127 / 202
病院 ①
しおりを挟む
「成瀬さん、こっちです」
病院に着くと、瑞稀達はすぐに医師のもとへ案内された。
医師の話では、つい先ほどようやく出血量は減ってきたが、まだ完全には止まっておらず、もしものために輸血の手配をしているが、千景に輸血用血液は限られていて、その血液がる病院は遠方のため、時間がかかるとのことだった。
出血量はどうなんだろう?
打ちどころは?
今すぐにでも千景のもとへかけて行きたいが、今は処置中。
瑞稀が行っても何もできない。
不安で不安で仕方ない。
苦しんでいるであろう千景と変わってあげたい。
『おばあちゃん、千景を守って!』
心の中で祈り続ける。
そんな時、
『瑞稀。今、自分は何をすべきなのか、冷静に判断しないといけない時だよ』
祖母の声がしたような気がした。
そうだ!
不安がっているばかりじゃなくて、僕は僕ができることをするべきだ!
瑞稀は不安な気持ちを、心の隅に追いやった。
千景は生まれた時から、出血するとなかなか血が止まらない病気だ。その上、特殊な血液で輸血できる血液が限られている。
これらの病気は遺伝性で、父方からだけしか遺伝されない。
それが父親からなのか、隔世遺伝で祖父からのものかわからない。
ただ輸血が必要な場合、血液検査の結果では晴人の血液は千景に輸血できるかもしれない。
傷口は医師が治療できるが、出血が止まらなくて血液が足りなくなった時、千景を助けられるのは晴人だけかもしれないのだった。
やっぱり千景の出血はまだ止まってなくて、輸血用の血液が届くのも時間がかかる……。
瑞稀はふぅ~と小さく深呼吸をし気持ちを落ち着けてから、晴人の方に体ごと向け、真剣な眼差しで晴人を見た。
「晴人さん。どうかお願いです。血液検査を受けていただけないでしょうか?」
「血液検査?」
言われてる意味がわからず、晴人が聞き返す。
「千景は生まれた時から、出血するとなかなか血が止まらない病気で、しかも特殊な血液なんです。輸血するにも千景に合う血液はなかなかあなくて……。でも、もしかしたら晴人さんなら、千景に輸血できる血液かもしれないんです。だからどうかお願いです。検査だけでもいいんです。どうか血液検査をしていただけませんでしょうか?」
瑞稀は晴人に頭を下げた。
今まで晴人にしてきた仕打ちを考えれば、到底、血液検査なんて受けてもらえな位かもしれない。
だが千景の父親のはるとであれば、確率は低いかもしれないが、もしかしたら血液が合致するかもしれない。
「役に立つかわからないけど、俺も血液検査受けるよ」
昴が名乗り出てくれたが、瑞稀は頭を横に振る。
「僕や副社長が検査をしても、合致しないのは明白なんです。千景と合致する確率があるのは、晴人さんしかいないんです……」
できることなら、瑞稀も血液検査を受けて、千景に輸血したい。
でもそれは絶対できないはなし。
もし輸血してしまったら、千景の体内に瑞稀の血液が入った途端、拒否反応がでてしまう。
「晴人さん、どうかお願いです。血液検査を受けてください」
藁にも縋る思いで、瑞稀は晴人に頼む。
「千景くんは、血が止まりずらい病気……。特殊な血液……。あ!」
何か考え込んでいた晴人は、今まで何か引っかかっていたことが、頭の中で全て繋がったというような表情で、瑞稀の方を見た。
病院に着くと、瑞稀達はすぐに医師のもとへ案内された。
医師の話では、つい先ほどようやく出血量は減ってきたが、まだ完全には止まっておらず、もしものために輸血の手配をしているが、千景に輸血用血液は限られていて、その血液がる病院は遠方のため、時間がかかるとのことだった。
出血量はどうなんだろう?
打ちどころは?
今すぐにでも千景のもとへかけて行きたいが、今は処置中。
瑞稀が行っても何もできない。
不安で不安で仕方ない。
苦しんでいるであろう千景と変わってあげたい。
『おばあちゃん、千景を守って!』
心の中で祈り続ける。
そんな時、
『瑞稀。今、自分は何をすべきなのか、冷静に判断しないといけない時だよ』
祖母の声がしたような気がした。
そうだ!
不安がっているばかりじゃなくて、僕は僕ができることをするべきだ!
瑞稀は不安な気持ちを、心の隅に追いやった。
千景は生まれた時から、出血するとなかなか血が止まらない病気だ。その上、特殊な血液で輸血できる血液が限られている。
これらの病気は遺伝性で、父方からだけしか遺伝されない。
それが父親からなのか、隔世遺伝で祖父からのものかわからない。
ただ輸血が必要な場合、血液検査の結果では晴人の血液は千景に輸血できるかもしれない。
傷口は医師が治療できるが、出血が止まらなくて血液が足りなくなった時、千景を助けられるのは晴人だけかもしれないのだった。
やっぱり千景の出血はまだ止まってなくて、輸血用の血液が届くのも時間がかかる……。
瑞稀はふぅ~と小さく深呼吸をし気持ちを落ち着けてから、晴人の方に体ごと向け、真剣な眼差しで晴人を見た。
「晴人さん。どうかお願いです。血液検査を受けていただけないでしょうか?」
「血液検査?」
言われてる意味がわからず、晴人が聞き返す。
「千景は生まれた時から、出血するとなかなか血が止まらない病気で、しかも特殊な血液なんです。輸血するにも千景に合う血液はなかなかあなくて……。でも、もしかしたら晴人さんなら、千景に輸血できる血液かもしれないんです。だからどうかお願いです。検査だけでもいいんです。どうか血液検査をしていただけませんでしょうか?」
瑞稀は晴人に頭を下げた。
今まで晴人にしてきた仕打ちを考えれば、到底、血液検査なんて受けてもらえな位かもしれない。
だが千景の父親のはるとであれば、確率は低いかもしれないが、もしかしたら血液が合致するかもしれない。
「役に立つかわからないけど、俺も血液検査受けるよ」
昴が名乗り出てくれたが、瑞稀は頭を横に振る。
「僕や副社長が検査をしても、合致しないのは明白なんです。千景と合致する確率があるのは、晴人さんしかいないんです……」
できることなら、瑞稀も血液検査を受けて、千景に輸血したい。
でもそれは絶対できないはなし。
もし輸血してしまったら、千景の体内に瑞稀の血液が入った途端、拒否反応がでてしまう。
「晴人さん、どうかお願いです。血液検査を受けてください」
藁にも縋る思いで、瑞稀は晴人に頼む。
「千景くんは、血が止まりずらい病気……。特殊な血液……。あ!」
何か考え込んでいた晴人は、今まで何か引っかかっていたことが、頭の中で全て繋がったというような表情で、瑞稀の方を見た。
33
お気に入りに追加
689
あなたにおすすめの小説
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
婚約破棄?しませんよ、そんなもの
おしゃべりマドレーヌ
BL
王太子の卒業パーティーで、王太子・フェリクスと婚約をしていた、侯爵家のアンリは突然「婚約を破棄する」と言い渡される。どうやら真実の愛を見つけたらしいが、それにアンリは「しませんよ、そんなもの」と返す。
アンリと婚約破棄をしないほうが良い理由は山ほどある。
けれどアンリは段々と、そんなメリット・デメリットを考えるよりも、フェリクスが幸せになるほうが良いと考えるようになり……
「………………それなら、こうしましょう。私が、第一王妃になって仕事をこなします。彼女には、第二王妃になって頂いて、貴方は彼女と暮らすのです」
それでフェリクスが幸せになるなら、それが良い。
<嚙み痕で愛を語るシリーズというシリーズで書いていきます/これはスピンオフのような話です>
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~
倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」
大陸を2つに分けた戦争は終結した。
終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。
一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。
互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。
純愛のお話です。
主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。
全3話完結。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
【完結】もう一度恋に落ちる運命
grotta
BL
大学生の山岸隆之介はかつて親戚のお兄さんに淡い恋心を抱いていた。その後会えなくなり、自分の中で彼のことは過去の思い出となる。
そんなある日、偶然自宅を訪れたお兄さんに再会し…?
【大学生(α)×親戚のお兄さん(Ω)】
※攻め視点で1話完結の短い話です。
※続きのリクエストを頂いたので受け視点での続編を連載開始します。出来たところから順次アップしていく予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる