23 / 67
映画のチケット
しおりを挟む
「え…。さすがに、それは俺、してないと思う……」
「先輩食べてましたよ。俺のポテト、全部…奪い取るように」
「もしポテト食べたかったら、注文するする時、単品で買うと思うし…」
「ですよね。普通そうしますよね。俺も何回もそう言ってお願いしたんですけど、全然聞いてくれなかったじゃないですか‼︎」
「じゃあ、俺、本当に松原のポテト……」
「そうです‼︎奪って嬉しそうに食べてました‼︎」
「ごめん…」
しゅんとする神谷が可愛くて、晶は笑いそうになるのを、必死で堪える。
我慢だ。
笑ったら、先輩の性格上、またしゅんとするから。
俺と薫はバーガーセットだけ。
先輩はいつもバーガーのセットと、単品でもう一つバーガーを頼むんだ。
それで何故か薫、先輩、俺の順番でカウンターに座り食べてたよな。
速攻食べ終わる先輩は、毎回俺のポテトを『ちょーだい』って、笑顔で言うから…
あげてしまうんだ。
本当は俺、ポテト好きだから先に食べてもいいんだけど、先輩に『ポテトちょーだい』って言われたくて、毎回、俺がポテト手につけず置いていたの、知ってましたか?
「それで、今日は食べないんですか?おれのポテト」
「…食べて…いいのか?」
「どうぞ。俺もそのつもりでしたから」
晶は神谷に自分のポテトを差し出す。
「ありがとう」
嬉しそうに微笑むと、神谷はポテトを受け取り……
「一本お返し」
「‼︎」
驚く晶の口の中にポイッとポテトを放り込んだ。
あ、前と一緒だ。
先輩、前も俺がポテトをあげたら『一本お返し』って、ら俺の口の中にポテトを放り込んで…
覚えてた?
それとも癖?
「あ、それでさ、この前の映画のチケットなんだけど…」
「…」
映画のチケット。
その話が出ると、胸がチクリとする。
「明日土曜だろ?だからさ、明日一緒に観に行かないか?」
「え?」
「だから、映画…一緒にいかないか?…」
「…」
返事に困り晶が黙り込むと、
「デートだよ、デート。デートしようって言ってんの」
いつもより声を少し大きくして言う。
「え⁉︎待っ……‼︎声が大きいですって」
周りに聞こえてないか、キョロキョロ周囲を見渡しながら、晶が神谷の口を押さえる。
「ひふほ?ひははひほ?」
「はい?」
晶に口を押さえられているので、神谷はうまく喋れない。
「ははら……」
神谷がまた何か喋ろうとし、
「ひゃッ‼︎」
押さえている晶の掌を、ペロリと舐めた。
へ、変な声出た‼︎
晶はまた慌てて辺りを見回す。
大丈夫だ。
誰もこっちを見てない。
気が付かれてなかった…
ほっと胸をひと撫でする。
「先輩‼︎舐めないでくださいよ‼︎」
晶が小声で怒る。
「で、デートの待ち合わせ何時にする?」
神谷はまったく気にしていない。
むしろ少し嬉しそうで…
「…デート…、本当にするんですか?」
晶がおずおず聞くと、
「当たり前じゃん。俺たち付き合ってるんだし」
「そうですけど…」
「休みの日ぐらいは、松原独り占めしたいって思うだろう。普通」
「‼︎」
『今更何を言う』という風に神谷が晶を見るので、晶は赤面し顔を俯かせる。
なにそれ‼︎
急にそんなこと言われたら、
嬉しくて、恥ずかしくて、どうにかなりそうだ。
「な、いいだろ?」
「…」
「いいって言ってくれないと、また掌舐めるけどいい?それとも首にしようかな……」
「‼︎‼︎ダメです‼︎絶対‼︎」
俯いていた晶が、ガバッと頭を上げる。
「じゃあ、何時待ち合わせ?」
「10時に…駅前で…」
顔を赤くしたまま晶が答えると、神谷は本当に嬉しそうに笑った。
「先輩食べてましたよ。俺のポテト、全部…奪い取るように」
「もしポテト食べたかったら、注文するする時、単品で買うと思うし…」
「ですよね。普通そうしますよね。俺も何回もそう言ってお願いしたんですけど、全然聞いてくれなかったじゃないですか‼︎」
「じゃあ、俺、本当に松原のポテト……」
「そうです‼︎奪って嬉しそうに食べてました‼︎」
「ごめん…」
