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俺のスパダリはギャップがすごい ー立花蓮sideー

椿の気持ち ①

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真司‼︎

蓮は出て行く真司を追いかけようと、ドアのノブを握る。
すると、
「お兄ちゃん‼︎」
涙声の椿の声が部屋に響き、その声で蓮はピタッと動きを止めた。
「お兄ちゃん…私を置いて、真司さん…追いかけるの?」
椿の問いかけに、蓮はゆっくりと椿の方を振り返る。
「椿。俺は椿の事が大事だよ。そして真司も大切な人なんだ。今真司を追いかけないと、もう二度と俺のところへ帰ってきてくれないかもしれない。だからお願いだ椿。追いかけさせて欲しい」
蓮は悲しみと不安でいっぱいだ。

「…………。わかった…………」
しばらく黙っていた椿が口を開いたかと思うと、
「やっぱりお兄ちゃんも、私の話なんて聞いてくれないお父さんと一緒なんだ。私が話を聞いて欲しいって言っても、結局聞いてくれない。どうせ、私の言うことなんて、お父さんやお兄ちゃんにとっては、取るに足らない事なんだ…」
「椿、それは違う。椿の話もちゃんと聞く。だけど、今は待って欲しい…」
蓮は椿の手を取る。
「…お兄ちゃん。私、本当にお兄ちゃんが私の話聞いてくれるのを、本当に待ったよ。でも、私が何回連絡しても、全然聞いてくれなかったじゃん…」
「それは……」

それは椿の言う通りだ…
俺は、椿から目を背けて続けていた。
椿が連絡くれても、返事をしなかった。
『椿になんて言えばいいかわからない…』と、自分に言い訳して…

「ごめん、椿。今度こそ、ちゃんと聞くから…」
蓮が椿の顔を覗き込んだが、椿は顔を背け、
「どうせ、その場しのぎの言葉なんていらない」
蓮に握られた手を、椿は振り払い、持ってきていた大きな鞄を手に持ち、出て行こうとする。
「椿、待って……」
蓮は咄嗟に椿の手を掴もうとしたが、椿の手を掴めず、代わりに椿が持っていた鞄に手が当たり鞄が床に落ち、中身が散らばった。

‼︎‼︎
これは……

「椿……、これ……」
床に散らばった椿の荷物は、
数着の着替えと、学校の制服。
そして、勉強道具……

「もしかして、家出……、してきたのか?」
「…。お兄ちゃんには関係ないでしょ…」
散らばった荷物拾うと、椿は乱暴に鞄に詰め込む。
「関係ある!」
荷物をかき集める椿の手を蓮が止めるが、椿はその手を振りはおうとした。
「ないってば‼︎…離してよ‼︎」
椿が泣きそうになりながら、捕まれ振り解けない蓮の手を、払おうとする。
「椿‼︎」
いつも温和な蓮が大きな声を出すと、椿 体をびくりとし、蓮はそんな椿を抱きしめた。
「椿、俺が悪かった。話もちゃんと聞く。だから出ていくな」
「……」
「義母さんは、この事知ってるのか?」
椿の頭を撫でながら、蓮が優しく問いかけると、椿は首を横に振る。
「そっか…。まずは、椿の話を聞いてからだな」
その言葉を聞いて、椿が頷くと、
「お兄ちゃん…。ごめんなさい…」
そういうと、蓮の胸に椿は顔を埋めた。
「じゃあ、コーヒー煎れるから、ソファーに座って待ってて」
「うん…」
椿は素直に、蓮の言うことを聞き、
「お兄ちゃん……。真司さん、迎えに行ってあげて…」
蓮の顔を見上げ、そう呟いた。
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