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伊吹と蒼 ①
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生まれ持ってある、有利な事を天性というなら、
『イケメン』だって天性だ。
いーなー。
イケメン……
それだけで、爽やかで優しそうって言われるじゃん。
それに、いい香りなんてしてたらさ、女の子だけじゃなくて、男からも人気者になれるし…
俺もなりたかった、あんなイケメンに。
俺からしたら、あんなイケメン、雲の上の人…………
だと思ってた。
そして、その人とこれから先もずっと一緒に過ごせると、心のどこかで思っていた………
「も~、そこのイケメン‼︎ちょっとは手加減するって事を知らないの?」
「伊吹、口が悪い」
「そりゃ口も悪くなるよ‼︎ゲーム教えてって言うから教えたら、たかが一時間で、どうして俺より上手くなってんの⁉︎」
「俺、器用だし、飲み込み早いから」
ベットの上で、伊吹を後ろから抱きしめるように座っているイケメンは、伊吹の肩にキスをする。
「可愛いよ。伊吹」
頬にキスをすると伊吹の顔は、ぼっと火がついたように赤くなる。
「か…可愛いって…言わないでよ……」
イケメンの方は向かないが、伊吹の耳や首の後ろまで真っ赤だ。
「イケメンじゃなくて、名前で読んでよ…」
伊吹の耳元で囁く…。
「……」
「さ、早く…」
もう一度囁く。
こんなのずるい…
そんなことされたら、言わないって言えないじゃないか…
「蒼…」
「よくできました…」
蒼(あおい)の艶のある声色で伊吹は囁かれ、腰から砕けそうだ。
「その声ずるい…」
ぽろっと伊吹の本音が口からでてしまう。
しまった‼︎
伊吹が後悔したのも、今やもう遅し……
「どの声?」
「っつ…‼︎」
蒼は伊吹の耳を甘噛みし、熱い吐息をかけながら、また囁いた。
あ~、もう、ダメだ……
頭が回らない。
「俺、、耳、弱いのに…」
「知ってる」
蒼が耳をぺろりと舐めると伊吹の全身の力は抜け、
蒼に体勢を預ける形になった。
「伊吹…シたい…」
さっきまで耳元で囁いていた蒼だったが、今度はしっかりと伊吹の目を見た。
俺を射抜くような瞳。
俺しか知らない蒼の瞳。
その瞳に吸い込まれそうだ。
「俺も…」
頬を赤らめながら、伊吹も蒼を見つめ返した。
「でも、母さん、帰ってくるかも…」
伊吹が時計を確認すると、母親が買い物に出かけて1時間は経っていた。
『買い物に行くっていってくるから、帰りはそんなに遅くはならない』って言ってたし…
「それは、大丈夫」
蒼が言い切る。
「どうして?」
「さっき、伊吹の携帯におばさんからメールがあって、今おばさん俺ん家にいるんだって」
蒼はグイッと携帯の画面を一気に見せた。
「蒼、人の携帯、勝手に見ないでよ」
伊吹ご少し怒ると、
「見られてまずいものでもあるの?」
蒼が言い返す。
「それは……ないけど…」
「ロックのパスワード、俺達、一緒だしな」
蒼は嬉しそうに笑った。
蒼に手渡された携帯をよく見ると、母親からメールで
『蒼くんのママとお茶してます。そのままご飯も食べて帰るので、晩ご飯は2人で食べに行ってね』
と、入っていた。
父さんが出張でいない事をいい事に、晩ご飯の手の抜き方が半端ない。
確かに蒼のママさんと仲がいいのは嬉しいけど、息子よりもママさんを優先するなんて……
「な、時間はたっぷりある。だから、伊吹、シよ」
蒼がゆっくりと伊吹をベットに押し倒すと、首筋をつーっと舐めた。
『イケメン』だって天性だ。
いーなー。
イケメン……
それだけで、爽やかで優しそうって言われるじゃん。
それに、いい香りなんてしてたらさ、女の子だけじゃなくて、男からも人気者になれるし…
俺もなりたかった、あんなイケメンに。
俺からしたら、あんなイケメン、雲の上の人…………
だと思ってた。
そして、その人とこれから先もずっと一緒に過ごせると、心のどこかで思っていた………
「も~、そこのイケメン‼︎ちょっとは手加減するって事を知らないの?」
「伊吹、口が悪い」
「そりゃ口も悪くなるよ‼︎ゲーム教えてって言うから教えたら、たかが一時間で、どうして俺より上手くなってんの⁉︎」
「俺、器用だし、飲み込み早いから」
ベットの上で、伊吹を後ろから抱きしめるように座っているイケメンは、伊吹の肩にキスをする。
「可愛いよ。伊吹」
頬にキスをすると伊吹の顔は、ぼっと火がついたように赤くなる。
「か…可愛いって…言わないでよ……」
イケメンの方は向かないが、伊吹の耳や首の後ろまで真っ赤だ。
「イケメンじゃなくて、名前で読んでよ…」
伊吹の耳元で囁く…。
「……」
「さ、早く…」
もう一度囁く。
こんなのずるい…
そんなことされたら、言わないって言えないじゃないか…
「蒼…」
「よくできました…」
蒼(あおい)の艶のある声色で伊吹は囁かれ、腰から砕けそうだ。
「その声ずるい…」
ぽろっと伊吹の本音が口からでてしまう。
しまった‼︎
伊吹が後悔したのも、今やもう遅し……
「どの声?」
「っつ…‼︎」
蒼は伊吹の耳を甘噛みし、熱い吐息をかけながら、また囁いた。
あ~、もう、ダメだ……
頭が回らない。
「俺、、耳、弱いのに…」
「知ってる」
蒼が耳をぺろりと舐めると伊吹の全身の力は抜け、
蒼に体勢を預ける形になった。
「伊吹…シたい…」
さっきまで耳元で囁いていた蒼だったが、今度はしっかりと伊吹の目を見た。
俺を射抜くような瞳。
俺しか知らない蒼の瞳。
その瞳に吸い込まれそうだ。
「俺も…」
頬を赤らめながら、伊吹も蒼を見つめ返した。
「でも、母さん、帰ってくるかも…」
伊吹が時計を確認すると、母親が買い物に出かけて1時間は経っていた。
『買い物に行くっていってくるから、帰りはそんなに遅くはならない』って言ってたし…
「それは、大丈夫」
蒼が言い切る。
「どうして?」
「さっき、伊吹の携帯におばさんからメールがあって、今おばさん俺ん家にいるんだって」
蒼はグイッと携帯の画面を一気に見せた。
「蒼、人の携帯、勝手に見ないでよ」
伊吹ご少し怒ると、
「見られてまずいものでもあるの?」
蒼が言い返す。
「それは……ないけど…」
「ロックのパスワード、俺達、一緒だしな」
蒼は嬉しそうに笑った。
蒼に手渡された携帯をよく見ると、母親からメールで
『蒼くんのママとお茶してます。そのままご飯も食べて帰るので、晩ご飯は2人で食べに行ってね』
と、入っていた。
父さんが出張でいない事をいい事に、晩ご飯の手の抜き方が半端ない。
確かに蒼のママさんと仲がいいのは嬉しいけど、息子よりもママさんを優先するなんて……
「な、時間はたっぷりある。だから、伊吹、シよ」
蒼がゆっくりと伊吹をベットに押し倒すと、首筋をつーっと舐めた。
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