126 / 202
電話 ③
しおりを挟む
確かにこんなに何回も電話がかかってくるのはおかしい。
千景に何かあったのかも!
瑞稀は慌てて電話に出る。
「はい成瀬です」
『よかった電話が繋がって。お母さん、ブランコに乗っていた千景くんが、持ち手から手を滑らせてしい、後むきに落ちてしまって、後頭部を切って血が出て今、救急車で病院に運ばれています』
瑞稀が電話をとるや否や、電話越しの保育士が早口で話した。
後頭部を切って出血!?
救急車で運ばれている!?
衝撃的なことすぎてスマホを持つ手が震え、落としてしまいそうになるのを両手で支える。
「ブランコから落ちて出血!? 出血の量は、出血量はどうなんですか!?」
『素人判断なのですが、出血量は多かったと…
…。大切なお子様をお預かりしていたのに、少し目を離した隙にこんなことになってしまい、本当に申し訳ございません!』
電話の向こうで頭を下げる姿がみえるような声で保育士が謝っているが、瑞稀にはそんな言葉は耳に入ってこない。
「千景は出血したら、なかなか血が止まらないとお伝えしてますよね。そのことは救急隊委員の人には伝えてもらってるんですか!?」
「もちろんです! そばで千景くんが怪我をした時、一番近くにいた保育士が千景くんについて行っていますが、お母さんも急いで病院に向かってください! 〇〇病院です。園長も……』
保育士が何か話を続けようとしたが、何も言わず瑞稀は通話を切った。
どうしよう! どうしよう!!
いますぐに病院に行かないといけないことは、頭ではわかっている。
だが千景が頭を切り出血するという大怪我をしたことでパニックになり、体が言うことを聞かず動けない。
どうしよう!
早く行かないと!!
だって千景は……!!
最悪の考えが頭に浮かび体が震え出し、瑞稀は両手で両腕を掴む。
「千景くんがブランコから落ちて出血したんだって!? 容態は、容態はどうなんだ?」
晴人が瑞稀に問いかけるが、晴人の声は瑞稀には届いていない。
「容態はどうなんだ? 出血したら、なかなか血が止まらないってどう言うこと?病院はどこなんだ? 瑞稀しっかりしろ!」
パニック状態の瑞稀の肩をガクンっと大きく揺さぶると、瑞稀はハッと正気を取り戻す。
そうだ! こんなことをしている場合じゃあない!
我に返った瑞稀は、晴人に向かって土下座をする。
「晴人さん、千景を助けられるのは、晴人さんしかいないかもしれないんです! だからどうかお願いです! 僕と一緒に病院に行ってくれませんか?どうかお願いです。この通りです!!」
瑞稀は床に額を擦り付け、晴人に懇願した。
「!? 瑞稀、それどう言うこと!?」
晴人はしゃがみ、瑞稀の肩を手で押し上げ、顔を顔を上げさせようとするが、瑞稀はがんと頭を上げない。
「どうかお願いです! 僕と病院に行ってください!」
「瑞稀説明してくれ」
瑞稀の肩を晴人は揺さぶる。
「晴人、今はそんなことをしている場合じゃない。表に車を用意させた。すぐに病院に行くぞ。瑞稀くん、俺も一緒に行ってもいいかな?」
昴は膝をつき、瑞稀に話しかける。
「え……?」
瑞稀が頭を上げると、
「こう見えて俺、結構大きな企業の副社長だからさ、俺も一緒に行ったほうが何かの役に立つかもしれない。ね」
昴が微笑みながら瑞稀の背中を摩ると、自然と落ち着いてくる。
「はい!お願いします」
瑞稀が立ち上がると、3人は車が待つ正面玄関に急いだ。
千景に何かあったのかも!
瑞稀は慌てて電話に出る。
「はい成瀬です」
『よかった電話が繋がって。お母さん、ブランコに乗っていた千景くんが、持ち手から手を滑らせてしい、後むきに落ちてしまって、後頭部を切って血が出て今、救急車で病院に運ばれています』
瑞稀が電話をとるや否や、電話越しの保育士が早口で話した。
後頭部を切って出血!?
救急車で運ばれている!?
衝撃的なことすぎてスマホを持つ手が震え、落としてしまいそうになるのを両手で支える。
「ブランコから落ちて出血!? 出血の量は、出血量はどうなんですか!?」
『素人判断なのですが、出血量は多かったと…
…。大切なお子様をお預かりしていたのに、少し目を離した隙にこんなことになってしまい、本当に申し訳ございません!』
電話の向こうで頭を下げる姿がみえるような声で保育士が謝っているが、瑞稀にはそんな言葉は耳に入ってこない。
「千景は出血したら、なかなか血が止まらないとお伝えしてますよね。そのことは救急隊委員の人には伝えてもらってるんですか!?」
「もちろんです! そばで千景くんが怪我をした時、一番近くにいた保育士が千景くんについて行っていますが、お母さんも急いで病院に向かってください! 〇〇病院です。園長も……』
保育士が何か話を続けようとしたが、何も言わず瑞稀は通話を切った。
どうしよう! どうしよう!!
いますぐに病院に行かないといけないことは、頭ではわかっている。
だが千景が頭を切り出血するという大怪我をしたことでパニックになり、体が言うことを聞かず動けない。
どうしよう!
早く行かないと!!
だって千景は……!!
最悪の考えが頭に浮かび体が震え出し、瑞稀は両手で両腕を掴む。
「千景くんがブランコから落ちて出血したんだって!? 容態は、容態はどうなんだ?」
晴人が瑞稀に問いかけるが、晴人の声は瑞稀には届いていない。
「容態はどうなんだ? 出血したら、なかなか血が止まらないってどう言うこと?病院はどこなんだ? 瑞稀しっかりしろ!」
パニック状態の瑞稀の肩をガクンっと大きく揺さぶると、瑞稀はハッと正気を取り戻す。
そうだ! こんなことをしている場合じゃあない!
我に返った瑞稀は、晴人に向かって土下座をする。
「晴人さん、千景を助けられるのは、晴人さんしかいないかもしれないんです! だからどうかお願いです! 僕と一緒に病院に行ってくれませんか?どうかお願いです。この通りです!!」
瑞稀は床に額を擦り付け、晴人に懇願した。
「!? 瑞稀、それどう言うこと!?」
晴人はしゃがみ、瑞稀の肩を手で押し上げ、顔を顔を上げさせようとするが、瑞稀はがんと頭を上げない。
「どうかお願いです! 僕と病院に行ってください!」
「瑞稀説明してくれ」
瑞稀の肩を晴人は揺さぶる。
「晴人、今はそんなことをしている場合じゃない。表に車を用意させた。すぐに病院に行くぞ。瑞稀くん、俺も一緒に行ってもいいかな?」
昴は膝をつき、瑞稀に話しかける。
「え……?」
瑞稀が頭を上げると、
「こう見えて俺、結構大きな企業の副社長だからさ、俺も一緒に行ったほうが何かの役に立つかもしれない。ね」
昴が微笑みながら瑞稀の背中を摩ると、自然と落ち着いてくる。
「はい!お願いします」
瑞稀が立ち上がると、3人は車が待つ正面玄関に急いだ。
33
お気に入りに追加
688
あなたにおすすめの小説
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
春風の香
梅川 ノン
BL
名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。
母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。
そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。
雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。
自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。
雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。
3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。
オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。
番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!

【完結】君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、新たな恋を始めようとするが…
※カクヨムにも投稿始めました!アルファポリスとカクヨムで別々のエンドにしようかなとも考え中です!
カクヨム登録されている方、読んで頂けたら嬉しいです!!
番外編は時々追加で投稿しようかなと思っています!

キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。

僕の追憶と運命の人-【消えない思い】スピンオフ
樹木緑
BL
【消えない思い】スピンオフ ーオメガバース
ーあの日の記憶がいつまでも僕を追いかけるー
消えない思いをまだ読んでおられない方は 、
続きではありませんが、消えない思いから読むことをお勧めします。
消えない思いで何時も番の居るΩに恋をしていた矢野浩二が
高校の後輩に初めての本気の恋をしてその恋に破れ、
それでもあきらめきれない中で、 自分の運命の番を探し求めるお話。
消えない思いに比べると、
更新はゆっくりになると思いますが、
またまた宜しくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる