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どうやって神谷と別れ、どうやって帰って来たのだろう…
そんなこともわからないまま、気がつくと晶は自分が住むマンションの前に立っていた。
多分、今、すごい顔色してると思う。
こんな顔、母さんに見られたら心配させてしまう…
できるだけ顔を合わせないようにしないと…
「ただいま…」
晶は母親になるべく顔を見られないように、ダイニングを横切ろうとした。
「おかえり、今日お爺ちゃんから『夏休み従兄弟の朝日くん来るから、晶も遊びにこないか?』って、電話があったんだけど……それより、晶どうしたの?顔色悪いわよ」
夕食を作っていた晶の母親が、料理の手を止めて晶に近づいてくる。
やっぱり気付かれた…
「大丈夫」
「でも…」
母親は心配そうに晶の顔を覗き込む。
これは、大丈夫って言い続けても信じてもらえないパターンだな……
「大丈夫だって。それより、爺ちゃんからの電話の話、聞かせてよ」
晶はあえて元気に振る舞い、話題を変えた。
「……本当に大丈夫?」
母親は尚も晶に聞く。
「母さんは心配しすぎ」
晶が微笑むと、母親は少し安心したようだ。
「それで、爺ちゃんはなんて?」
「晶、去年は受験で会えなかったから、お爺ちゃんもお婆ちゃんも寂しかったみたい。だから今年は少しでもいいから、顔見せて欲しいって」
そういえば、毎年夏休みは爺ちゃんの家にいってたもんな…
自然が多くて、あそこ好きなんだ。
あの星空見てたら、悩み事なんて、どうでもよくなってくるし……
「考えておくよ」
晶はそう言って自分の部屋に入っていった。
その日、神谷からLI○Eや着信があっても、何と返信すればいいか、
何を話せばいいか分からず、結局晶は、返信も折り返しの電話もしなかった。
そんなこともわからないまま、気がつくと晶は自分が住むマンションの前に立っていた。
多分、今、すごい顔色してると思う。
こんな顔、母さんに見られたら心配させてしまう…
できるだけ顔を合わせないようにしないと…
「ただいま…」
晶は母親になるべく顔を見られないように、ダイニングを横切ろうとした。
「おかえり、今日お爺ちゃんから『夏休み従兄弟の朝日くん来るから、晶も遊びにこないか?』って、電話があったんだけど……それより、晶どうしたの?顔色悪いわよ」
夕食を作っていた晶の母親が、料理の手を止めて晶に近づいてくる。
やっぱり気付かれた…
「大丈夫」
「でも…」
母親は心配そうに晶の顔を覗き込む。
これは、大丈夫って言い続けても信じてもらえないパターンだな……
「大丈夫だって。それより、爺ちゃんからの電話の話、聞かせてよ」
晶はあえて元気に振る舞い、話題を変えた。
「……本当に大丈夫?」
母親は尚も晶に聞く。
「母さんは心配しすぎ」
晶が微笑むと、母親は少し安心したようだ。
「それで、爺ちゃんはなんて?」
「晶、去年は受験で会えなかったから、お爺ちゃんもお婆ちゃんも寂しかったみたい。だから今年は少しでもいいから、顔見せて欲しいって」
そういえば、毎年夏休みは爺ちゃんの家にいってたもんな…
自然が多くて、あそこ好きなんだ。
あの星空見てたら、悩み事なんて、どうでもよくなってくるし……
「考えておくよ」
晶はそう言って自分の部屋に入っていった。
その日、神谷からLI○Eや着信があっても、何と返信すればいいか、
何を話せばいいか分からず、結局晶は、返信も折り返しの電話もしなかった。
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