64 / 109
可愛い人
しおりを挟む
僕とアレク様は夕食を一緒に食べ、そのまま僕の部屋で過ごした。
「楽しい時間が過ごせたんだな」
僕がアレク刺しを膝枕をすると、アレク様は僕の長い髪を指にからませながら、今日の話を聞いてくださる。
「明日の字の練習用に紙と鉛筆を用意させておく。子ども用の本も買い足さないとな。また沢山話を聞かせてくれ」
明日、子ども達と過ごすことを、僕よりもなぜだかアレク様の方が楽しみにしているようだ。
「ほら、やっぱりアレク様はお優しい」
僕がアレク様の頬に手を当てる。
「そうか?冷血だと評判は悪いぞ」
そう言いながらも、アレク様は僕の反応を伺っているように見える。
「僕が知るアレク様はお優しくて、甘えたさんです」
「甘えた?」
「はい。膝枕して欲しいって仰ったり、ずっと僕の髪で遊ばれてたり。とても可愛いです」
アレク様の髪を優しく撫でると、アレク様は目を丸くし、そして気持ちよさそうに目を瞑った。
「甘えられるのは嫌か?」
「嫌ではありませんが、人によります」
「じゃあ、誰だったらいいんだ?」
「たとえば、子ども達だったり…」
「他はいないのか?」
目を瞑っていたアレク様が目を開ける。
「他の方ですか?」
う~んと考えるが、出てこない。
「そんなに考えないと出てこないのか?」
むくりとアレク様が上半身を起こす。
「そう言われましても……」
困り果てていると、
「俺は……どうなんだ?」
「え?」
「俺に甘えられるのは、嫌なのか?」
顔を赤くしながらアレク様が言うので、笑ってはいけないとわかりつつも我慢ができず「うふふ」と笑ってしまった。
「笑うな」
アレク様睨むけど、全く怖くない。
「アレク様は僕に甘えたいのですか?」
「悪いか……?」
子どものように、アレク様はプイッと顔を横に向ける。
「アレク様は特別です。だから甘えられるのは嬉しいですし、もっと甘えてもらいたいです」
これ以上笑うと、子どもみたいに拗ねてしまいそうだったので、必死に笑いを堪えている。
「アレク様、たくさん甘えてくださいね」
「……」
アレク様は言葉で答えず、チラリと僕を見ると、そのまままた僕の膝の上に頭を置いた。
なんて可愛い人なんだろう。
笑うのを我慢していたが、自然と「うふふ」と笑ってしまっていた。
「だから笑うなと言っている」
「申し訳ございません。ただあまりにもアレク様が……」
可愛いと言ってしまってはまた拗ねると思い、
「なんでもありません」
そう誤魔化しながら、アレク様の艶のある黒髪を優しく撫でた。
翌日から僕とカイトくん達は読み書き、計算などを勉強したりした。そして毎日夕食後はアレク様を膝枕をしながら、日中の話をするのが日課となっていた。
ある時、僕が勉強を頑張っているカイトくんの話ばかりするので、アレク様が「他の男の話ばかりするな」と拗ねた時は、お腹を抱えて笑ってしまった。
子ども達と触れ合う中、他の使用人達とも話す機会が増え、日を重ねるごとにアレク様や子ども達、後宮内との人たちとの距離が近くなり始めていた。
「楽しい時間が過ごせたんだな」
僕がアレク刺しを膝枕をすると、アレク様は僕の長い髪を指にからませながら、今日の話を聞いてくださる。
「明日の字の練習用に紙と鉛筆を用意させておく。子ども用の本も買い足さないとな。また沢山話を聞かせてくれ」
明日、子ども達と過ごすことを、僕よりもなぜだかアレク様の方が楽しみにしているようだ。
「ほら、やっぱりアレク様はお優しい」
僕がアレク様の頬に手を当てる。
「そうか?冷血だと評判は悪いぞ」
そう言いながらも、アレク様は僕の反応を伺っているように見える。
「僕が知るアレク様はお優しくて、甘えたさんです」
「甘えた?」
「はい。膝枕して欲しいって仰ったり、ずっと僕の髪で遊ばれてたり。とても可愛いです」
アレク様の髪を優しく撫でると、アレク様は目を丸くし、そして気持ちよさそうに目を瞑った。
「甘えられるのは嫌か?」
「嫌ではありませんが、人によります」
「じゃあ、誰だったらいいんだ?」
「たとえば、子ども達だったり…」
「他はいないのか?」
目を瞑っていたアレク様が目を開ける。
「他の方ですか?」
う~んと考えるが、出てこない。
「そんなに考えないと出てこないのか?」
むくりとアレク様が上半身を起こす。
「そう言われましても……」
困り果てていると、
「俺は……どうなんだ?」
「え?」
「俺に甘えられるのは、嫌なのか?」
顔を赤くしながらアレク様が言うので、笑ってはいけないとわかりつつも我慢ができず「うふふ」と笑ってしまった。
「笑うな」
アレク様睨むけど、全く怖くない。
「アレク様は僕に甘えたいのですか?」
「悪いか……?」
子どものように、アレク様はプイッと顔を横に向ける。
「アレク様は特別です。だから甘えられるのは嬉しいですし、もっと甘えてもらいたいです」
これ以上笑うと、子どもみたいに拗ねてしまいそうだったので、必死に笑いを堪えている。
「アレク様、たくさん甘えてくださいね」
「……」
アレク様は言葉で答えず、チラリと僕を見ると、そのまままた僕の膝の上に頭を置いた。
なんて可愛い人なんだろう。
笑うのを我慢していたが、自然と「うふふ」と笑ってしまっていた。
「だから笑うなと言っている」
「申し訳ございません。ただあまりにもアレク様が……」
可愛いと言ってしまってはまた拗ねると思い、
「なんでもありません」
そう誤魔化しながら、アレク様の艶のある黒髪を優しく撫でた。
翌日から僕とカイトくん達は読み書き、計算などを勉強したりした。そして毎日夕食後はアレク様を膝枕をしながら、日中の話をするのが日課となっていた。
ある時、僕が勉強を頑張っているカイトくんの話ばかりするので、アレク様が「他の男の話ばかりするな」と拗ねた時は、お腹を抱えて笑ってしまった。
子ども達と触れ合う中、他の使用人達とも話す機会が増え、日を重ねるごとにアレク様や子ども達、後宮内との人たちとの距離が近くなり始めていた。
5
お気に入りに追加
282
あなたにおすすめの小説
「その想いは愛だった」騎士×元貴族騎士
倉くらの
BL
知らなかったんだ、君に嫌われていたなんて―――。
フェリクスは自分の屋敷に仕えていたシドの背中を追いかけて黒狼騎士団までやって来た。シドは幼い頃魔獣から助けてもらった時よりずっと憧れ続けていた相手。絶対に離れたくないと思ったからだ。
しかしそれと引き換えにフェリクスは家から勘当されて追い出されてしまう。
そんな最中にシドの口から「もうこれ以上俺に関わるな」という言葉を聞かされ、ずっと嫌われていたということを知る。
ショックを受けるフェリクスだったが、そのまま黒狼騎士団に残る決意をする。
夢とシドを想うことを諦められないフェリクスが奮闘し、シドに愛されて正式な騎士団員になるまでの物語。
一人称。
完結しました!
貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~
倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」
大陸を2つに分けた戦争は終結した。
終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。
一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。
互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。
純愛のお話です。
主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。
全3話完結。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
[BL]王の独占、騎士の憂鬱
ざびえる
BL
ちょっとHな身分差ラブストーリー💕
騎士団長のオレオはイケメン君主が好きすぎて、日々悶々と身体をもてあましていた。そんなオレオは、自分の欲望が叶えられる場所があると聞いて…
王様サイド収録の完全版をKindleで販売してます。プロフィールのWebサイトから見れますので、興味がある方は是非ご覧になって下さい
左遷先は、後宮でした。
猫宮乾
BL
外面は真面目な文官だが、週末は――打つ・飲む・買うが好きだった俺は、ある日、ついうっかり裏金騒動に関わってしまい、表向きは移動……いいや、左遷……される事になった。死刑は回避されたから、まぁ良いか! お妃候補生活を頑張ります。※異世界後宮ものコメディです。(表紙イラストは朝陽天満様に描いて頂きました。本当に有難うございます!)
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる