αとβとΩと俺 〜αの番には運命のΩがいて… βの俺が出来ることは…〜

葉月

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ー治療方法 ② 伊吹sideー

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「中星先生‼︎俺『オメガ化』治療がいいです!」
瑆が伊吹の両親に今後の治療スケジュールを話しをしているのを遮る。
「それだと今の伊吹くんの体への負担が大きいし、フェロモンの暴走も気になる」
伊吹が言うことを予測していたように、瑆話し出す。
「でも…」
「伊吹くん。ベータ化治療からオメガ化治療への変更はできるけど、オメガ化の治療を始めると、もうベータ化治療変更はできない。だからベータ化治療から始めてみてもいいんじゃない?」
瑆は優しく微笑む。

それでも…
ベータ化治療している間に、蒼の気持ちが変わるかもしれない。
だから、早く、早く俺はオメガにならないとダメなんだ。

「伊吹、お父さんも中星先生が言われるように、まずベータ化治療で様子を見たほうがいいと思うぞ」
ベータ化治療を伊吹の父親も勧めるが、
「でも、俺はオメガ化治療したいんです。どうしても…」
伊吹の気持ちは揺るがない。
「伊吹、お母さんもベータ化治療の方が……」
母親が言いかけた時、
「俺、オメガ化以外の治療は受けない‼︎もしベータ化治療するなら、もうこのままでいい」
伊吹が言い切った。

蒼がいないこの先なんて、いらない。

「伊吹‼︎」
「父さん、自分の治療方法は自分で決めたい‼︎もう子供じゃないんだ‼︎」
伊吹が声を張り上げる。
「俺、オメガになりたいんだ…」
伊吹の目に涙がたまる。

『オメガになって、蒼の番になりたいんだ…』

この言葉が喉まで出かかっている。

でもこの言葉を言ってしまえば、確実に
『そんな動機でオメガになりたいなんて、許さない』って言われるに決まってる。
『オメガにならなくても、蒼くんと一緒にいられる』って。
でも、俺は臆病だから、約束が、制約が欲しいんだ。
絶対に蒼が俺の番になってくれて、ずっと一緒にいてくれるって…

蒼は優しいから、俺の頸を噛んだら、もし柚くんの元に行きたくなっても、俺と一緒にいてくれる。
たとえ気持ちがなくなっても、ずっといてくれる…
その約束が欲しいんだ……。

「父さん、母さん。これはお願いじゃない。脅しだよ」
「‼︎」
「‼︎」
「‼︎」
驚きで伊吹の両親と瑆の目が見開かれる。
「もし無理矢理にでもベータ化治療するって言うなら、俺はいなくなるよ…。それでもいい?」
いつもの穏やかな伊吹からは考えられないような言い方。

父さん、母さん、ごめんなさい。
でも、これは譲れない……

「伊吹‼︎そんなわがまま通ると思ってるのか‼︎」
父親がガタンっと立ち上がる。
「これからを左右することなんだ!だから自分で決める‼︎」
伊吹も一歩の引かない。

「伊吹‼︎」
伊吹の父親が声を張り上げた時、
「……わかりました…」
静かに瑆が言葉を遮り、
「伊吹くんの体がオメガ治療に耐えられるか、検査入院をしてもらってから、また決めるのはいかがですか?」
瑆が言った。
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