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ーあなたの番になりたい… 伊吹sideー
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カーテンの隙間から差し込む太陽の光で目覚めた伊吹が、そっと目を開けるとそこには安心して眠る蒼の姿が。
そして2人して何も纏わず裸。
そんな姿のまま伊吹は蒼に抱きしめられていて、
床を見ると、脱ぎ捨てられた2人の服が散らばっている。
これって…
もしかして、蒼とH…したの?
伊吹はいくら思い出そうとしても、思い出せない。
どうして思い出せないの⁉︎
その時の記憶全てが欠如してしまった…
そんな感覚に伊吹は陥っていた。
伊吹は蒼を起こさないように、そっとベットを抜け出そうとすると、
「…ん…。伊吹…?」
伊吹を逃さないというように、伊吹を抱きしめる蒼の腕に力が入る。
「おはよ。伊吹…」
無防備な笑顔で伊吹を見つめる蒼は、幸せが満ち溢れている。
「おはよ。…あの…、蒼…。昨日の事って…」
伊吹が言いかけると、
「あれって本当?伊吹……」
蒼に聞き返される。
「え?」
「ほら、昨日伊吹が『俺と番になりたい』って、言ってくれた事…」
!!!!
驚きで伊吹が息を呑む。
俺、そんな事言ったの⁉︎
蒼の運命の人は柚くんなのに⁉︎
伊吹の胸がキュッと苦しくなる。
「あれ、本当?本当にそう思ってくれてる?」
「…」
『蒼と番になりたい』
それは本当。
心の底からそう思う。
でも、それはできないじゃないか…
運命の人じゃないんだから…
蒼は運命の人と出会ってしまったんだから…
「俺、伊吹にそう言ってもらえて本当に嬉しかった。俺も伊吹と番になりたかったから…。もし、伊吹が俺を選んでくれたら、どんなに幸せか…って思ってたから…」
優しく微笑み、そして掌で伊吹の頬を包み込む。
「伊吹。ずっとそばにいて。改めて言うよ。俺と番になってください」
「‼︎‼︎」
伊吹の瞳から涙が溢れ出す。
諦めてたんだ。
どんなに俺が蒼の事が好きで、
どんなに一緒にいたいと思っても、それは束の間の話で、
ずっと一緒にはいられない。
必ず別れがくるって…
覚悟してたんだ。
だから、蒼の事、好きにならないよう努力もしてきた。
でも、できなかったんだ。
本当は苦しかったんだ。
毎日目が覚めて、
『もし、今日、蒼に別れを告げられたらどうしよう…』って…
『きちんと、さよならできるのかな…?』って…
本当にいいの?蒼…
俺、運命の人じゃないよ…
だけど、本当にいいの?
「蒼、本当に…いいの…?俺、蒼の運命の人じゃないのに…」
口に出してしまうと、本当に苦しい。
もし蒼の気持ちが今後変わるかもしれないなら、今ここで別れを告げてほしい…
「何言ってるの?伊吹は俺の運命の人だよ。出会った時から」
本当に⁉︎
信じて……いいんだよね……。
これを言ったら、もう後戻りはできない……
「蒼。俺も蒼と番に…番になりたい…」
蒼が言ってくれた嬉しさと、もしもの時の覚悟が崩れてしまった不安の中、伊吹は蒼の胸に顔を埋めた。
そして2人して何も纏わず裸。
そんな姿のまま伊吹は蒼に抱きしめられていて、
床を見ると、脱ぎ捨てられた2人の服が散らばっている。
これって…
もしかして、蒼とH…したの?
伊吹はいくら思い出そうとしても、思い出せない。
どうして思い出せないの⁉︎
その時の記憶全てが欠如してしまった…
そんな感覚に伊吹は陥っていた。
伊吹は蒼を起こさないように、そっとベットを抜け出そうとすると、
「…ん…。伊吹…?」
伊吹を逃さないというように、伊吹を抱きしめる蒼の腕に力が入る。
「おはよ。伊吹…」
無防備な笑顔で伊吹を見つめる蒼は、幸せが満ち溢れている。
「おはよ。…あの…、蒼…。昨日の事って…」
伊吹が言いかけると、
「あれって本当?伊吹……」
蒼に聞き返される。
「え?」
「ほら、昨日伊吹が『俺と番になりたい』って、言ってくれた事…」
!!!!
驚きで伊吹が息を呑む。
俺、そんな事言ったの⁉︎
蒼の運命の人は柚くんなのに⁉︎
伊吹の胸がキュッと苦しくなる。
「あれ、本当?本当にそう思ってくれてる?」
「…」
『蒼と番になりたい』
それは本当。
心の底からそう思う。
でも、それはできないじゃないか…
運命の人じゃないんだから…
蒼は運命の人と出会ってしまったんだから…
「俺、伊吹にそう言ってもらえて本当に嬉しかった。俺も伊吹と番になりたかったから…。もし、伊吹が俺を選んでくれたら、どんなに幸せか…って思ってたから…」
優しく微笑み、そして掌で伊吹の頬を包み込む。
「伊吹。ずっとそばにいて。改めて言うよ。俺と番になってください」
「‼︎‼︎」
伊吹の瞳から涙が溢れ出す。
諦めてたんだ。
どんなに俺が蒼の事が好きで、
どんなに一緒にいたいと思っても、それは束の間の話で、
ずっと一緒にはいられない。
必ず別れがくるって…
覚悟してたんだ。
だから、蒼の事、好きにならないよう努力もしてきた。
でも、できなかったんだ。
本当は苦しかったんだ。
毎日目が覚めて、
『もし、今日、蒼に別れを告げられたらどうしよう…』って…
『きちんと、さよならできるのかな…?』って…
本当にいいの?蒼…
俺、運命の人じゃないよ…
だけど、本当にいいの?
「蒼、本当に…いいの…?俺、蒼の運命の人じゃないのに…」
口に出してしまうと、本当に苦しい。
もし蒼の気持ちが今後変わるかもしれないなら、今ここで別れを告げてほしい…
「何言ってるの?伊吹は俺の運命の人だよ。出会った時から」
本当に⁉︎
信じて……いいんだよね……。
これを言ったら、もう後戻りはできない……
「蒼。俺も蒼と番に…番になりたい…」
蒼が言ってくれた嬉しさと、もしもの時の覚悟が崩れてしまった不安の中、伊吹は蒼の胸に顔を埋めた。
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