【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜

葉月

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日記と手紙 ④

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『ルーカスへ』

何通も手紙をくれていたのに随分長い間、返事を出していなくて、ごめん。
こんなに長い間、手紙のやり取りをしていなかったのは、初めてだね。
本当はもっと早くに返事を書きたかったんだけど、なんて書いたらいいかわからなくて……。

僕、もうすぐオリバー家の次期城主、サイモンと結婚するって言っただろ?
サイモンはかっこよくて、優しくて、乗馬や剣術もうまくて色々なことを知って、ルーカスみたいに口は悪くなくて、とっても丁寧なんだ。

だからサイモンはレオナルドと僕の、小さい頃からの憧れの人。
そんな憧れの人と結婚できるなんて、僕は本当に幸せだと思った。
だから親友のルーカスに結婚のことを教えたのに、返事は

ー俺にはオリバーのどこがいいかわからないー

だけだっただろ?
前から知ってはいたけど、ルーカスはなんて失礼なやつなんだ!お子様なんだ!って思ったよ。

もうルーカスなんて知らない!って、もう親友なんかじゃない!って。
親友じゃなくなったから返事を書かなかったのに、ルーカスから

ーごめんー

って書かれた手紙が届いて、これで仲直りできるかもって嬉しかったんだ。

僕だって本当はルーカスとの手紙のやりとり、すごく楽しかったし、毎日ルーカスからの手紙が届くのをずっと部屋の窓から見ていたんだ。

ルーカスのことを考えるとドキドキするし、手紙を書いている時はワクワクするし、今すぐに会いたくなる。
ルーカスに返事を書かなくなって気がついたんだ。 
サイモンのことはレオナルドと同じ、素敵なお兄さんみたいで大好きだけど、僕はルーカスのことは、お兄ちゃんじゃなくてもっと違う大好きなんだって。
僕がずっと一緒にいたいのはルーカスだって。

だからね、僕、父様にサイモンとの結婚は辞めたいっていおうと思うんだ。
本当はルーカスと結婚したいけど、ルーカスは帝国の第二王子、僕みたいな人間とは結婚できない。
だったらこうして、ずっと文通をしていたいんだ。

ねぇルーカス。
また帝都の感謝祭の話教えてよ。
僕は春になったら珍しい花でしおりを作るよ。

今はまだ行けないけど、元気になったらルーカスに会いに行くね。
ルーカス、こんな僕だけど、これからもよろしくね。
大好きだよルーカス。

ーミカエルよりー

 ルーカス様へのミカの気持ちが溢れていて、ミカの字が歪んでいるからか、僕の涙で字が歪んで見えるのかわからない。
 ルーカス様への手紙の後に、こう綴られていた。

最愛なるレオナルド兄さん。
もし僕がこのままいなくなってしまっても、僕はずっとレオのそばにいるよ。
大好きだよレオ。
絶対絶対、サイモンと幸せになってね。
サイモン、レオと幸せになって。
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