28 / 109
決意 ④
しおりを挟む
扉を開けたると、眩い陽の光で目が眩んだ。
光に目が慣れるよう、ゆっくりと目を開けると目に飛び込んできたのは、青々とした木々と色彩豊かな花々が陽の光に照らされ、ひかり輝いていた。
「綺麗……」
吸い寄せられるように一番近くに咲いていた花のそばに行くと、花の香に誘われて飛んできていた、小さな黄色い蝶々が花の蜜を吸っている。
花を摘んでしまうのはかわいそうだったので、しゃがんで花に顔を近づけ、香を嗅いだ。
砂糖菓子のような強い甘い香はしないけど、体を包み込んでくれるような優しい甘い香がする。
大きく深呼吸をし、葉に顔を近づける。
葉の上に水滴を残している葉は、若葉の青さを放ち、水滴は陽の光を浴び光を反射させながら虹色に輝く。
懐かしい香がした。
幼い頃の香がした。
香と共に、父様、母様、兄様、姉様、僕を守ってくれた乳母……。
愛しく懐かしく恋しい家族の顔が浮かぶ。
牧師様、可愛い僕の兄さん、姉さん、弟、妹たち……。
僕がどうしても守りたかった特別な人たちの顔が浮かぶ。
ずっとずっと会いたかった大切な人々の顔が浮かぶ。
園庭にきて、よかった。
みんなに会えた……。
視界が緩み水滴が残る葉の上に涙が落ち、涙の重みで葉が揺れ水滴と涙が湿った地面に落ちた。
「ユベール様に見ていたどきたい場所があります」
僕の様子を後ろで見守ってくれていたクロエが僕の手をとり、立ち上がらせてくれる。
「こちらです。行きましょう」
ゆっくりと歩き出し、ヒューゴ様は僕たちのすぐ後ろを歩いた。
光に目が慣れるよう、ゆっくりと目を開けると目に飛び込んできたのは、青々とした木々と色彩豊かな花々が陽の光に照らされ、ひかり輝いていた。
「綺麗……」
吸い寄せられるように一番近くに咲いていた花のそばに行くと、花の香に誘われて飛んできていた、小さな黄色い蝶々が花の蜜を吸っている。
花を摘んでしまうのはかわいそうだったので、しゃがんで花に顔を近づけ、香を嗅いだ。
砂糖菓子のような強い甘い香はしないけど、体を包み込んでくれるような優しい甘い香がする。
大きく深呼吸をし、葉に顔を近づける。
葉の上に水滴を残している葉は、若葉の青さを放ち、水滴は陽の光を浴び光を反射させながら虹色に輝く。
懐かしい香がした。
幼い頃の香がした。
香と共に、父様、母様、兄様、姉様、僕を守ってくれた乳母……。
愛しく懐かしく恋しい家族の顔が浮かぶ。
牧師様、可愛い僕の兄さん、姉さん、弟、妹たち……。
僕がどうしても守りたかった特別な人たちの顔が浮かぶ。
ずっとずっと会いたかった大切な人々の顔が浮かぶ。
園庭にきて、よかった。
みんなに会えた……。
視界が緩み水滴が残る葉の上に涙が落ち、涙の重みで葉が揺れ水滴と涙が湿った地面に落ちた。
「ユベール様に見ていたどきたい場所があります」
僕の様子を後ろで見守ってくれていたクロエが僕の手をとり、立ち上がらせてくれる。
「こちらです。行きましょう」
ゆっくりと歩き出し、ヒューゴ様は僕たちのすぐ後ろを歩いた。
36
お気に入りに追加
282
あなたにおすすめの小説
「その想いは愛だった」騎士×元貴族騎士
倉くらの
BL
知らなかったんだ、君に嫌われていたなんて―――。
フェリクスは自分の屋敷に仕えていたシドの背中を追いかけて黒狼騎士団までやって来た。シドは幼い頃魔獣から助けてもらった時よりずっと憧れ続けていた相手。絶対に離れたくないと思ったからだ。
しかしそれと引き換えにフェリクスは家から勘当されて追い出されてしまう。
そんな最中にシドの口から「もうこれ以上俺に関わるな」という言葉を聞かされ、ずっと嫌われていたということを知る。
ショックを受けるフェリクスだったが、そのまま黒狼騎士団に残る決意をする。
夢とシドを想うことを諦められないフェリクスが奮闘し、シドに愛されて正式な騎士団員になるまでの物語。
一人称。
完結しました!
貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~
倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」
大陸を2つに分けた戦争は終結した。
終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。
一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。
互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。
純愛のお話です。
主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。
全3話完結。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
[BL]王の独占、騎士の憂鬱
ざびえる
BL
ちょっとHな身分差ラブストーリー💕
騎士団長のオレオはイケメン君主が好きすぎて、日々悶々と身体をもてあましていた。そんなオレオは、自分の欲望が叶えられる場所があると聞いて…
王様サイド収録の完全版をKindleで販売してます。プロフィールのWebサイトから見れますので、興味がある方は是非ご覧になって下さい
左遷先は、後宮でした。
猫宮乾
BL
外面は真面目な文官だが、週末は――打つ・飲む・買うが好きだった俺は、ある日、ついうっかり裏金騒動に関わってしまい、表向きは移動……いいや、左遷……される事になった。死刑は回避されたから、まぁ良いか! お妃候補生活を頑張ります。※異世界後宮ものコメディです。(表紙イラストは朝陽天満様に描いて頂きました。本当に有難うございます!)
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる