44 / 135
王都と漆黒の大迷宮
第44話 漆黒の大迷宮
しおりを挟む
早めに夕食を食べてから、マリアさんにバレないように窓からこっそりと外にでる。
出発前に回復アイテムとかの補充をしておこうかな?
迷宮でなにがあるか分からないしね!
「マリーちゃん!ポーションとかをしっかり補充してからいかない?」
「ん。準備は大事。ついてきて?」
マリーちゃんは私の手を握って、王都の雑貨屋まで案内してくれた。
「ここなんてどう?」
「おー!いいね!」
雑貨屋の外観を眺める。
石造りで2階建ての普通の雑貨屋だ。
ネコじゃない!
「ん。じゃあ私は食料を買ってくる。」
「りょうかい!じゃあ私はポーションを買ってくるね。」
すこし店内を歩いていると、ポーションの置いてあるコーナーはすぐ見つけることができた。
治癒ポーションと魔力回復ポーションを買い込んでバックにしまう。
シィーのおかげで魔力を過剰に摂取しても、大事になることはなくなったしね。
ものすごく気持ち悪くはなるからできるだけ避けたいけど...。
「チカ~。これも入れて?」
「ん?」
マリーちゃんの声がした方を見ると、マリーちゃんが両手いっぱいに大きな紙袋を抱えてフラフラしながら歩いてくる。
抱えている紙袋が大きすぎて横から覗くようにして私を見つめる姿が可愛らしい。
「わわっ!!マリーちゃん大丈夫!?」
「ん...。平気。よいしょっ...。」
マリーちゃんは紙袋をゆっくりと床に置いていく。
気になって紙袋の中を覗き込むと、たくさんの食料が全ての紙袋にぎっしりと詰め込まれていた。
「こんなに買ってきたの!?」
「ん!お腹減ってるかもしれないから!」
「そ、そっかー...。」
お姉ちゃん想いなのは良いことだけど、いくらなんでも買いすぎなんじゃ...。
メリィちゃんって小食だったよね?
このままにしておくわけにもいかないので、食料をバックにドンドンしまっていく。
「ふっー...。これで全部だね。じゃあそろそろ行こっか!あまりゆっくりしてるとジョンさん達が気付いて追いかけてくるかもよ?」
まあ私としてはジョンさんが一緒にきてくれたほうが安心なんだけどね。
「ん。大丈夫。すぐにはバレない。ねっ!シィーちゃん。」
「えっ?」
なんでそこでシィーがでてくるの?
横目で私の肩に座っているシィーを見る。
シィーはドヤ顔で得意げに胸を張る。
「ふふふっ!チカ安心するの!私とマリーが協力して手は打ってあるの!」
「いったいなにをしたの?」
「ん。これを3人分ベットに置いてきた。」
マリーちゃんは猫耳パーカーのポケットから人型の大きなぬいぐるみを取り出して私に見せてくる。
なんとなく顔がマリーちゃんと似てる気がする。大きさはマリーちゃんとほとんど一緒だ。
「いやいやっ!!これじゃすぐバレちゃうよ!!」
「絶対バレねえの!」
「ん。バレない。」
おもわず首を傾げる。
マリアさんもジョンさんも子供じゃないんだから気づかないわけがない。二人のこの妙な自信は一体どこからくるんだろう...。
「ねえ。なんでそんなに自信満々なの?」
「ふふふっ!こういうことなの!」
シィーはマリーちゃんの手に握られているぬいぐるみに向けて手をかざす。
ぬいぐるみが淡い光に包まれて、徐々にマリーちゃんそっくりに変わっていく。
「ええええっ!?」
淡い光が消えるとぬいぐるみの姿はマリーちゃんと見分けがつかないモノに変わっていた。
澄まし顔のマリーちゃの手に握られて、うつろな瞳でぶら~んとしてるぬいぐるみマリーちゃん。
「うわっ...。」
おもわず顔がひきつる。
本当にマリーちゃんにしか見えない。
そっくりすぎて不気味だよこれ。
夜中に一人で見たらおもわず悲鳴をあげてしまうかもしれない。
恐る恐るぬいぐるみに触れてみる。
間違いなくぬいぐるみだったはずなのに、肌触りがぬいぐるみとは思えない。
肌の温もりすら感じる。
「ぷっ!アハハっ!チカが面白い顔になってるの!」
シィーが私をみて無邪気に笑う。
こういう時のシィーはホントにタチが悪い。
「まあこのシィー様にかかればこんな事は造作もないの!2、3日はバレないの!」
「ん!さすがシィーちゃん。」
二人は仲良さげにハイタッチをする。
私は顔をピクピクと引きつらせながら、呆れ顔で二人を見つめる。
ゲーム機のときも思ったことだけど、二人とも限度を知らなすぎる。
『混ぜるな危険。』
この言葉が二人にはピッタリかもしれない。
「ね、ねえ。シィーこれってどうなってるのかな?人肌の温かさまで感じるんだけど。」
「精霊魔法でぬいぐるみを魔力で覆ってるの!見た目もそっくりに変えて温度まで再現したの!」
確かにこれならバレないかも知れない。
だけどこれって...。
「ねえ...。これ朝になってから大騒ぎになるんじゃないかな?」
「ん?どうして?」
「どうしてなの?」
二人とも不思議そうにコテンっと可愛く首を傾げる。
「だってこのぬいぐるみって動いたり喋ったりするわけじゃないんだよね?」
「その通りなの!近くにいれば動かすぐらいならできるけど、離れた場所から動かすことはできないの!」
「ん。チカ。なにが問題?」
「ジョンさん達からしたら、朝起きたら私達3人とも動かなくなってるってことだよね?」
二人はキョトンとした顔で目をパチパチさせながら顔を見合わせる。
やっぱりそこまで考えてなかったんだね...。
ほとんど同時にハッと何かに気づいたように両手をポンと叩く。
「アハハ。たしかにそうなの!ま、まあでも仕方ないの!」
「ん。し、仕方ない。もう戻れない。」
「はあ...。」
遠い目をしながら王都にいるジョンさん達の方角を見つめる。
ジョンさん本当にごめんね。
無事帰れたら二人にはちゃんと謝らせるからね...。
王都をでて漆黒の大迷宮に向かう。
シィーに補助魔法をかけてもらって、月明かりに照らされた暗がりの草原を休憩しながら2時間ぐらい走ると遠くに建物らしき巨大な影が見えてくる。
「見えてきた。あれが漆黒の大迷宮。」
「じゃあ急がないとね。」
「ん!」
近づいていくにつれて巨大な影の全体の外観がだんだんハッキリと見えてくる。
「えっ...。」
おもわず足を止めて遺跡を眺める。
心臓が激しく鼓動する。
──どうしてこれがここにあるの?
「チカ...?急にどうしたの?」
草原の中に不自然に建てられた見覚えのある古代の遺跡。
静寂の中で、遺跡が月明かりに照らされて不気味な雰囲気を漂わせていた
出発前に回復アイテムとかの補充をしておこうかな?
迷宮でなにがあるか分からないしね!
「マリーちゃん!ポーションとかをしっかり補充してからいかない?」
「ん。準備は大事。ついてきて?」
マリーちゃんは私の手を握って、王都の雑貨屋まで案内してくれた。
「ここなんてどう?」
「おー!いいね!」
雑貨屋の外観を眺める。
石造りで2階建ての普通の雑貨屋だ。
ネコじゃない!
「ん。じゃあ私は食料を買ってくる。」
「りょうかい!じゃあ私はポーションを買ってくるね。」
すこし店内を歩いていると、ポーションの置いてあるコーナーはすぐ見つけることができた。
治癒ポーションと魔力回復ポーションを買い込んでバックにしまう。
シィーのおかげで魔力を過剰に摂取しても、大事になることはなくなったしね。
ものすごく気持ち悪くはなるからできるだけ避けたいけど...。
「チカ~。これも入れて?」
「ん?」
マリーちゃんの声がした方を見ると、マリーちゃんが両手いっぱいに大きな紙袋を抱えてフラフラしながら歩いてくる。
抱えている紙袋が大きすぎて横から覗くようにして私を見つめる姿が可愛らしい。
「わわっ!!マリーちゃん大丈夫!?」
「ん...。平気。よいしょっ...。」
マリーちゃんは紙袋をゆっくりと床に置いていく。
気になって紙袋の中を覗き込むと、たくさんの食料が全ての紙袋にぎっしりと詰め込まれていた。
「こんなに買ってきたの!?」
「ん!お腹減ってるかもしれないから!」
「そ、そっかー...。」
お姉ちゃん想いなのは良いことだけど、いくらなんでも買いすぎなんじゃ...。
メリィちゃんって小食だったよね?
このままにしておくわけにもいかないので、食料をバックにドンドンしまっていく。
「ふっー...。これで全部だね。じゃあそろそろ行こっか!あまりゆっくりしてるとジョンさん達が気付いて追いかけてくるかもよ?」
まあ私としてはジョンさんが一緒にきてくれたほうが安心なんだけどね。
「ん。大丈夫。すぐにはバレない。ねっ!シィーちゃん。」
「えっ?」
なんでそこでシィーがでてくるの?
