10 / 202
翌日 ③
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ドキドキと心臓が破裂しそうで、晴人さんにも聞かれてしまいそう。
でも決めたんだ。
晴人さんは僕にたくさんの「大好き」をくれた。
だから僕も晴人さんに、僕の「大好き」を伝えていくんだ…って。
ずっとずっと一緒にいたいから、大好きな気持ちは伝えていきたいって。
晴人の気配が瑞稀に近づいてくるのがわかる。
ドキドキが止まらない。
瑞稀がぎゅっと閉じている瞼に力を入れると、唇に柔らかなものがあたったのがわかった。
全身の神経が唇に集まり、血液が沸騰したようになる。
胸がドキドキし、幸せが体の中を駆け巡った。
ほんの一瞬あたっただけのキスなのに、瑞稀にはとても長く感じられる。
晴人がゆっくりと離れていけば、切なさで胸がいっぱいになる。
晴人の気配が遠のいていくのを感じると、もっと近くで感じたくなってくる。
身も心も晴人でいっぱいになりたい。
離れたくない。
瑞稀が潤んだ瞳で晴人を見ると、晴人は瑞稀の腰に手を回し、2人の体が密着するように瑞稀の体を自分の方へ引き寄せた。
「瑞稀…、口、開けて…」
艶っぽく囁かれると、いつもの瑞稀なら恥ずかしがって口を開けることなんて出来ないのに、今は晴人の言葉に促されるように口を開ける。
「いい子…」
晴人は瑞稀の後頭部に手を添えると、上から覆いかぶさるとように、瑞稀にキスをする。
それは先ほどのような軽いキスではない。
開いた瑞稀の口内に舌を滑り込ませ、舌と舌を絡め合わせる。
「ん……、ンン…」
うまく息ができない瑞稀からは、すぐに声が漏れ始め、無意識の内に、瑞稀も晴人の背中に腕を回す。
晴人が口内を隈なく感じるように舐め回すと、瑞稀の息が上がり、体の力が抜けていく。
とろけるような表情で、瑞稀は晴人に身体をもたれかかせる。
頭が真っ白になって晴人とのキス以外何も考えられない。
完全に力が入らなくなった瑞稀を、晴人が抱き上げると、そのまま寝室に向かい、ベッドに瑞稀をそっと下ろすと、
「抱きたい…」
瑞稀の耳元で囁く。
その声は瑞稀の頭に響き、全身を蕩けさせる。
瑞稀はコクンと頷くと、潤んだ瞳で晴人を見つめた。
これから晴人さんと、一つになるんだ…。
晴人に抱かれることが想像つかず、不安がないとは言い切れない。
だが、晴人の体温をもっと感じたい。
もっと触れていたい気持ちのほうが強かった。
「愛してるよ、瑞稀…」
晴人が瑞稀の額にキスをし、耳を甘噛みし、頬にキスをする。
キスが徐々に唇に近づくたび、瑞稀の鼓動は大きくなる。
そして、晴人が瑞稀の唇にキスをしようとした時、
———♫ ♩♬——
机に置いていた晴人のスマホが鳴った。
一瞬、晴人の動きが止まったが、すぐに晴人が終了をタップし、もう一度瑞稀にキスをしようとした時、
——♫♩♬——
スマホが鳴り、晴人は切ろうとした。
「晴人さん、待って」
晴人が切ってしまう前に、瑞稀が晴人のスマホに手を伸ばしスマホの画面を見ると、発信先は晴人が行っている研修先の病院からだ。
「晴人さん、病院からの電話です。緊急かも知れないので、電話に出られた方が…」
先ほどまで晴人に触れられていた瑞稀の身体は火照り、触って欲しくてたまらなかったが我慢した。
「…そうだね…」
晴人は残念そうに電話に出る。
「はい山崎です。……はい…。はい……。!!」
電話に出た晴人の目が見開き、そして悲しそうに瑞稀を見る。
