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俺のスパダリはギャップがすごい ー立花蓮sideー
椿の気持ち ③
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「結局、俺のわがままで彼女を振り回し、傷つけてしまっていた。だから、この先一人で生きていってもいい。自分を偽らなく生きていきたいって思ったんだ」
蓮はここまで話して、初めて椿と向き合えるような気がした。
「お兄ちゃんが家に帰ってこなくなったのは、そのせいなの?」
「大学を卒業して、働き出した頃、付き合っていた男性がいて。その人と一緒にいるところを父さんに見られたんだ。それで、問い詰められて…。話したけど、わかってもらえなくてね。それで家を出たんだ」
ここまで蓮は話すと、一旦言葉を止めた。
そして一呼吸おいてから、また口を開く。
「椿はどうして欲しい?」
「え?」
「俺と離れて暮らすのは嫌か?別々に暮していても、たまに実家に帰ってきて欲しい?女性と付き合って欲しい?ゲイをやめて欲しい?それとも、こんな俺とはもう関わりたくない?」
「!!!!」
椿は蓮の質問に息を飲む。
卑怯な質問だ。
椿が困る、悲しい思いをする質問ばかり。
椿の中で、俺への思いも、葛藤もわかってる。
でも、これだけは譲れない。
俺は真司と一緒に生きていきたい。
それが全て。
俺の前から、大切な椿や家族が離れていっても、それでも真司と一緒にいたいんだ。
「お兄ちゃんはずるいよ……」
椿がポツリと言った。
「お兄ちゃんはずるい。そんな事聞いたら、私が困るってわかってて言ってる…」
「…」
「そんなお兄ちゃんの気持ちを、私がわかるっていうのも知ってる」
「うん」
蓮は小さく答える。
「お兄ちゃんと一緒に暮らしたい。でもそれが無理なら、時々帰ってきて欲しい。でも……」
「でも?」
「お兄ちゃんに無理して女性と付き合って欲しい思わないし、ゲイであることをやめて欲しいって思ったことはない。何よりお兄ちゃんと関わりたくないなんて絶対思わない‼︎そんな事思ってるんだったら、家出なんて、こんなことしない‼︎」
椿の目から涙が頬を伝うが、それでも椿は蓮を見続ける。
「ただ私は、前みたいにお兄ちゃんと一緒にいたいし、たまにお兄ちゃんとデートしたり、お家にお呼ばれして、手作り料理を食べたい。たまには実家でみんな一緒にご飯食べたいし…。それに……」
そこで一度、椿は言葉を切った。
「?」
「それに、お兄ちゃんの恋人さんに、私のこと『俺の大事な妹です』って、紹介して欲しい…」
「‼︎椿……」
まさか椿がそんなこと思ってたなんて……
俺はただ、椿はゲイである俺の事が理解できなくて、実家にも寄り付かなくなったことを気にしていると思ってた。
でも、真司に自分のことを、きちんと紹介して欲しかったって思ってたなんて…
自分だけ、蚊帳の外に追いやられて寂しかったのか?
自分の話を聞いて欲しかったのもあるけれど、俺からきちんと話をして欲しかっただけなのか?
昔みたいに、一緒に過ごしたかっただけなのか?
椿は歳の割にしっかりしている。
配慮や考慮もできる。
俺はそれに甘えていただけだったのか……
否定されるのが怖くて、言えなかったのは俺の方だったのか……
「ごめん、椿…。俺が間違っていたよ」
蓮が呟くと、
「私はずっとこれが言いたかったの……」
椿は嬉しそうに微笑んだ。
蓮はここまで話して、初めて椿と向き合えるような気がした。
「お兄ちゃんが家に帰ってこなくなったのは、そのせいなの?」
「大学を卒業して、働き出した頃、付き合っていた男性がいて。その人と一緒にいるところを父さんに見られたんだ。それで、問い詰められて…。話したけど、わかってもらえなくてね。それで家を出たんだ」
ここまで蓮は話すと、一旦言葉を止めた。
そして一呼吸おいてから、また口を開く。
「椿はどうして欲しい?」
「え?」
「俺と離れて暮らすのは嫌か?別々に暮していても、たまに実家に帰ってきて欲しい?女性と付き合って欲しい?ゲイをやめて欲しい?それとも、こんな俺とはもう関わりたくない?」
「!!!!」
椿は蓮の質問に息を飲む。
卑怯な質問だ。
椿が困る、悲しい思いをする質問ばかり。
椿の中で、俺への思いも、葛藤もわかってる。
でも、これだけは譲れない。
俺は真司と一緒に生きていきたい。
それが全て。
俺の前から、大切な椿や家族が離れていっても、それでも真司と一緒にいたいんだ。
「お兄ちゃんはずるいよ……」
椿がポツリと言った。
「お兄ちゃんはずるい。そんな事聞いたら、私が困るってわかってて言ってる…」
「…」
「そんなお兄ちゃんの気持ちを、私がわかるっていうのも知ってる」
「うん」
蓮は小さく答える。
「お兄ちゃんと一緒に暮らしたい。でもそれが無理なら、時々帰ってきて欲しい。でも……」
「でも?」
「お兄ちゃんに無理して女性と付き合って欲しい思わないし、ゲイであることをやめて欲しいって思ったことはない。何よりお兄ちゃんと関わりたくないなんて絶対思わない‼︎そんな事思ってるんだったら、家出なんて、こんなことしない‼︎」
椿の目から涙が頬を伝うが、それでも椿は蓮を見続ける。
「ただ私は、前みたいにお兄ちゃんと一緒にいたいし、たまにお兄ちゃんとデートしたり、お家にお呼ばれして、手作り料理を食べたい。たまには実家でみんな一緒にご飯食べたいし…。それに……」
そこで一度、椿は言葉を切った。
「?」
「それに、お兄ちゃんの恋人さんに、私のこと『俺の大事な妹です』って、紹介して欲しい…」
「‼︎椿……」
まさか椿がそんなこと思ってたなんて……
俺はただ、椿はゲイである俺の事が理解できなくて、実家にも寄り付かなくなったことを気にしていると思ってた。
でも、真司に自分のことを、きちんと紹介して欲しかったって思ってたなんて…
自分だけ、蚊帳の外に追いやられて寂しかったのか?
自分の話を聞いて欲しかったのもあるけれど、俺からきちんと話をして欲しかっただけなのか?
昔みたいに、一緒に過ごしたかっただけなのか?
椿は歳の割にしっかりしている。
配慮や考慮もできる。
俺はそれに甘えていただけだったのか……
否定されるのが怖くて、言えなかったのは俺の方だったのか……
「ごめん、椿…。俺が間違っていたよ」
蓮が呟くと、
「私はずっとこれが言いたかったの……」
椿は嬉しそうに微笑んだ。
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Madame gray-01様✨
こちらの作品も一気読み!ありがとうございます🥹❤️
はじめは真司のお話だけで終わる予定でしたが、スパダリだってかっこいいばかりでなく、悩んだり失敗したりするところもあると思い蓮サイドを書き始めました☺️
私的には蓮、本当に真司大好きで可愛いと思っています☺️
これからも真司と蓮を見守ってやってください❤️❤️
気持ち③のお話が2つあります
確認をお願いします
お知らせ、ありがとうございました(❃´◡`❃)
確認させていただきました◡̈︎*♚︎‧*˚✩︎‧₊˚
今後とも、よろしくお願いいたします。
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読んでくださり、ありがとうございます‼︎
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