αとβとΩと俺 〜αの番には運命のΩがいて… βの俺が出来ることは…〜

葉月

文字の大きさ
上 下
32 / 171

ーー絶句 蒼sideーー

しおりを挟む
「…その……ヒートの時にすると、最高なんだって……」
「え⁉︎⁉︎もしかして……最高って……」
「そう、セックス…」
「!!!!」
危うく蒼は怒りに任せて握りこぶしで机を叩きそかになったのを、グッと抑えた。
「今日は大丈夫なのか?」
蒼は冷静さを保とうと、出来るだけ優しく語りかける。
「うん。今朝、抑制剤入った注射してもらったから…」

!!
抑制剤使うのは、量の調節が難しいから専門知識が必要なはず…
即効性のある注射の場合は特にそうだ。

「それで体調悪くなったりしないのか?」
「なったりするけど、その時は孝司優しくしてくれるから大丈夫」

柚の話を聞いて蒼は頭を抱えた。

これは俺が想像してたよりも緊急に対応しないと、柚の命が危ない。

「ねぇ蒼。俺どうしたらいい?どうしたら孝司に怒られずにいれる?」
「!!!!」
蒼は絶句した。

それってこの状態で、まだアイツのそばにいるって事?
もう、あいつから逃れられない…
逃れるのを諦めてる?

「柚。確かなのは今のままは絶対にダメだ。そうしないと……」
「でも、俺が怒らせなかったら大丈夫な話だよ」
柚は自分の言葉に何の疑問もたないように、蒼に言った。

!!
これは今の柚に言ってもダメだ。
俺が対策を考えないと……

「あ、蒼。この事はこの前一緒にいた伊吹くんには言わないで」
柚は少し困った顔をした。
「どうして?」
「伊吹くんに迷惑かけられない。孝司はいい人だけど、伊吹くんみたいな人には危害を加えるかもしれない…」
「?どういう意味?」
「蒼はアルファだから大丈夫だけど、彼はオメガの気配がしたから…」
「??伊吹はベータだよ」

そう伊吹はベータ。
なのにどうしてオメガの気配がした?

「オメガの気配っていっても、ほんの少しだけだったけど、したんだ。本当に。俺そういうの敏感だから…」
「…」
「もしかしてら伊吹くん家族にオメガないるのかも…。ごく稀に家族にオメガがいたら検査でベータの結果が出ても、微量のオメガ体質が混ざってる事があるみたいなんだ。容姿や香りがオメガよりになってたり…」
「‼︎」

蒼はハッとした。
それは伊吹の寝顔を初めて見たとき、身体全体の血液が逆流したかと思うぐらいの衝撃を受け、

『俺の番だ』

と、確信したからだ。
それは初めて感じた本能のようなものだった。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...