90 / 105
日記と手紙 ③
しおりを挟む
○月×日 大好きなレオへ
今日は僕の友達、ルーカスから初めて手紙が届いたよ。
ルーカスは僕たちの2歳年下で、口は悪くて、乱暴な話し方なんだけど、初めて会った時に僕が咳をしていたら、マントを貸してくれる優しい奴なんだ。
ルーカスの話ではね、今帝都では『練り飴』と言って、柔らかく溶かした飴を練って、動物の形にした飴が流行ってるみたい。
本当はルーカスもその練り飴が欲しいんだけど、小さい子が喜びそうなものだから、欲しいというのは恥ずかしいんだって。
ルーカスは僕たちよりも年下で、幼いから欲しいって言ってもいいのに言えないなんて、笑っちゃうだろ?
もし僕が帝都に行く時があったら、僕がルーカスとレオに練り飴買ってあげるよ。
だからレオも楽しみにしててね。
△月×日 大好きなレオへ
今日の入れ替わりごっこ、楽しかったね。誰も僕たちが入れ替わったこと、気がつかなかったね。
あ、でもサイモンは気が付いていたんだ。レオと僕の顔や姿や話し方は、全然違うって。
でもサイモンは僕たちには、入れ替わりがわからなかったフリをしてただろ?
なんでそんなことしたの?って聞いたら「2人とも一生懸命、相手になりきってたのが可愛くて」だってさ。
このことはレオには秘密にするって約束したんだけど……、日記の中のレオに話しかけるのはいいよね。
それにしても、あんなに完璧に入れ替わったのに、やっぱりサイモンはみんなと違うね。
□月○日 大好きなレオへ
18歳の誕生日になったら、大好きなサイモンと結婚するって、親友のルーカスに手紙を出したら、ルーカスなんてあったと思う?
『俺にはオリバーのどこがいいかわからない』なんだよ!
僕は一瞬、目を疑ったよ。
あのサイモンのいいところがわからないって、ルーカスの目はどんなに節穴なんだよ。
そんな失礼なルーカスには、もう返事は出さない。
僕は怒ってるんだからね。
×月○日 大好きなレオへ
今日からサイモンは夏の間、邸宅に泊まってくれることになったね。
最近サイモンは忙しくて、なかなか会えなかったから僕たち、今日の日を本当に楽しみにしてたね。
なのに僕の咳が治らなくて、父様たちに咳のことを秘密にしてなんて言ったから、レオが怒られてサイモンに会えなくなってしまって、本当にごめんなさい。
サイモンにレオがすごく会いたがっていたって言っておいたから、きっとサイモンはレオのところに行ってくれたと思う。
サイモンは僕たちのことを『特別だ』って言ってくれてたけど、僕に対しての特別と、レオに対しての特別は違うと思う。
レオはどう思う?
×月□日 大好きなレオへ
昨日、ルーカスから『ごめん』って手紙が届いたんだ。
ルーカスに手紙を出さなくなって一ヶ月が経って、僕、いろいろ考えたんだ。
僕、ルーカスのこと友達としてじゃなく、好きみたい。
だから今度出す手紙には、仲直りしてちゃんとルーカスに好きだって書くんだ。
×月△日 大好きなレオへ
昨日、街での買い物の時、わがまま言っちゃってごめんね。
あんなこと風に言うつもりは、なかったんだ。
本当は街で買ったレモンの木を、街がよく見えたあの丘の上に、一緒に植えたかったんだ。
そうしたら僕が一緒に丘に行けなかったとしても、レモンの木が僕の代わりになってくれるでしょ?
それにねレオがいつも淹れてくれるお茶は、レモンの香りがして僕は大好きなんだ。
だからいつかレモンの実がなったら、今度は僕がレオにお茶を淹れてあげるね。
それまでに、こっそりお茶を淹れる勉強しないと!