「……、わかりました、すぐに行きます…」
そう言うと、電話を切った。
「瑞稀、ごめん。俺が担当している患者さんの容態が急変して…、呼び出しの電話だったんだ…」
「はい」
「せっかくの半年記念のお祝いなのに、こんな形で病院に出ないといけなくなってごめん…」
あまりにも晴人が苦しそうに言うので、瑞稀は晴人にしっかりと抱きついた。
「いいえ。晴人さんと2人で祝えたこと、本当にに嬉しかったですし、たくさんのサプライズもいただきました。だから晴人さんは、患者さんの命を助けに行ってください」
「ほんとにごめん…」
晴人は申し訳なさでいっぱいだ。
「そんな寂しそうな顔しないでください。僕、患者さんのためにがんばってる晴人さん、大好きです」
瑞稀は『よしっ!』と心の中で気合を入れると、晴人の頬にキスをした。
「あの…、晴人さんとのキス…気持ちよかったです…」
顔から火が出てしまったかと思うぐらい恥ずかしかったが、瑞稀は勇気を振り絞る。
「また…してくれます…か?」
晴人の反応が知りたくて、瑞稀はチラリと下から晴人を見上げると、晴人は右手で目を覆い、天上を仰いでいた。
「瑞稀、今、それは…」
「え?嫌でしたか?あの…僕、勝手に気持ち良くなって…ごめんなさい…。わっ!!」
急に瑞稀は晴人に抱き上げられた。
「俺も気持ちよかったし、やめたくなかった。瑞稀さえよければ、俺も瑞稀とキスしたい」
「ほんとですか!?」
僕1人気持ちよくなってたんじゃなくて、よかった。
瑞稀は嬉しくなって、晴人の額にキスをする。
「!!!!」
瑞稀から、こんなにキスをされるとは思ってなかった晴人は、目を丸くし、
「あ~、ずっと瑞稀といたいな…」
幸せを噛み締めるよように言うと、瑞稀をぎゅっと抱きしめた。
でも決めたんだ。
晴人さんは僕にたくさんの「大好き」をくれた。
だから僕も晴人さんに、僕の「大好き」を伝えていくんだ…って。
ずっとずっと一緒にいたいから、大好きな気持ちは伝えていきたいって。
晴人の気配が瑞稀に近づいてくるのがわかる。
ドキドキが止まらない。
瑞稀がぎゅっと閉じている瞼に力を入れると、唇に柔らかなものがあたったのがわかった。
全身の神経が唇に集まり、血液が沸騰したようになる。
胸がドキドキし、幸せが体の中を駆け巡った。
ほんの一瞬あたっただけのキスなのに、瑞稀にはとても長く感じられる。
晴人がゆっくりと離れていけば、切なさで胸がいっぱいになる。
晴人の気配が遠のいていくのを感じると、もっと近くで感じたくなってくる。
身も心も晴人でいっぱいになりたい。
離れたくない。
瑞稀が潤んだ瞳で晴人を見ると、晴人は瑞稀の腰に手を回し、2人の体が密着するように瑞稀の体を自分の方へ引き寄せた。
「瑞稀…、口、開けて…」
艶っぽく囁かれると、いつもの瑞稀なら恥ずかしがって口を開けることなんて出来ないのに、今は晴人の言葉に促されるように口を開ける。
「いい子…」
晴人は瑞稀の後頭部に手を添えると、上から覆いかぶさるとように、瑞稀にキスをする。
それは先ほどのような軽いキスではない。
開いた瑞稀の口内に舌を滑り込ませ、舌と舌を絡め合わせる。
「ん……、ンン…」
うまく息ができない瑞稀からは、すぐに声が漏れ始め、無意識の内に、瑞稀も晴人の背中に腕を回す。
晴人が口内を隈なく感じるように舐め回すと、瑞稀の息が上がり、体の力が抜けていく。
とろけるような表情で、瑞稀は晴人に身体をもたれかかせる。