横目で私の肩に座っているシィーを見る。
シィーはドヤ顔で得意げに胸を張る。
「ふふふっ!チカ安心するの!私とマリーが協力して手は打ってあるの!」
「いったいなにをしたの?」
「ん。これを3人分ベットに置いてきた。」
マリーちゃんは猫耳パーカーのポケットから人型の大きなぬいぐるみを取り出して私に見せてくる。
なんとなく顔がマリーちゃんと似てる気がする。大きさはマリーちゃんとほとんど一緒だ。
「いやいやっ!!これじゃすぐバレちゃうよ!!」
「絶対バレねえの!」
「ん。バレない。」
おもわず首を傾げる。
マリアさんもジョンさんも子供じゃないんだから気づかないわけがない。二人のこの妙な自信は一体どこからくるんだろう...。
「ねえ。なんでそんなに自信満々なの?」
「ふふふっ!こういうことなの!」
シィーはマリーちゃんの手に握られているぬいぐるみに向けて手をかざす。
ぬいぐるみが淡い光に包まれて、徐々にマリーちゃんそっくりに変わっていく。
「ええええっ!?」
淡い光が消えるとぬいぐるみの姿はマリーちゃんと見分けがつかないモノに変わっていた。
澄まし顔のマリーちゃの手に握られて、うつろな瞳でぶら~んとしてるぬいぐるみマリーちゃん。
「うわっ...。」
おもわず顔がひきつる。
本当にマリーちゃんにしか見えない。
そっくりすぎて不気味だよこれ。
夜中に一人で見たらおもわず悲鳴をあげてしまうかもしれない。
恐る恐るぬいぐるみに触れてみる。
間違いなくぬいぐるみだったはずなのに、肌触りがぬいぐるみとは思えない。
肌の温もりすら感じる。
「ぷっ!アハハっ!チカが面白い顔になってるの!」
シィーが私をみて無邪気に笑う。
こういう時のシィーはホントにタチが悪い。
「まあこのシィー様にかかればこんな事は造作もないの!2、3日はバレないの!」
「ん!さすがシィーちゃん。」
二人は仲良さげにハイタッチをする。
私は顔をピクピクと引きつらせながら、呆れ顔で二人を見つめる。
ゲーム機のときも思ったことだけど、二人とも限度を知らなすぎる。
『混ぜるな危険。』
この言葉が二人にはピッタリかもしれない。
「ね、ねえ。シィーこれってどうなってるのかな?人肌の温かさまで感じるんだけど。」
「精霊魔法でぬいぐるみを魔力で覆ってるの!見た目もそっくりに変えて温度まで再現したの!」
確かにこれならバレないかも知れない。
だけどこれって...。
「ねえ...。これ朝になってから大騒ぎになるんじゃないかな?」
「ん?どうして?」
「どうしてなの?」
二人とも不思議そうにコテンっと可愛く首を傾げる。
「だってこのぬいぐるみって動いたり喋ったりするわけじゃないんだよね?」
「その通りなの!近くにいれば動かすぐらいならできるけど、離れた場所から動かすことはできないの!」
「ん。チカ。なにが問題?」
「ジョンさん達からしたら、朝起きたら私達3人とも動かなくなってるってことだよね?」
二人はキョトンとした顔で目をパチパチさせながら顔を見合わせる。
やっぱりそこまで考えてなかったんだね...。
ほとんど同時にハッと何かに気づいたように両手をポンと叩く。
「アハハ。たしかにそうなの!ま、まあでも仕方ないの!」
「ん。し、仕方ない。もう戻れない。」
「はあ...。」
遠い目をしながら王都にいるジョンさん達の方角を見つめる。
ジョンさん本当にごめんね。
無事帰れたら二人にはちゃんと謝らせるからね...。
王都をでて漆黒の大迷宮に向かう。
シィーに補助魔法をかけてもらって、月明かりに照らされた暗がりの草原を休憩しながら2時間ぐらい走ると遠くに建物らしき巨大な影が見えてくる。
「見えてきた。あれが漆黒の大迷宮。」
「じゃあ急がないとね。」
「ん!」
近づいていくにつれて巨大な影の全体の外観がだんだんハッキリと見えてくる。
「えっ...。」
おもわず足を止めて遺跡を眺める。
心臓が激しく鼓動する。
──どうしてこれがここにあるの?
「チカ...?急にどうしたの?」
草原の中に不自然に建てられた見覚えのある古代の遺跡。
静寂の中で、遺跡が月明かりに照らされて不気味な雰囲気を漂わせていた
0
お気に入りに追加
701
あなたにおすすめの小説
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
幼馴染みを寝取られた無能ですが、実は最強でした
一本橋
ファンタジー
「ごめん、他に好きな人が出来た」
婚約していた幼馴染みに突然、そう言い渡されてしまった。
その相手は日頃から少年を虐めている騎士爵の嫡男だった。
そんな時、従者と名乗る美少女が現れ、少年が公爵家の嫡男である事を明かされる。
そして、無能だと思われていた少年は、弱者を演じていただけであり、実は圧倒的な力を持っていた。
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる