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愛おしいということは、愛しているということは 〜内藤昴 スピンオフ〜
N社との話し合い ⑤
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頭の中かからすーっと血の気が引いて、その後瞬時に頭が煮えたぎるとうに熱くなる。
「このやろう!」
頭が真っ白になり、「副社長、やめてください!」と鈴木が何度も言いながら後に引っ張られるまで俺は、長野の上に馬乗りになり顔を殴っていた。
長野から体を引き剥がされ、長野の口から血が流れ出いるのをみても、なお体は怒りで熱く煮えたぎり収まらない。
「これはどう言うことですか?」
一度深呼吸をしてから、俺は長野に聞いた。
「……」
予想はしていたが返事は返ってこず、長野は口角から流れる血を腕で乱暴に拭くと、俺や鈴木から目を逸らす。
騒ぎに他の部屋の客たちが覗きにくる。
これでは鈴木が晒し者になってしまう。
俺はジャケットを脱ぎ、鈴木の肩に掛ける。
「今日はこれで失礼します。でも……覚悟していてください」
項垂れる長野を見下ろし、鈴木の肩を引き寄せると、女将を一瞥してから料亭を出た。
「……」
「……」
車の後部座席に鈴木と乗り込んだが、お互い窓の外に視線をやり会話はない。
言いたいこと、聞きたいことはたくさんあるのに、何から聞けばいいか混乱している。
「すきませんでした……」
消え入るうな声で鈴木は俺の方を向いて謝った。
「副社長の手を煩わせるつもりはなかったんです……」
「……」
「役に立ちたかったんです……」
「役に立ちたかった?」
ぶつけようもない怒りをグッと腹部に押し込め、鈴木の顔を見た。
「すみません」
涙を溜めたまま、でも涙を流すまいとグッと堪えたまま鈴木は俺に頭を下げた。
「今日、『契約解除の件で話がある』って長野副社長から俺に電話があって……。副社長には言わず必ず1人でくればいい返事ができるかも知れないって言われて」
「なんだって!?」
大声を出してしまい、鈴木がビクッと体を震わせる。
長野の悪い噂は知っていたのか?」
「はい」
「『俺に言うな』って言われた時点で、おかしいと思うよな」
「はい……」
鈴木の「はい」に落ち着かせようとしていた気持ちが、抑えられなくなった。
「じゃどうして!」
大きな声で言っていた。
また鈴木は体をびくつかせたが、俺から目を逸らさず、
「副社長の役にたちたかったんです」
また同じことを言った。
「俺は山﨑さんのような秘書ではなく、いつも失敗ばかり。プライベートでも副社長に迷惑をかけてばかり、俺ができることといえばあれぐらいで……」
プツンと頭の中で、何かが切れる音がした。
その音が聞こえたことで、自分は今猛烈に怒っていると実感でき、かえって冷静になれた。
「枕をすることが、鈴木のできることなのか?」
「ち、違います!」
「じゃあなんだ?」
鈴木は握りしめていたカバンから、分厚い資料を取り出す。
「このやろう!」
頭が真っ白になり、「副社長、やめてください!」と鈴木が何度も言いながら後に引っ張られるまで俺は、長野の上に馬乗りになり顔を殴っていた。
長野から体を引き剥がされ、長野の口から血が流れ出いるのをみても、なお体は怒りで熱く煮えたぎり収まらない。
「これはどう言うことですか?」
一度深呼吸をしてから、俺は長野に聞いた。
「……」
予想はしていたが返事は返ってこず、長野は口角から流れる血を腕で乱暴に拭くと、俺や鈴木から目を逸らす。
騒ぎに他の部屋の客たちが覗きにくる。
これでは鈴木が晒し者になってしまう。
俺はジャケットを脱ぎ、鈴木の肩に掛ける。
「今日はこれで失礼します。でも……覚悟していてください」
項垂れる長野を見下ろし、鈴木の肩を引き寄せると、女将を一瞥してから料亭を出た。
「……」
「……」
車の後部座席に鈴木と乗り込んだが、お互い窓の外に視線をやり会話はない。
言いたいこと、聞きたいことはたくさんあるのに、何から聞けばいいか混乱している。
「すきませんでした……」
消え入るうな声で鈴木は俺の方を向いて謝った。
「副社長の手を煩わせるつもりはなかったんです……」
「……」
「役に立ちたかったんです……」
「役に立ちたかった?」
ぶつけようもない怒りをグッと腹部に押し込め、鈴木の顔を見た。
「すみません」
涙を溜めたまま、でも涙を流すまいとグッと堪えたまま鈴木は俺に頭を下げた。
「今日、『契約解除の件で話がある』って長野副社長から俺に電話があって……。副社長には言わず必ず1人でくればいい返事ができるかも知れないって言われて」
「なんだって!?」
大声を出してしまい、鈴木がビクッと体を震わせる。
長野の悪い噂は知っていたのか?」
「はい」
「『俺に言うな』って言われた時点で、おかしいと思うよな」
「はい……」
鈴木の「はい」に落ち着かせようとしていた気持ちが、抑えられなくなった。
「じゃどうして!」
大きな声で言っていた。
また鈴木は体をびくつかせたが、俺から目を逸らさず、
「副社長の役にたちたかったんです」
また同じことを言った。
「俺は山﨑さんのような秘書ではなく、いつも失敗ばかり。プライベートでも副社長に迷惑をかけてばかり、俺ができることといえばあれぐらいで……」
プツンと頭の中で、何かが切れる音がした。
その音が聞こえたことで、自分は今猛烈に怒っていると実感でき、かえって冷静になれた。
「枕をすることが、鈴木のできることなのか?」
「ち、違います!」
「じゃあなんだ?」
鈴木は握りしめていたカバンから、分厚い資料を取り出す。
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