する榴弾や散弾、さらには焼夷弾など、用途に応じて弾を使い分けることができる。
精霊は魔力に対して耐性を持つが、衝撃波に対してはもろい。ゆえに榴弾は精霊の群れを吹き飛ばすにはうってつけであった。
パワーアーマーの戦士もグレネードランチャーを装備していた。
しかし、普通の兵士が両手で扱っているのに対し、パワーアーマーの戦士は片手で軽々と扱っていた。
だが、グレネードランチャーは接近されると厳しい。
ゆえに、兵士達は接近戦用に銃をもう一つ携帯していた。
それの出番は直後に訪れた。
ある兵士の腰から引き抜かれたそれが火を噴き始める。
軽い音であったが、連射速度はすさまじかった。
それはサブマシンガンであった。
威力は低いが、連射性能と取り回しに優れる銃。
山のように大きい相手で無ければ、精霊を倒すのに大きな銃弾は必要無い。連射性能が優れ、簡単に弾幕を張れるサブマシンガンは対精霊との接近戦において最適解の一つであった。
そして、パワーアーマーの戦士達も接近戦用の武装をもう片方の手に所持していたが、それはサブマシンガンでは無かった。
それは大きな拳銃であった。
ヴィーの銃と同じくらいだが、ヴィーの銃がリボルバーであるのに対し、戦士の手にあるのはまったく違った。
銃の形をしてはいるが、弾を入れられそうな箇所が見当たらない。
その理由は直後に明らかになった。
いくつもの迎撃をかいくぐってきた一匹の精霊に対し、パワーアーマーの戦士は引き金を引いた。
そして放たれたのは銃弾では無かった。
放たれたのは白い雷。
その銃はダイヤモンドを用いた宝石銃であり、魔力を炭素で加速させて発射する武器であった。
放たれた魔力は雷のように空気を裂きながら衝撃をまき散らし、精霊をねじ切るようにえぐり破った。
それは余裕のある迎撃に見えたが、戦士はそうでは無いと声を上げた。
「かなり速い! こちらの反応速度ギリギリです!」
これに、別の戦士が声を続けた。
「この物量と速度であれば、かなりの数がここまで突破してくることが予想されます!」
ならばどうすべきか、それは一つしか無かった。
だから隊長はそれを指示した。
「精霊を展開しろ! ただしこの戦いは長くなる可能性がある! 出しすぎるなよ!」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!
山田みかん
ファンタジー
「貴方には剣と魔法の異世界へ行ってもらいますぅ~」
────何言ってんのコイツ?
あれ? 私に言ってるんじゃないの?
ていうか、ここはどこ?
ちょっと待てッ!私はこんなところにいる場合じゃないんだよっ!
推しに会いに行かねばならんのだよ!!

生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

実験施設から抜け出した俺が伝説を超えるまでの革命記! 〜Light Fallen Angels〜
朝日 翔龍
ファンタジー
それはある世界の、今よりずっと未来のこと。いくつもの分岐点が存在し、それによって分岐された世界線、いわゆるパラレルワールド。これは、そ無限と存在するパラレルワールドの中のひとつの物語。
その宇宙に危機を及ぼす脅威や魔族と呼ばれる存在が、何度も世界を消滅させようと襲撃した。そのたびに、最強無血と謳われるレジェンド世代と称されたデ・ロアーの8人集が全てを解決していった。やがては脅威や魔族を封印し、これ以上は世界の危機もないだろうと誰もが信じていた。
しかし、そんな彼らの伝説の幕を閉ざす事件が起き、封印されていたはずの脅威が蘇った。瞬く間に不安が見え隠れする世界。そこは、異世界線へと繋がるゲートが一般的に存在し、異世界人を流れ込ませたり、例の脅威をも出してしまう。
そんな世界の日本で、実験体としてとある施設にいた主人公ドンボ。ある日、施設から神の力を人工的に得られる薬を盗んだ上で脱走に成功し、外の世界へと飛び出した。
そして街中に出た彼は恐怖と寂しさを覆い隠すために不良となり、その日凌ぎの生き方をしていた。
そんな日々を過ごしていたら、世界から脅威を封印したファイター企業、“デ・ロアー”に属すると自称する男、フラットの強引な手段で険しい旅をすることに。
狭い視野となんの知識もないドンボは、道中でフラットに教えられた生きる意味を活かし、この世界から再び脅威を取り除くことができるのであろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる