αとβとΩと俺 〜αの番には運命のΩがいて… βの俺が出来ることは…〜

葉月

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接触 ⑤ 伊吹sideー

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「伊吹は何もされなかったのか?」
「?何もされてないって何を?」
蒼の言っている意味がわからないと、伊吹は首を傾げた。
「なにもなかったら、いいんだ…。本当に良かった……」
蒼は目を潤ませながら伊吹の顔を見て、そして力強く抱きしめた。

「痛いよ、蒼……」

こんな力任せに抱きしめられたのは、初めてだ。
それに、蒼の鼓動が速い。
これって走ってきたからだよね…

「伊吹、これから何があっても孝司さんとは関わるな」
蒼は伊吹を抱きしめながら言った。
「え?どうして?」
「どうしても…。お願いだよ。うんと言って……」
耳元で話す蒼の声は、震えている。
「……。わかった。もう関わらないよ…」
「ありがとう。好きだよ伊吹。ずっと俺のそばにいて……」
「ずっと蒼のそばにいる……。だから安心してよ」
伊吹は蒼を抱きしめ返した。
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