ページをめくっていくと、次のページはひどく乱れた字で書かれていた。
×月×日 大好きなレオへ
熱が下がらなくて、たくさん吐いてしまう。
今回の風邪は本当に厳しいかしれない。
本当はレオに会いたいけど、僕の風邪をうつしてしまうといけないから、まだ会いにいけないんだ。
父様と母様から、レオも熱があるって聞いて心配だよ。
僕、毎日神様に「レオが早く元気になりますように」ってお祈りしているから、誰に対しても優しいレオを神様はきっと、元気ににしてくださるよ。
レオ、もし、この日記を見ることがあれば一つお願いがあるんだ。
それはルーカスへの手紙を代筆して、届けて欲しいんだ。
本当は僕が書けばいいんだけど、こんな汚い字、ルーカスには見せられない。
だからお願い、どうか僕の気持ちをルーカスに届けて欲しい。
日記には青い小さな花の押し花がされている便箋が出てきた。
確かこれはサイモンとミカと僕と一緒に街に買い物に行った時、ミカが買っていた便箋だ。
「ルーカス様、今からミカからルーカス様への手紙を読みます」
僕はミカの気持ちが伝わるように、ゆっくりとミカからの手紙を声に出して読んだ。
今日は僕の友達、ルーカスから初めて手紙が届いたよ。
ルーカスは僕たちの2歳年下で、口は悪くて、乱暴な話し方なんだけど、初めて会った時に僕が咳をしていたら、マントを貸してくれる優しい奴なんだ。
ルーカスの話ではね、今帝都では『練り飴』と言って、柔らかく溶かした飴を練って、動物の形にした飴が流行ってるみたい。
本当はルーカスもその練り飴が欲しいんだけど、小さい子が喜びそうなものだから、欲しいというのは恥ずかしいんだって。
ルーカスは僕たちよりも年下で、幼いから欲しいって言ってもいいのに言えないなんて、笑っちゃうだろ?
もし僕が帝都に行く時があったら、僕がルーカスとレオに練り飴買ってあげるよ。
だからレオも楽しみにしててね。
△月×日 大好きなレオへ
今日の入れ替わりごっこ、楽しかったね。誰も僕たちが入れ替わったこと、気がつかなかったね。
あ、でもサイモンは気が付いていたんだ。レオと僕の顔や姿や話し方は、全然違うって。
でもサイモンは僕たちには、入れ替わりがわからなかったフリをしてただろ?
なんでそんなことしたの?って聞いたら「2人とも一生懸命、相手になりきってたのが可愛くて」だってさ。
このことはレオには秘密にするって約束したんだけど……、日記の中のレオに話しかけるのはいいよね。
それにしても、あんなに完璧に入れ替わったのに、やっぱりサイモンはみんなと違うね。
□月○日 大好きなレオへ
18歳の誕生日になったら、大好きなサイモンと結婚するって、親友のルーカスに手紙を出したら、ルーカスなんてあったと思う?
『俺にはオリバーのどこがいいかわからない』なんだよ!
僕は一瞬、目を疑ったよ。
あのサイモンのいいところがわからないって、ルーカスの目はどんなに節穴なんだよ。
そんな失礼なルーカスには、もう返事は出さない。
僕は怒ってるんだからね。
×月○日 大好きなレオへ
今日からサイモンは夏の間、邸宅に泊まってくれることになったね。
最近サイモンは忙しくて、なかなか会えなかったから僕たち、今日の日を本当に楽しみにしてたね。
なのに僕の咳が治らなくて、父様たちに咳のことを秘密にしてなんて言ったから、レオが怒られてサイモンに会えなくなってしまって、本当にごめんなさい。
サイモンにレオがすごく会いたがっていたって言っておいたから、きっとサイモンはレオのところに行ってくれたと思う。
サイモンは僕たちのことを『特別だ』って言ってくれてたけど、僕に対しての特別と、レオに対しての特別は違うと思う。
レオはどう思う?