頭が真っ白になって晴人とのキス以外何も考えられない。
完全に力が入らなくなった瑞稀を、晴人が抱き上げると、そのまま寝室に向かい、ベッドに瑞稀をそっと下ろすと、
「抱きたい…」
瑞稀の耳元で囁く。
その声は瑞稀の頭に響き、全身を蕩けさせる。
瑞稀はコクンと頷くと、潤んだ瞳で晴人を見つめた。
これから晴人さんと、一つになるんだ…。
晴人に抱かれることが想像つかず、不安がないとは言い切れない。
だが、晴人の体温をもっと感じたい。
もっと触れていたい気持ちのほうが強かった。
「愛してるよ、瑞稀…」
晴人が瑞稀の額にキスをし、耳を甘噛みし、頬にキスをする。
キスが徐々に唇に近づくたび、瑞稀の鼓動は大きくなる。
そして、晴人が瑞稀の唇にキスをしようとした時、
———♫ ♩♬——
机に置いていた晴人のスマホが鳴った。
一瞬、晴人の動きが止まったが、すぐに晴人が終了をタップし、もう一度瑞稀にキスをしようとした時、
——♫♩♬——
スマホが鳴り、晴人は切ろうとした。
「晴人さん、待って」
晴人が切ってしまう前に、瑞稀が晴人のスマホに手を伸ばしスマホの画面を見ると、発信先は晴人が行っている研修先の病院からだ。
「晴人さん、病院からの電話です。緊急かも知れないので、電話に出られた方が…」
先ほどまで晴人に触れられていた瑞稀の身体は火照り、触って欲しくてたまらなかったが我慢した。
「…そうだね…」
晴人は残念そうに電話に出る。
「はい山崎です。……はい…。はい……。!!」
電話に出た晴人の目が見開き、そして悲しそうに瑞稀を見る。
「……、わかりました、すぐに行きます…」
そう言うと、電話を切った。
「瑞稀、ごめん。俺が担当している患者さんの容態が急変して…、呼び出しの電話だったんだ…」
「はい」
「せっかくの半年記念のお祝いなのに、こんな形で病院に出ないといけなくなってごめん…」
あまりにも晴人が苦しそうに言うので、瑞稀は晴人にしっかりと抱きついた。
「いいえ。晴人さんと2人で祝えたこと、本当にに嬉しかったですし、たくさんのサプライズもいただきました。だから晴人さんは、患者さんの命を助けに行ってください」
「ほんとにごめん…」
晴人は申し訳なさでいっぱいだ。
「そんな寂しそうな顔しないでください。僕、患者さんのためにがんばってる晴人さん、大好きです」
瑞稀は『よしっ!』と心の中で気合を入れると、晴人の頬にキスをした。
「あの…、晴人さんとのキス…気持ちよかったです…」
顔から火が出てしまったかと思うぐらい恥ずかしかったが、瑞稀は勇気を振り絞る。
「また…してくれます…か?」
晴人の反応が知りたくて、瑞稀はチラリと下から晴人を見上げると、晴人は右手で目を覆い、天上を仰いでいた。
「瑞稀、今、それは…」
「え?嫌でしたか?あの…僕、勝手に気持ち良くなって…ごめんなさい…。わっ!!」
急に瑞稀は晴人に抱き上げられた。
「俺も気持ちよかったし、やめたくなかった。瑞稀さえよければ、俺も瑞稀とキスしたい」
「ほんとですか!?」
僕1人気持ちよくなってたんじゃなくて、よかった。
瑞稀は嬉しくなって、晴人の額にキスをする。
「!!!!」
瑞稀から、こんなにキスをされるとは思ってなかった晴人は、目を丸くし、
「あ~、ずっと瑞稀といたいな…」
幸せを噛み締めるよように言うと、瑞稀をぎゅっと抱きしめた。
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