αとβとΩと俺 〜αの番には運命のΩがいて… βの俺が出来ることは…〜

葉月

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ーー記憶 ① 蒼sideーー

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なんとか家に帰ってきたが、眠気と伊吹の甘い香りで頭がクラクラする。
鼓動も早くなってきて、早く薬を飲みたいが、伊吹の目があって飲めない。
俺の変化に気がついている伊吹が、『俺が薬を飲む』と、言い出したが、なんとかそれは阻止できた。
伊吹の体に負担はかけたくないんだ…


「蒼、つらいんでしょ?」
眉間にシワを寄せている蒼の顔を伊吹が覗き込む。
「大丈夫……。だけど、ちょっと菊池先生に電話してみるよ…」

もうこの前処方してもらった薬は飲めない。
だから学さんに処方してもらった薬を飲んでも大丈夫か?
それとも病院に今から行ったほうがいいか?
相談したい。

携帯を取りに、蒼が立ち上がると…

あ…やばい……

蒼はふらつき、あと少しで机の角で頭を打ちそうになっていた。
「蒼‼︎」
倒れそうになる蒼を受け止めようと、伊吹が蒼のそばに駆け寄る。
「ごめん。ちょっと立ちくらみ。やっぱりちょっと大丈夫じゃないかもな…」

一度、診察してもらった方がいいな…
これはちょっと、様子を見過ぎたな……

蒼は額に冷や汗をかき始め、フラつく足元に力を入れようとした時、伊吹が自分の肩を貸そうと蒼の体に触れたとき、

!!!!
!!!!

伊吹の体内から、一気にフェロモンが放出された。

今度は、もう無理だ‼︎
伊吹と同じ部屋にはいられない‼︎

「伊吹ごめん。ちょっと1人にさせ欲し……‼︎」
蒼が伊吹の身体を押しのけようとしたとき、伊吹の方から濃厚なキスをしてきた。
いつもの伊吹からは想像できないような、濃厚なキス。

蒼の唇を舌でこじ開け、蒼の舌と伊吹の舌を絡め取ると嬉しそうに微笑む。
自分の身体を蒼にピッタリとくっつけると、蒼の腰に手を周し、甘えるような眼差しで蒼を誘う。

「蒼、辛いんでしょ?俺が治してあげるよ…」
「え…?」
聞き返す前に伊吹が蒼の手を引き、蒼をソファーに座らせると、蒼の膝の上に伊吹が跨《またが》り…
「好きにしていいんだよ…」
蒼の耳元で囁き、そのまま首筋をツーっと舐め上げた。
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