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第五話 わたし、島を出ます! (7)
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ガチャガチャと、兵士達が武器を構える音が甲板上に響く。
そしてきっかり十秒後に機銃の攻撃は始まった。
船の側面、そして甲板上に設置されている機銃が次々と火を噴く。
その連射性能は凄まじく、耳栓をしていなければ耳がやられるほどの音であった。
放たれた弾幕が、近づいてくる敵精霊を次々と撃ち砕いていく。
敵の精霊の形は統一感が無かった。
鳥のようなもの、魚のようなもの、クラゲのようなもの、蛇のようなものなど、様々であった。
そして間も無く、海面に大きな水しぶきが次々と上がり始めた。
海中に投げ撒かれて(まかれて)いた機雷が炸裂し始めたのだ。
衝撃の規模は大きく、巨大な船体が揺れるほど。
間も無く、船体に張り巡らされていたブルーンヒルデの精霊も動き出した。
花びらをまき散らしながら触手のようなツルを伸ばして敵精霊を迎撃する。
だが、これほどの迎撃をもってしても突破してくる個体がいた。
弾幕を突破した敵精霊はその身を七色に発光させながら、機銃に向かって突撃を開始した。
体内の魔力をすべてぶつける、特攻の体当たり。
だが、甲板上にいる兵士達がそれを許さない。
兵士達は手にある銃を構え、接近する精霊に照準を合わせ、引き金を引いた。
放たれた弾は放物線を描き、精霊の目の前で爆発した。
兵士達が装備している銃はグレネードランチャーと呼ばれるものであった。
大口径の散弾銃のような外見であり、爆発する榴弾や散弾、さらには焼夷弾など、用途に応じて弾を使い分けることができる。
精霊は魔力に対して耐性を持つが、衝撃波に対してはもろい。ゆえに榴弾は精霊の群れを吹き飛ばすにはうってつけであった。
パワーアーマーの戦士もグレネードランチャーを装備していた。
しかし、普通の兵士が両手で扱っているのに対し、パワーアーマーの戦士は片手で軽々と扱っていた。
だが、グレネードランチャーは接近されると厳しい。
ゆえに、兵士達は接近戦用に銃をもう一つ携帯していた。
それの出番は直後に訪れた。
ある兵士の腰から引き抜かれたそれが火を噴き始める。
軽い音であったが、連射速度はすさまじかった。
それはサブマシンガンであった。
威力は低いが、連射性能と取り回しに優れる銃。
山のように大きい相手で無ければ、精霊を倒すのに大きな銃弾は必要無い。連射性能が優れ、簡単に弾幕を張れるサブマシンガンは対精霊との接近戦において最適解の一つであった。
そして、パワーアーマーの戦士達も接近戦用の武装をもう片方の手に所持していたが、それはサブマシンガンでは無かった。
それは大きな拳銃であった。
ヴィーの銃と同じくらいだが、ヴィーの銃がリボルバーであるのに対し、戦士の手にあるのはまったく違った。
銃の形をしてはいるが、弾を入れられそうな箇所が見当たらない。
その理由は直後に明らかになった。
いくつもの迎撃をかいくぐってきた一匹の精霊に対し、パワーアーマーの戦士は引き金を引いた。
そして放たれたのは銃弾では無かった。
放たれたのは白い雷。
その銃はダイヤモンドを用いた宝石銃であり、魔力を炭素で加速させて発射する武器であった。
放たれた魔力は雷のように空気を裂きながら衝撃をまき散らし、精霊をねじ切るようにえぐり破った。
それは余裕のある迎撃に見えたが、戦士はそうでは無いと声を上げた。
「かなり速い! こちらの反応速度ギリギリです!」
これに、別の戦士が声を続けた。
「この物量と速度であれば、かなりの数がここまで突破してくることが予想されます!」
ならばどうすべきか、それは一つしか無かった。
だから隊長はそれを指示した。
「精霊を展開しろ! ただしこの戦いは長くなる可能性がある! 出しすぎるなよ!」
そしてきっかり十秒後に機銃の攻撃は始まった。
船の側面、そして甲板上に設置されている機銃が次々と火を噴く。
その連射性能は凄まじく、耳栓をしていなければ耳がやられるほどの音であった。
放たれた弾幕が、近づいてくる敵精霊を次々と撃ち砕いていく。
敵の精霊の形は統一感が無かった。
鳥のようなもの、魚のようなもの、クラゲのようなもの、蛇のようなものなど、様々であった。
そして間も無く、海面に大きな水しぶきが次々と上がり始めた。
海中に投げ撒かれて(まかれて)いた機雷が炸裂し始めたのだ。
衝撃の規模は大きく、巨大な船体が揺れるほど。
間も無く、船体に張り巡らされていたブルーンヒルデの精霊も動き出した。
花びらをまき散らしながら触手のようなツルを伸ばして敵精霊を迎撃する。
だが、これほどの迎撃をもってしても突破してくる個体がいた。
弾幕を突破した敵精霊はその身を七色に発光させながら、機銃に向かって突撃を開始した。
体内の魔力をすべてぶつける、特攻の体当たり。
だが、甲板上にいる兵士達がそれを許さない。
兵士達は手にある銃を構え、接近する精霊に照準を合わせ、引き金を引いた。
放たれた弾は放物線を描き、精霊の目の前で爆発した。
兵士達が装備している銃はグレネードランチャーと呼ばれるものであった。
大口径の散弾銃のような外見であり、爆発する榴弾や散弾、さらには焼夷弾など、用途に応じて弾を使い分けることができる。
精霊は魔力に対して耐性を持つが、衝撃波に対してはもろい。ゆえに榴弾は精霊の群れを吹き飛ばすにはうってつけであった。
パワーアーマーの戦士もグレネードランチャーを装備していた。
しかし、普通の兵士が両手で扱っているのに対し、パワーアーマーの戦士は片手で軽々と扱っていた。
だが、グレネードランチャーは接近されると厳しい。
ゆえに、兵士達は接近戦用に銃をもう一つ携帯していた。
それの出番は直後に訪れた。
ある兵士の腰から引き抜かれたそれが火を噴き始める。
軽い音であったが、連射速度はすさまじかった。
それはサブマシンガンであった。
威力は低いが、連射性能と取り回しに優れる銃。
山のように大きい相手で無ければ、精霊を倒すのに大きな銃弾は必要無い。連射性能が優れ、簡単に弾幕を張れるサブマシンガンは対精霊との接近戦において最適解の一つであった。
そして、パワーアーマーの戦士達も接近戦用の武装をもう片方の手に所持していたが、それはサブマシンガンでは無かった。
それは大きな拳銃であった。
ヴィーの銃と同じくらいだが、ヴィーの銃がリボルバーであるのに対し、戦士の手にあるのはまったく違った。
銃の形をしてはいるが、弾を入れられそうな箇所が見当たらない。
その理由は直後に明らかになった。
いくつもの迎撃をかいくぐってきた一匹の精霊に対し、パワーアーマーの戦士は引き金を引いた。
そして放たれたのは銃弾では無かった。
放たれたのは白い雷。
その銃はダイヤモンドを用いた宝石銃であり、魔力を炭素で加速させて発射する武器であった。
放たれた魔力は雷のように空気を裂きながら衝撃をまき散らし、精霊をねじ切るようにえぐり破った。
それは余裕のある迎撃に見えたが、戦士はそうでは無いと声を上げた。
「かなり速い! こちらの反応速度ギリギリです!」
これに、別の戦士が声を続けた。
「この物量と速度であれば、かなりの数がここまで突破してくることが予想されます!」
ならばどうすべきか、それは一つしか無かった。
だから隊長はそれを指示した。
「精霊を展開しろ! ただしこの戦いは長くなる可能性がある! 出しすぎるなよ!」
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