×月□日 大好きなレオへ
昨日、ルーカスから『ごめん』って手紙が届いたんだ。
ルーカスに手紙を出さなくなって一ヶ月が経って、僕、いろいろ考えたんだ。
僕、ルーカスのこと友達としてじゃなく、好きみたい。
だから今度出す手紙には、仲直りしてちゃんとルーカスに好きだって書くんだ。
×月△日 大好きなレオへ
昨日、街での買い物の時、わがまま言っちゃってごめんね。
あんなこと風に言うつもりは、なかったんだ。
本当は街で買ったレモンの木を、街がよく見えたあの丘の上に、一緒に植えたかったんだ。
そうしたら僕が一緒に丘に行けなかったとしても、レモンの木が僕の代わりになってくれるでしょ?
それにねレオがいつも淹れてくれるお茶は、レモンの香りがして僕は大好きなんだ。
だからいつかレモンの実がなったら、今度は僕がレオにお茶を淹れてあげるね。
それまでに、こっそりお茶を淹れる勉強しないと!
ページをめくっていくと、次のページはひどく乱れた字で書かれていた。
×月×日 大好きなレオへ
熱が下がらなくて、たくさん吐いてしまう。
今回の風邪は本当に厳しいかしれない。
本当はレオに会いたいけど、僕の風邪をうつしてしまうといけないから、まだ会いにいけないんだ。
父様と母様から、レオも熱があるって聞いて心配だよ。
僕、毎日神様に「レオが早く元気になりますように」ってお祈りしているから、誰に対しても優しいレオを神様はきっと、元気ににしてくださるよ。
レオ、もし、この日記を見ることがあれば一つお願いがあるんだ。
それはルーカスへの手紙を代筆して、届けて欲しいんだ。
本当は僕が書けばいいんだけど、こんな汚い字、ルーカスには見せられない。
だからお願い、どうか僕の気持ちをルーカスに届けて欲しい。
日記には青い小さな花の押し花がされている便箋が出てきた。
確かこれはサイモンとミカと僕と一緒に街に買い物に行った時、ミカが買っていた便箋だ。
「ルーカス様、今からミカからルーカス様への手紙を読みます」
僕はミカの気持ちが伝わるように、ゆっくりとミカからの手紙を声に出して読んだ。
32
お気に入りに追加
908
あなたにおすすめの小説
あなたが愛してくれたから
水無瀬 蒼
BL
溺愛α×β(→Ω)
独自設定あり
◇◇◇◇◇◇
Ωの名門・加賀美に産まれたβの優斗。
Ωに産まれなかったため、出来損ない、役立たずと言われて育ってきた。
そんな優斗に告白してきたのは、Kコーポレーションの御曹司・αの如月樹。
Ωに産まれなかった優斗は、幼い頃から母にΩになるようにホルモン剤を投与されてきた。
しかし、優斗はΩになることはなかったし、出来損ないでもβで良いと思っていた。
だが、樹と付き合うようになり、愛情を注がれるようになってからΩになりたいと思うようになった。
そしてダメ元で試した結果、βから後天性Ωに。
これで、樹と幸せに暮らせると思っていたが……
◇◇◇◇◇◇
【完結】あなたの恋人(Ω)になれますか?〜後天性オメガの僕〜
MEIKO
BL
この世界には3つの性がある。アルファ、ベータ、オメガ。その中でもオメガは希少な存在で。そのオメガで更に希少なのは┉僕、後天性オメガだ。ある瞬間、僕は恋をした!その人はアルファでオメガに対して強い拒否感を抱いている┉そんな人だった。もちろん僕をあなたの恋人(Ω)になんてしてくれませんよね?
前作「あなたの妻(Ω)辞めます!」スピンオフ作品です。こちら単独でも内容的には大丈夫です。でも両方読む方がより楽しんでいただけると思いますので、未読の方はそちらも読んでいただけると嬉しいです!
後天性オメガの平凡受け✕心に傷ありアルファの恋愛
※独自のオメガバース設定有り
シャルルは死んだ
ふじの
BL
地方都市で理髪店を営むジルには、秘密がある。実はかつてはシャルルという名前で、傲慢な貴族だったのだ。しかし婚約者であった第二王子のファビアン殿下に嫌われていると知り、身を引いて王都を四年前に去っていた。そんなある日、店の買い出しで出かけた先でファビアン殿下と再会し──。
【BL】こんな恋、したくなかった
のらねことすていぬ
BL
【貴族×貴族。明るい人気者×暗め引っ込み思案。】
人付き合いの苦手なルース(受け)は、貴族学校に居た頃からずっと人気者のギルバート(攻め)に恋をしていた。だけど彼はきらきらと輝く人気者で、この恋心はそっと己の中で葬り去るつもりだった。
ある日、彼が成り上がりの令嬢に恋をしていると聞く。苦しい気持ちを抑えつつ、二人の恋を応援しようとするルースだが……。
※ご都合主義、ハッピーエンド
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
事故つがいの夫は僕を愛さない ~15歳で番になった、オメガとアルファのすれちがい婚~【本編完結】
カミヤルイ
BL
2023.9.19~完結一日目までBL1位、全ジャンル内でも20位以内継続、ありがとうございました!
美形アルファと平凡オメガのすれ違い結婚生活
(登場人物)
高梨天音:オメガ性の20歳。15歳の時、電車内で初めてのヒートを起こした。
高梨理人:アルファ性の20歳。天音の憧れの同級生だったが、天音のヒートに抗えずに番となってしまい、罪悪感と責任感から結婚を申し出た。
(あらすじ)*自己設定ありオメガバース
「事故番を対象とした番解消の投与薬がいよいよ完成しました」
ある朝流れたニュースに、オメガの天音の番で、夫でもあるアルファの理人は釘付けになった。
天音は理人が薬を欲しいのではと不安になる。二人は五年前、天音の突発的なヒートにより番となった事故番だからだ。
理人は夫として誠実で優しいが、番になってからの五年間、一度も愛を囁いてくれたこともなければ、発情期以外の性交は無く寝室も別。さらにはキスも、顔を見ながらの性交もしてくれたことがない。
天音は理人が罪悪感だけで結婚してくれたと思っており、嫌われたくないと苦手な家事も頑張ってきた。どうか理人が薬のことを考えないでいてくれるようにと願う。最近は理人の帰りが遅く、ますます距離ができているからなおさらだった。
しかしその夜、別のオメガの匂いを纏わりつけて帰宅した理人に乱暴に抱かれ、翌日には理人が他のオメガと抱き合ってキスする場面を見てしまう。天音ははっきりと感じた、彼は理人の「運命の番」だと。
ショックを受けた天音だが、理人の為には別れるしかないと考え、番解消薬について調べることにするが……。
表紙は天宮叶さん@amamiyakyo0217

オメガバα✕αBL漫画の邪魔者Ωに転生したはずなのに気付いた時には主人公αに求愛されてました
和泉臨音
BL
落ちぶれた公爵家に生まれたミルドリッヒは無自覚に前世知識を活かすことで両親を支え、優秀なαに成長するだろうと王子ヒューベリオンの側近兼友人候補として抜擢された。
大好きな家族の元を離れ頑張るミルドリッヒに次第に心を開くヒューベリオン。ミルドリッヒも王子として頑張るヒューベリオンに次第に魅かれていく。
このまま王子の側近として出世コースを歩むかと思ったミルドリッヒだが、成長してもαの特徴が表れず王城での立場が微妙になった頃、ヒューベリオンが抜擢した騎士アレスを見て自分が何者かを思い出した。
ミルドリッヒはヒューベリオンとアレス、α二人の禁断の恋を邪魔するΩ令息だったのだ。
転生していたことに気付かず前世スキルを発動したことでキャラ設定が大きく変わってしまった邪魔者Ωが、それによって救われたα達に好かれる話。
元自己評価の低い王太子α ✕ 公爵令息Ω。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる