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真実 ⑥

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 嶺塚は子どもの細胞を見たが、異常は見当たらなかった。
 だがもしもに備えて研究を続けながら、子どもを見守ろうと決める。

 そのためには多額の資金が必要だった。
 嶺塚はため研究者ををやめ、家業を継ぎ、密かに研究資金を作った。
 だがそれだけは資金は足らず、闇の世界に足を踏み入れると、薬物、誘拐、人身売買が蔓延っていた。
 嶺塚は施設を作り、人身売買で売られる子どもをできる限り保護した。

 森本は「誘拐され売られそうになったのを旦那様に保護していただき、その施設で育ったのが私です」と付け加えた。
 
 雅成の母親には女神の兆候は見られなかったが、それでも見守り続けていると、雅成に女神の兆候が現れていたことに気付いた。

 その頃、雅成の前の女神の存在を知っていた人達の中で新しい女神のの話が上がるようになり、嶺塚が急いで雅成を養子にし、女神がいる闇オークションを開催し、誰が女神の主かを周知させたとのことだった。

「本当は旦那様は雅成様にあんなことさせたくないんです。でもそうしないと誰かに誘拐され、薬漬けにされもっと酷いことをさせられるかもと危惧なさっていました。雅成様はどうして女神に挿入できるのは伴侶だけだとご存じですか?」
「それは……伴侶以外が挿入すると女神の効力がなくなるからなんじゃないんですか?」
「建前上そうなんですが、本当は違うんです」
「え?」
「本当はそんなことないんです。でもそう言えば、雅成様は拓海様……愛する人以外と行為をしなくていいからです。旦那様は雅成様にも拓海様にも辛い思いをさせたくなかったんです」
「!」
 考えもしなかったことに、雅成は言葉をなくす。

「それは他のキャストも同じです。彼らは愛し合った者同士です。しかもキャストになると志願した施設出身者ばかりです」
「え? みんなそうなんですか?」
「はい。オークションでの売り上げは全て人身売買で売られそうになった子ども達の保護のために、研究費は旦那様の資産を削って出されています」
「……」

「旦那様はみんなには美味しいものを食べなさいとたくさんご馳走してくださるのに、自分はお茶漬けでいいと決して贅沢をされない方です。だから私たちは旦那様のため、旦那様が大切に思われてている雅成様、拓海様のため、キャストになったり研究者になったり専属のSPになったり、料理人になったりしてお仕えしているんです」
 嶺塚の周りにいる人達のほとんどが、嶺塚が助けた子ども達だった。

 そして今、拓海は嶺塚から子ども達保護の仕事を任されるようになってきたと聞かされた。
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