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決意 ⑩
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クロエがいなくなり、ガゼボの中には僕とヒューゴ様。
ヒューゴ様は僕のことを気遣ってか、何も話しかけてこられない。
僕は僕で何を話しかけたらいいのかわからず、ただ静かな時間が過ぎていった。
花の香りと爽やかな風。クロエが淹れてくれていたハーブティーが心を落ち着かせてくれる。
つい3ヶ月まの今頃。僕は殿下に謁見し、殺されるかもと怯えていた。
あの時の僕は今の自分の姿を想像できただろうか?
殿下はどんなお考えで、僕に何を望まれているんだろう?
殿下が求めている言葉や行動なのか手探りで緊張するけど、色々な殿下にも会ってみたい。
パラリとページをめくりながら、これからの自分の行動を考えていると、
「ここは子どものくるところじゃない」
ヒューゴ様が誰かに話す声がした。
誰だろう?
何気なく後を振り返ると、ヒューゴ様のそばに本を持った6歳ぐらいの男の子が立っていた。
「どうして? 僕、毎日ここでご本よんでるけど、だれもダメだって言わないよ」
「いつもはいいかもしれないが、今はダメだ」
「どうして?」
この男の子はヒューゴ様が殿下の執事という立場だということを知らなのかもしれない。
もし知っていたらヒューゴ様のいうことを素直にきくと思う。
だけど男の子はヒューゴ様のいうことが、本当にわからないというように不思議そうに首を傾げる。
「今はユベール様がお使いになっている。ここでの読書はまた今度にしなさい」
ヒューゴ様がそういうのに、
「え~今読みたい」
男の子は駄々をこねる。
「だから今はダメだと言っている」
「でも読みたいもん」
ヒューゴ様がどういっても、男の子はどうしてもここで読みたいみたいだし、ヒューゴ様は男の子の対応に困っているみたい。
もしかして、なんでも完璧にこなすヒューゴ様なのに、子ども相手は苦手なのかな?
そう思うと急にヒューゴ様が可愛く見えてきて、ふふふと笑ってしまった。
「ユベール様、笑い事ではありません……」
多分ヒューゴ様は僕がどうして笑ってしまったのか、わかったのか眉が八の字になった。
ヒューゴ様は僕のことを気遣ってか、何も話しかけてこられない。
僕は僕で何を話しかけたらいいのかわからず、ただ静かな時間が過ぎていった。
花の香りと爽やかな風。クロエが淹れてくれていたハーブティーが心を落ち着かせてくれる。
つい3ヶ月まの今頃。僕は殿下に謁見し、殺されるかもと怯えていた。
あの時の僕は今の自分の姿を想像できただろうか?
殿下はどんなお考えで、僕に何を望まれているんだろう?
殿下が求めている言葉や行動なのか手探りで緊張するけど、色々な殿下にも会ってみたい。
パラリとページをめくりながら、これからの自分の行動を考えていると、
「ここは子どものくるところじゃない」
ヒューゴ様が誰かに話す声がした。
誰だろう?
何気なく後を振り返ると、ヒューゴ様のそばに本を持った6歳ぐらいの男の子が立っていた。
「どうして? 僕、毎日ここでご本よんでるけど、だれもダメだって言わないよ」
「いつもはいいかもしれないが、今はダメだ」
「どうして?」
この男の子はヒューゴ様が殿下の執事という立場だということを知らなのかもしれない。
もし知っていたらヒューゴ様のいうことを素直にきくと思う。
だけど男の子はヒューゴ様のいうことが、本当にわからないというように不思議そうに首を傾げる。
「今はユベール様がお使いになっている。ここでの読書はまた今度にしなさい」
ヒューゴ様がそういうのに、
「え~今読みたい」
男の子は駄々をこねる。
「だから今はダメだと言っている」
「でも読みたいもん」
ヒューゴ様がどういっても、男の子はどうしてもここで読みたいみたいだし、ヒューゴ様は男の子の対応に困っているみたい。
もしかして、なんでも完璧にこなすヒューゴ様なのに、子ども相手は苦手なのかな?
そう思うと急にヒューゴ様が可愛く見えてきて、ふふふと笑ってしまった。
「ユベール様、笑い事ではありません……」
多分ヒューゴ様は僕がどうして笑ってしまったのか、わかったのか眉が八の字になった。
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