αとβとΩと俺 〜αの番には運命のΩがいて… βの俺が出来ることは…〜

葉月

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出会い ① 伊吹sideー

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蒼はいつも余裕で、俺はいつもそんな蒼に振り回される。

そんな事を思いながら、伊吹は誰に見せるでもなく、ぷーっと頬を膨らませた。

本屋に着いた伊吹と蒼は、各自、欲しい本を探しに別々に行動することにした。

だいたい蒼は俺を振り回すのが好きなんだ。
だから、さっきだってあんなと言うし…
俺だって大学生だし、いい年だから、そういう話も大丈夫っていいたいんだけど、恥ずかしくなってしまうのは仕方ないじゃん。
しかも『繋がってる時は積極的』だなんて‼︎
恥ずかしくて、最中、もう蒼の顔見れなくなるじゃん‼︎
俺、蒼が俺に覆いかぶさりながら、俺を見る瞳がたまらなく好きなのに……
も~、蒼のバカ‼︎


ッバシ‼︎

伊吹は曲がり角で長身でイケメンな男性とぶつかり、男性が持っていた本が地面に落ちた。
「‼︎すみません!」
伊吹は男性に謝ると、急いで落としてしまった本を拾い上げる。
「こちらこそ、すみません。お怪我はないですか?」
伊吹の事を心配しつつ男性は、落とした本を拾い上げた。
「いえ、俺は大丈夫です」
拾った本を伊吹は男性に渡そうとした時、本の題名と作家の名前が見えた。

あ!この作家さん、マイナーなのに。

「この作家さん、お好きなんですか?俺、大好きなんです!」
この同じ作家が好きだという人に、あまりかったことがなかった伊吹は嬉しくなり、声が大きくなった。
「ええ。あまり知られていないんですが、とても素敵な作品を出されていますよね」
対照的に男性は落ち着いている。

あ…一人テンション上がってしまってた……

恥ずかしさで伊吹が俯いてしまうと、
「この本、面白いですよ」
「え?」
伊吹の目の前に、持っていた本の一冊を取り出した。
「この本の闇の部分は、臨場感があって読み応えがあります。一度読まれて損は無いと思いますよ」
優しい笑顔で、伊吹に本を手渡した。
「あ、ありがとうございます」

優しそうな、いい人。

伊吹は一瞬、その笑顔に見惚れてしまった。
「それではこれで…」
男性が立ち去ろうとした時、
「孝司、探してた本見つかったよ」
男性の側から、人影がひょこっと現れた。

わ~、可愛い~。
声からして、男の子かー。

見た目の年齢は16歳ぐらい。
くりくりとした瞳に、うっすらとピンクがかった頬。
そして絹のように滑らかな肌。
柔らかな髪質に、淡い髪色がとても綺麗だ。
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