『手紙を書いて、君に送るよ』  

葉月

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触れたくて、触れていて ②

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晶は神谷の瞳を見つめ、

「先輩、俺だけ見て…」

腕を伸ばし神谷の頬を両手で包む。

「松原……」
神谷は寂しげに揺れる晶の瞳を見て、眉をひそめ苦しそうな悲しそうな表情となった。

「松原、何を隠してる?」
「今は先輩に触れられたい。ただそれだけです…」
晶の瞳から涙が伝う。

一度だけでいい。
一度だけ。
だから…

「先輩、キスより先、してくれませんか?」

しっとりと濡れたような瞳で、晶は神谷を誘った。

「いい……のか?」

晶のその表情に身震いした神谷が聞く。

「教えてほしいんです。先輩に…。俺の初めて、全部…、先輩で塗りつぶして欲しいんです」

全部、全部、先輩の出埋め尽くして、
俺の記憶、先輩でいっぱいにしたい。
先輩が欲しい。
先輩が欲しい…

そのゴツゴツした手も、
それに似つかわしくない長い指も、
少し硬い髪も、逞しい腕も
広い背中も、
優しい瞳も…
全部、俺だけ向いてて欲しい。

欲張りだと分かってます。
いやってほど。
#十二分__じゅうにぶん__#に…
先輩が全てさらけ出していたのは、薫だけだってことも。
その優しい瞳で、愛おしそうに見つめていたのは、薫だけだってことも。
分かってます、先輩。
いつかその事を思い出す日が来るのでしょうか?
全て思い出して欲しい、、
思い出して欲しくない。
俺はわがままで卑怯です。

晶は神谷の瞳を見つめながらTシャツを脱ぎ、神田のに手を取り、あるところを触らせる。

「‼︎‼︎」

「先輩、今、誰も触ったことのない俺の乳首ここ触れてみてどうですか?」

神谷は晶から目が離せなくなり、
「おかしくなりそうだ」
生唾を飲む。 

それを聞くと晶は嬉しそうに微笑み、神谷の首に腕を回して抱きつくと、

「おかしくなって、先輩。…俺が何も考えられなくなるぐらい、抱いてくれませんか?」

耳元で囁いた。
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