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再会 ⑦

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——カランカラン——

 店のドアが開き、かけられていたベルが鳴る。

「ああ山崎さん。いらっしゃい。何かお忘れですか?」

 店のオーナーが晴人を見て、不思議そうに言った。

「いえ、今はある人に会いに」

 そう言いながら晴人があたりを見回すと、晴人の方を見ていた瑞稀と目が合い手を振る。

 そう言ってから晴人は瑞稀の前に座った。

「注文はまだ? 俺はコーヒーにするけど、瑞稀はカフェオレでもいい? 昔、好きだったよね」

 目の前に晴人が座り、昔のように話しかけてくれ、好きなものまで覚えてえくれている。

「はい……」

「じゃあ……」
 と、晴人は自分のコーヒーと瑞稀のカフェオレを頼む。

 一気に昔に戻ったみたいで……。
 でもそれは幻だとわかっていて……。
 時間は確実にあの日から5年の月日が流れている。
 奥歯を噛み締め、膝の上に置いている両手に力を入れ、瑞稀は泣きそうになるのを我慢した。

「あの……お忙しいのに時間を割いていただいて、すみません」

 晴人の顔を見ることができず、瑞稀は下を向く。

「それは気にしないで。俺が時間をつくって欲しいって頼んだんだから……」

 多分晴人は瑞稀の方をしっかり見ながら言っていると、瑞稀は思った。
 だがどうしても瑞稀自身は罪悪感で顔を上げることができない。

「瑞稀……元気にしてた?」

 もう一度聞かれた。

「はい」

 俯き、膝の上で握る拳を見つづけながら瑞稀は答える。

「千景君は元気?」

「え!?」

 晴人の口から突然千景の名前が出てき、虚をつかれた瑞稀は頭を上げた。

「副社長から聞いたんだ。瑞稀には『千景君』っていう男の子がいるって」

ああ、内藤さんから聞いたんだ。

 できるなら晴人には千景のことは知られたくなかった。
 だが副社長内藤の秘書をしている晴人なら、千景のことは知っていてもおかしくない。

「はい、元気です」

 緊張で顔が引き攣りそうだが、晴人から目を逸らさないようにする。

「5歳だって?」

「はい。4月で6歳になります」

「そうなんだ。瑞稀に似て可愛いんだろうな」

「僕には似てないですよ。どちらかといえば……」

 そこまで言って、もう少しで『晴人さんにそっくりです』そう言いそうになり、瑞稀はハッとし口をつぐんだ。

「父親似?」

「……はい……」

「父親って、瑞稀が手紙に書いていた『好きな人』?」

「……」

 長い沈黙の後、

「はい……」

 答えた。
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