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3.悪い営み

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 コルフェとセックスをするために払う料金は、日本円で多分二十万円くらいだと思う。
 この世界のお金の単位だから円とは呼ばないのかもしれないけれど、札束が私と神父の間に置かれているのをみるとそのくらいかな。
 神父はこれを教会への寄付や支援などとのたまっているのだ。どう考えてもイカれている。

 行為一回で着床して万がいち子供が出来たら、その後の出産までの費用は全て教会が手厚く面倒を見てくれるということもあって、女性側にもこの裏活動を支持する人は何人かいるらしい。
 私ことトラウマメイカーさんも、それに惹かれて予約抽選を勝ち取ったあと順番待ちをしていた。

 そして実行日となった今日、ここに来てお代を支払ったところ。
 今は直前の控え室にいて、今後の説明を受けている、みたいな感じだ。

 私は、何も知らないで教会に引き取られ、無垢を利用され知らないお姉さま方に搾取される非日常をおくらされている少年をこれから冒(おか)しにいくのだ。
 それでもって精通して間もない少年の上で体を揺さぶって、精液をこれでもかというほど吸い付くす淫魔サキュバスのようなメスになりきらなくてはいけない。

 いや、それ想像してみたらかなりおっかないな。

 とにかく支払いは済ませちゃったあとみたいだし、もうすぐその時がやってくる。
 悪徳神父の謎のお祈りタイムを見守り、ニコニコ愛想笑いでもしておくことにする。
 するんだけれども、本当のところ内心はヒヤヒヤでカチカチの氷河期である。
 これから起きる惨劇をどうにか回避する手立てはないか、覚醒したばかりの脳みそで考えている。

 コルフェの人生を決めるのは私なのだ。
 ここで私がどうするかによって、推しのこれからが決まってしまう。

「……では。どうぞ。夜明けまでごゆっくりと愛の営みにお励みくださいませ」

「は、はい……」

 気づいたらお祈りが終わっていた。
 返事しちゃったしもういそいそと着いていくしかない。
 これはもう悪いルートに入っている気がするのだけれど、大丈夫なんだろうか。
 これってまだ回避出来るところにいるんだろうか。わからない。
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