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さよなら ③
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「晶!!!!」
後ろから急に名前を呼ばれ、晶は体をビクッとさせた。
あの声は……
「先…輩…?」
晶はゆっくりと後ろを振り返る。
神谷先輩だ‼︎
手に晶からの手紙を握りしめた神谷の姿が、晶の目に飛び込んできた。
どうしてここに⁉︎
考えるより先に、晶が走り出す。
「待って晶‼︎」
後ろから神谷が叫びなが、晶を追いかけてきて、その足音がどんどん晶に近づいてくる。
ダメだ!
追いつかれる!
「晶、待てよ‼︎」
一際大きな声で名前を呼ばれ、晶の足は止まった。
それは神谷に呪文をかけられたように、足が一歩も前に出ない。
「晶…この手紙…。どういうことだ…」
神谷は動けなくなった晶の目の前に来ると、手紙を晶の前に突きつけた。
神谷は困惑した瞳で、晶を見つめる。
「書いてある通りです。俺、先輩に嘘をつきました」
「…」
「先輩の恋人だった人は、ここに眠る薫で、俺ではないです。今まで先輩にも薫にも嘘をつき、騙して、ごめんなさい…」
こんな時なのに……
晶の脳裏には事故が起きる前、神谷と薫と晶の3人で過ごした時間や、偽物であっても神谷と過ごした恋人としての時間、肌を重ね合わせながら『好き』だと言えた時の幸せが、思い出されては消えていく。
さよならって自分でいっておきながら、面と向かったら、こんなことしか言えないなんて……
「だから俺、決めたんです。もう此処には帰ってこないって…。今まで騙し続けて、ごめんなさい…」
晶は神谷に深く頭を下げた。
後ろから急に名前を呼ばれ、晶は体をビクッとさせた。
あの声は……
「先…輩…?」
晶はゆっくりと後ろを振り返る。
神谷先輩だ‼︎
手に晶からの手紙を握りしめた神谷の姿が、晶の目に飛び込んできた。
どうしてここに⁉︎
考えるより先に、晶が走り出す。
「待って晶‼︎」
後ろから神谷が叫びなが、晶を追いかけてきて、その足音がどんどん晶に近づいてくる。
ダメだ!
追いつかれる!
「晶、待てよ‼︎」
一際大きな声で名前を呼ばれ、晶の足は止まった。
それは神谷に呪文をかけられたように、足が一歩も前に出ない。
「晶…この手紙…。どういうことだ…」
神谷は動けなくなった晶の目の前に来ると、手紙を晶の前に突きつけた。
神谷は困惑した瞳で、晶を見つめる。
「書いてある通りです。俺、先輩に嘘をつきました」
「…」
「先輩の恋人だった人は、ここに眠る薫で、俺ではないです。今まで先輩にも薫にも嘘をつき、騙して、ごめんなさい…」
こんな時なのに……
晶の脳裏には事故が起きる前、神谷と薫と晶の3人で過ごした時間や、偽物であっても神谷と過ごした恋人としての時間、肌を重ね合わせながら『好き』だと言えた時の幸せが、思い出されては消えていく。
さよならって自分でいっておきながら、面と向かったら、こんなことしか言えないなんて……
「だから俺、決めたんです。もう此処には帰ってこないって…。今まで騙し続けて、ごめんなさい…」
晶は神谷に深く頭を下げた。
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