上 下
95 / 217
俺のスパダリはギャップがすごい ー立花蓮sideー

ディナー ⑧

しおりを挟む
そんな沈黙の時間が少しすぎた頃、

「…話って…」

はじめに口を切ったのは佐々木だった。

蓮はカラカラになった喉を潤すように、グラスに入っていたワインを一気に飲み干し、深呼吸をし…………


「…実は、わたしは……ゲイなんです…」

「⁉︎⁉︎」

息を呑み、声を失うほど驚く佐々木の気配を感じる。

「本当はこのまま佐々木さんに言わずに、友達になれたらな…と思っていたのですが、日が経つにつれ、時間が経つにつれ、言っていないことが苦しくなってきたんです…」

「…」

「もし、佐々木さんが嫌な思いをされたのでしたら、もう連絡もしません…でも…もしも…知人として接してくださるのなら…また、連絡させてもらってもいいですか?」

これで最後かもしれない。
佐々木さんはこのまま部屋を出ていくかもしれない。
最後はちゃんと佐々木さんの姿を見ておきたいのに…

顔をあげようとするができず、俯き伏せた蓮の目からは涙が流れる。


「……」

また、長い沈黙が流れる。

……………。
言わなきゃ…よかった。

蓮がそう思った時、

「…立花さんがゲイだからって、今の立花さんが変わるわけじゃないですか。俺は立花さんさえ良ければ、連絡を取り合って、またこうしてお食事したいです‼︎」

「⁉︎⁉︎」
長い沈黙があったため拒絶される思っていた蓮だったが、思いもよらない佐々木の言葉に驚き、頭を上げ佐々木を見た。

「当たり前じゃないですか‼︎俺は、今のままの立花さんがいいんです」


『今のままの立花さんがいいんです』

言ってよかった。
どんな言葉より嬉しかった。
ありのままの自分を受け入れてもらえて、
そのままでいいと言われて……

蓮の目には涙が溢れ出し、その涙は滑らかな頬をつたい服を濡らしていく。

!!

急に蓮は佐々木に抱きしめられた。
それはまるで、不安しかなかった蓮の心を優しく包み込むように…

「…いいん…ですか…?」
蓮が恐る恐る聞くと、
「もちろんです‼︎また料理…してくれますか?」
佐々木も嬉しそうに微笑む。

嘘でも、
社交辞令でもない。
佐々木さんの本心を伝えてくれていた。

「また…食べてください」
蓮はは佐々木の胸の中で泣いていた。

そして、蓮の気持ちが落ち着くまで、佐々木はギッュっと蓮を抱きしめ続けてくれた。

ひとしきり泣いた蓮もも元の蓮に戻り、その後、晩だけで2人でワインを何本も開けるほど飲んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

守護獣騎士団物語 犬と羽付き馬

葉薊【ハアザミ】
BL
一夜にして養父と仲間を喪い天涯孤独となったアブニールは、その後十年間たったひとり何でも屋として生き延びてきた。 そんなある日、依頼を断った相手から命を狙われ気絶したところを守護獣騎士団団長のフラムに助けられる。 フラム曰く、長年の戦闘によって体内に有害物質が蓄積しているというアブニールは長期間のケアのため騎士団の宿舎に留まることになる。 気障な騎士団長×天涯孤独の何でも屋のお話です。

僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。 「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」 高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。 そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに… その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。 ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。 かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで… ハッピーエンドです。 R18の場面には※をつけます。

【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】

彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。 「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

強制結婚させられた相手がすきすぎる

よる
BL
※妊娠表現、性行為の描写を含みます。

処理中です...