『手紙を書いて、君に送るよ』  

葉月

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待ち伏せ ①

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翌日。
晶が学校に行こうと、マンションから出ると、
「先輩⁉︎」
神谷がマンション前で晶のことを待っていて、晶の顔を見るなり大股で近づいて来た。
「なんで昨日、メールの返信も、俺からの電話も出ないんだよ」
神谷は明らかに怒っている。
「昨日は…すぐに寝てしまって……」
「じゃあなんで既読スルー?」
「それは、多分先輩のところ開けたまま寝てしまってたからだと……」

本当に苦しい、嘘がバレバレな言い訳。
でも、本当に何て言えばいいかわからなかったから……

「…わかったよ…。顔色はもどったみたいだけど、体調は良くなった?」
神谷は納得していないようだが、その話は続けないでいてくれ、晶はほっとした。
「はい…」
「ならよかった……。なぁ晶…」
神谷が真剣な顔で晶を見る。

もしかして、昨日よりも色々思い出した?
嘘がバレた?

晶の中の不安が募る。

「俺、晶のこと…何があっても…信じてるから、隠し事はしないで欲しい…」
「‼︎」

!!!!
『何があっても…信じてるから、隠し事はしないで欲しい…』
それって…
その言い方って、
思い出したんですね、先輩。
何もかも……
思い出したから、
俺の嘘に気がついたから、
何があっても信じるなんて言ったんですね。
本当は『信じられない』の間違いじゃないですか?
この日が来てしまった。
俺、本当に薫の事、思い出して欲しかったんです。
でも、俺の嘘には気づいて欲しくなかった…
最低ですよね……

晶の目から涙が出そうになる。
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