しゅんとする神谷が可愛くて、晶は笑いそうになるのを、必死で堪える。
我慢だ。
笑ったら、先輩の性格上、またしゅんとするから。
俺と薫はバーガーセットだけ。
先輩はいつもバーガーのセットと、単品でもう一つバーガーを頼むんだ。
それで何故か薫、先輩、俺の順番でカウンターに座り食べてたよな。
速攻食べ終わる先輩は、毎回俺のポテトを『ちょーだい』って、笑顔で言うから…
あげてしまうんだ。
本当は俺、ポテト好きだから先に食べてもいいんだけど、先輩に『ポテトちょーだい』って言われたくて、毎回、俺がポテト手につけず置いていたの、知ってましたか?
「それで、今日は食べないんですか?おれのポテト」
「…食べて…いいのか?」
「どうぞ。俺もそのつもりでしたから」
晶は神谷に自分のポテトを差し出す。
「ありがとう」
嬉しそうに微笑むと、神谷はポテトを受け取り……
「一本お返し」
「‼︎」
驚く晶の口の中にポイッとポテトを放り込んだ。
あ、前と一緒だ。
先輩、前も俺がポテトをあげたら『一本お返し』って、ら俺の口の中にポテトを放り込んで…
覚えてた?
それとも癖?
「あ、それでさ、この前の映画のチケットなんだけど…」
「…」
映画のチケット。
その話が出ると、胸がチクリとする。
「明日土曜だろ?だからさ、明日一緒に観に行かないか?」
「え?」
「だから、映画…一緒にいかないか?…」
「…」
返事に困り晶が黙り込むと、
「デートだよ、デート。デートしようって言ってんの」
いつもより声を少し大きくして言う。
「え⁉︎待っ……‼︎声が大きいですって」
周りに聞こえてないか、キョロキョロ周囲を見渡しながら、晶が神谷の口を押さえる。
「ひふほ?ひははひほ?」
「はい?」
晶に口を押さえられているので、神谷はうまく喋れない。
「ははら……」
神谷がまた何か喋ろうとし、
「ひゃッ‼︎」
押さえている晶の掌を、ペロリと舐めた。
へ、変な声出た‼︎
晶はまた慌てて辺りを見回す。
大丈夫だ。
誰もこっちを見てない。
気が付かれてなかった…
ほっと胸をひと撫でする。
「先輩‼︎舐めないでくださいよ‼︎」
晶が小声で怒る。
「で、デートの待ち合わせ何時にする?」
神谷はまったく気にしていない。
むしろ少し嬉しそうで…
「…デート…、本当にするんですか?」
晶がおずおず聞くと、
「当たり前じゃん。俺たち付き合ってるんだし」
「そうですけど…」
「休みの日ぐらいは、松原独り占めしたいって思うだろう。普通」
「‼︎」
『今更何を言う』という風に神谷が晶を見るので、晶は赤面し顔を俯かせる。
なにそれ‼︎
急にそんなこと言われたら、
嬉しくて、恥ずかしくて、どうにかなりそうだ。
「な、いいだろ?」
「…」
「いいって言ってくれないと、また掌舐めるけどいい?それとも首にしようかな……」
「‼︎‼︎ダメです‼︎絶対‼︎」
俯いていた晶が、ガバッと頭を上げる。
「じゃあ、何時待ち合わせ?」
「10時に…駅前で…」
顔を赤くしたまま晶が答えると、神谷は本当に嬉しそうに笑った。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【BL】記憶のカケラ
樺純
BL
あらすじ
とある事故により記憶の一部を失ってしまったキイチ。キイチはその事故以来、海辺である男性の後ろ姿を追いかける夢を毎日見るようになり、その男性の顔が見えそうになるといつもその夢から覚めるため、その相手が誰なのか気になりはじめる。
そんなキイチはいつからか惹かれている幼なじみのタカラの家に転がり込み、居候生活を送っているがタカラと幼なじみという関係を壊すのが怖くて告白出来ずにいた。そんな時、毎日見る夢に出てくるあの後ろ姿を街中で見つける。キイチはその人と会えば何故、あの夢を毎日見るのかその理由が分かるかもしれないとその後ろ姿に夢中になるが、結果としてそのキイチのその行動がタカラの心を締め付け過去の傷痕を抉る事となる。
キイチが忘れてしまった記憶とは?
タカラの抱える過去の傷痕とは?
散らばった記憶のカケラが1つになった時…真実が明かされる。
キイチ(男)
中二の時に事故に遭い記憶の一部を失う。幼なじみであり片想いの相手であるタカラの家に居候している。同じ男であることや幼なじみという関係を壊すのが怖く、タカラに告白出来ずにいるがタカラには過保護で尽くしている。
タカラ(男)
過去の出来事が忘れられないままキイチを自分の家に居候させている。タカラの心には過去の出来事により出来てしまった傷痕があり、その傷痕を癒すことができないまま自分の想いに蓋をしキイチと暮らしている。
ノイル(男)
キイチとタカラの幼なじみ。幼なじみ、男女7人組の年長者として2人を落ち着いた目で見守っている。キイチの働くカフェのオーナーでもあり、良き助言者でもあり、ノイルの行動により2人に大きな変化が訪れるキッカケとなる。
ミズキ(男)
幼なじみ7人組の1人でもありタカラの親友でもある。タカラと同じ職場に勤めていて会社ではタカラの執事くんと呼ばれるほどタカラに甘いが、恋人であるヒノハが1番大切なのでここぞと言う時は恋人を優先する。
ユウリ(女)
幼なじみ7人組の1人。ノイルの経営するカフェで一緒に働いていてノイルの彼女。
ヒノハ(女)
幼なじみ7人組の1人。ミズキの彼女。ミズキのことが大好きで冗談半分でタカラにライバル心を抱いてるというネタで場を和ませる。
リヒト(男)
幼なじみ7人組の1人。冷静な目で幼なじみ達が恋人になっていく様子を見守ってきた。
謎の男性
街でキイチが見かけた毎日夢に出てくる後ろ姿にそっくりな男。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
今日も、俺の彼氏がかっこいい。
春音優月
BL
中野良典《なかのよしのり》は、可もなく不可もない、どこにでもいる普通の男子高校生。特技もないし、部活もやってないし、夢中になれるものも特にない。
そんな自分と退屈な日常を変えたくて、良典はカースト上位で学年で一番の美人に告白することを決意する。
しかし、良典は告白する相手を間違えてしまい、これまたカースト上位でクラスの人気者のさわやかイケメンに告白してしまう。
あっさりフラれるかと思いきや、告白をOKされてしまって……。良典も今さら間違えて告白したとは言い出しづらくなり、そのまま付き合うことに。
どうやって別れようか悩んでいた良典だけど、彼氏(?)の圧倒的顔の良さとさわやかさと性格の良さにきゅんとする毎日。男同士だけど、楽しいし幸せだしあいつのこと大好きだし、まあいっか……なちょろくてゆるい感じで付き合っているうちに、どんどん相手のことが大好きになっていく。
間違いから始まった二人のほのぼの平和な胸キュンお付き合いライフ。
2021.07.15〜2021.07.16
泣き虫な俺と泣かせたいお前
ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。
アパートも隣同士で同じ大学に通っている。
直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。
そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる