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22.ここは合わせてご挨拶
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(コルフェを将来、立派な教会騎士にするために。今! ここで! ジルと接触させるしかない!)
コルフェを連れて馬車から飛び出す。
「ジルーー!」
「……っ?! ……ご、ごきげんよう。ご婦人」
かけるべき挨拶を省いてつい名前を呼んでしまった。
ジルは驚いてとっさに身構えたけれど、馬車から出てきたのがわたしたち……女性と子供だとわかってすぐに構えをといた。
「失礼した。ご婦人とは以前何処かでお会いしましたでしょうか?」
頭を下げて挨拶してくれたけど、急に名を叫ばれたことで困惑してるみたい。
私も気持ちが高揚しちゃって、危ういファーストコンタクトになりかけた。数秒間の反省。
「いいえ。私が一方的に存じ上げているだけでございます。ジルクハルト様」
「こ、こんにちは。ジルクハルト様」
私を怪しむジルに対し、違和感のないように言い直してこちらからもおじぎを返す。
隣のコルフェも慌てて私の真似をし頭を垂れた。
私の勘が正しければ、今は≪シュテルフスタイン≫初代無印とⅡの間の時代。
ジルもそれなりの有名人になりつつある時期だろう。
これから教会騎士たちの副団長へ任ぜられ、登り詰めていくことになる人物として、色々な場所を訪れ周囲の期待を集めている時期。
ともあれば、モブの私でも彼の噂をきいたり姿を見て憧れを抱いたりしていてもおかしくはない。
まぁ、ジルが本命ではない私が入っているメイカさんが彼に憧れるようなことはないだろうけどね。
ジルも間近で見ると確かにかっこいいっちゃかっこいい。流石は整っている。顔面偏差値高い。
鎧の下の筋肉が安易に想像できてしまうのは、追加の十八禁版シナリオで散々裸を見てしまったからだろうなぁ。
想像できるからといって、すぐに私の気持ちが彼に揺らいで持っていかれるわけでもないけれど。
(あら……?)
その時だ。
コルフェが私の手をぎゅっと強めに握った気がして視線を落とす。
知らない大人を前にして緊張しているのかな。と、思ったけどどうやらそうじゃないらしく。
私がジルを観察する視線が、まるで彼に見惚れているように見えたみたい。
こころなしか不機嫌そうなオーラが出始めている。
(ははあ。さては未来のお師匠さんに嫉妬してるのね。この子ってば。まったく……)
年齢のわりにませているとは思っていた。
コルフェは小さいながらもすでに私のことを意識してくれている。ちょっと嬉しい。
それが母と子や姉と弟みたいな家族愛なのか、背伸びして恋人をきどってみたい恋愛感情なのかはまだ知らないけど。
うつむいたままでよく見えないけれど、私の手を絶対離すもんかって顔してるっぽい。
何か言いたげに指を小さくつついてくる様子が愛らしい。
「……! 何者だ!?」
そんなコルフェをほほえましく思っていると、突然ジルが警戒して声を出す。
ハッとして振り向けば、近くの茂みから足を引きずりながら人が現れて。
「こ、こいつは……!!」
「神父さま……?!」
私が言うより早く、コルフェが人物を代名詞で呼んだ。
草に足をとられながら出てきた人はこの村の教会に勤める人物。
名前を得るまでは私と同じ名前無しのモブだった男。ボロボロに裂かれた修道服姿。
現れたのはうちのめされた様子の例の神父だった。
コルフェを連れて馬車から飛び出す。
「ジルーー!」
「……っ?! ……ご、ごきげんよう。ご婦人」
かけるべき挨拶を省いてつい名前を呼んでしまった。
ジルは驚いてとっさに身構えたけれど、馬車から出てきたのがわたしたち……女性と子供だとわかってすぐに構えをといた。
「失礼した。ご婦人とは以前何処かでお会いしましたでしょうか?」
頭を下げて挨拶してくれたけど、急に名を叫ばれたことで困惑してるみたい。
私も気持ちが高揚しちゃって、危ういファーストコンタクトになりかけた。数秒間の反省。
「いいえ。私が一方的に存じ上げているだけでございます。ジルクハルト様」
「こ、こんにちは。ジルクハルト様」
私を怪しむジルに対し、違和感のないように言い直してこちらからもおじぎを返す。
隣のコルフェも慌てて私の真似をし頭を垂れた。
私の勘が正しければ、今は≪シュテルフスタイン≫初代無印とⅡの間の時代。
ジルもそれなりの有名人になりつつある時期だろう。
これから教会騎士たちの副団長へ任ぜられ、登り詰めていくことになる人物として、色々な場所を訪れ周囲の期待を集めている時期。
ともあれば、モブの私でも彼の噂をきいたり姿を見て憧れを抱いたりしていてもおかしくはない。
まぁ、ジルが本命ではない私が入っているメイカさんが彼に憧れるようなことはないだろうけどね。
ジルも間近で見ると確かにかっこいいっちゃかっこいい。流石は整っている。顔面偏差値高い。
鎧の下の筋肉が安易に想像できてしまうのは、追加の十八禁版シナリオで散々裸を見てしまったからだろうなぁ。
想像できるからといって、すぐに私の気持ちが彼に揺らいで持っていかれるわけでもないけれど。
(あら……?)
その時だ。
コルフェが私の手をぎゅっと強めに握った気がして視線を落とす。
知らない大人を前にして緊張しているのかな。と、思ったけどどうやらそうじゃないらしく。
私がジルを観察する視線が、まるで彼に見惚れているように見えたみたい。
こころなしか不機嫌そうなオーラが出始めている。
(ははあ。さては未来のお師匠さんに嫉妬してるのね。この子ってば。まったく……)
年齢のわりにませているとは思っていた。
コルフェは小さいながらもすでに私のことを意識してくれている。ちょっと嬉しい。
それが母と子や姉と弟みたいな家族愛なのか、背伸びして恋人をきどってみたい恋愛感情なのかはまだ知らないけど。
うつむいたままでよく見えないけれど、私の手を絶対離すもんかって顔してるっぽい。
何か言いたげに指を小さくつついてくる様子が愛らしい。
「……! 何者だ!?」
そんなコルフェをほほえましく思っていると、突然ジルが警戒して声を出す。
ハッとして振り向けば、近くの茂みから足を引きずりながら人が現れて。
「こ、こいつは……!!」
「神父さま……?!」
私が言うより早く、コルフェが人物を代名詞で呼んだ。
草に足をとられながら出てきた人はこの村の教会に勤める人物。
名前を得るまでは私と同じ名前無しのモブだった男。ボロボロに裂かれた修道服姿。
現れたのはうちのめされた様子の例の神父だった。
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