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第四話 地獄は突然やってくる (2)
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翌日の訓練はお休みとなった。
理由を尋ねても、ブルーンヒルデさんもヴィーさんも教えてくれなかった。
そして夕食が終わってもヴィーさんとブルーンヒルデさんは居間のテーブルから離れようとはしなかった。
わたしも自室に戻ることはしなかった。そうしなければならない、三人で固まっていなければならない、そんな雰囲気を感じたからだ。
そうして日が完全に沈み、ガスランプが部屋を照らし始めたころ、ヴィーさんが口を開いた。
「来たか」
そう言ってヴィーさんはソファーから立ち上がった。
なにが? わたしがそんな心の声を響かせると、ヴィーさんは答えた。
「なにがって? 地獄のご到着だよ。お前を船で襲ったあいつがこの島に近づいてきてるんだよ」
一瞬、その言葉を信じられなかった。信じたくなかった。
だけど、現実はわたしにも感じ取れた。
海の向こうから大きな何かが近づいてきている。
その現実にわたしが恐怖しかけた瞬間、ヴィーさんが口を開いた。
「俺は船で迎撃に向かう。ブルーンヒルデ、お前は島の守りを頼む」
これに、ブルーンヒルデさんは頷きを返したあと、わたしに向かって真剣な表情で口を開いた。
「アイリス、わたし達が出たらドアにカギをかけて。何があっても外に出てはダメよ。この家は精霊に守らせてある。下手に外に出るよりもこの中にいるほうが安全だから。わかったわね?」
わたしが「はい」と返すと、ヴィーさんは「行くぞ」と、ブルーンヒルデさんを連れて外に出て行った。
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