上 下
76 / 217
俺のスパダリはギャップがすごい ー立花蓮sideー

佐々木 恐縮②

しおりを挟む
そして、説明し終わると、佐々木が真剣な顔で

「俺に何ができるかわかりませんが…なにかお礼、できませんか?」
と、蓮に聞く。
「お礼なんて、そんな…」

昨日、色々話して、
もっとこの人といっしょにいたい、
このまま別れてしまったら、きっと佐々木さんは俺のことなんて忘れてしまう。
だから酔い潰れてくれたらな…
と、思ってしまったのにお礼だなんて…

蓮は咄嗟に手を横に振った。

「でもなにか…ここまでしていただいて、なにもしないなんて…俺が、何かしいたいです‼︎」
蓮が断っても、佐々木は食い下がる。

佐々木さんの気持ちを利用してしまう形になってしまったけど……

「…じゃあ、もし佐々木さんがよろしければ、たまに私の料理を食べていただけませんか?」

今度は蓮が恐る恐る佐々木に聞くと、佐々木は少し驚いた顔をした。

やっぱり、変だよな。
親しくもないのに…
それでも、俺の料理をあんなに美味しそうに食べてくれる人に、また俺の料理を食べてもらいたい。

「実は私、料理が趣味なんですが、食べてくれる人がいなくて…もしよろしければ、佐々木さんのいい時に食べていただけませんか?」

こんなこと、今までいったことがなかったので、蓮は耳まで真っ赤になってしまった。

佐々木が蓮の手を握りながら、
「もちろん‼︎喜んで‼︎こちらからおねがいしたいぐらいです!」
前のめりに返事をした。
「あ、ありがとう、、ございいます…」
佐々木のの返事と手を握られたことに赤面しつつ、蓮はそして嬉しそうに笑う。

「では、佐々木さんのいい日、メールで教えていただけませんか?…これが私の名刺です。ここにアドレスと名前書いてあります」
蓮はイタズラっぽく笑いながら、佐々木に名刺を渡す。

多分、私ことは覚えてないでしょうね…
あんなに泥酔してたら。
でも、これがきっかけで覚えてもらえたら…
だけど、この名刺には会社の名前も書かれている。
どうか会社の名前で引かれませんように…

蓮の仕事場は世界的に有名な会社。
そのためか、それだけで自分より出来ると思われるのか…特に男性からは引かれる。
だけど、佐々木には引かれたくない。

「立花さん、こちらで働かれてるんですか?」
「ええ…できない社員ですけど…。ここにメールいただけたら、用意しておきますので、家にきてただませんか?」

蓮は引かれないように、心の中で願った。
すると、佐々木の顔はパァーと明るくなり、
「あ!はい‼︎お願いします。えーっと俺の名刺は…」
嬉しそうに微笑んだ。

そして蓮は佐々木と名刺交換をして、部屋から出た。

よかった…引かれなくて。
よかった、また次も会える!

蓮の心は久しぶりに暖かくなった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

嫁にまつわるエトセトラ

香野ジャスミン
BL
ある休日、一本の電話からはじまる。高校卒業と同時に実家をでてからずっと帰ってきていなかった長男からだった。『嫁を連れて帰る』連れてきたのは一人の男性。ん?それは、藤咲家の家族一人一人と関りをもつようになってくるのだが、それはまだ、誰も知らない。兄弟2人、それぞれの恋の話。 兄― 藤咲 宝典 × 桐嶋 蒔    弟― 桐嶋 朔 × 藤咲 央の話。 ※「ムーンライトノベルズ」でも公開中

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

【完結】サルビアの育てかた

朱村びすりん
恋愛
「血の繋がりなんて関係ないだろ!」  彼女を傷つける奴は誰であろうと許さない。例えそれが、彼女自身であったとしても──  それは、元孤児の少女と彼女の義理の兄であるヒルスの愛情物語。  ハニーストーンの家々が並ぶ、ある田舎町。ダンスの練習に励む少年ヒルスは、グリマルディ家の一人息子として平凡な暮らしをしていた。  そんなヒルスが十歳のとき、七歳年下のレイという女の子が家族としてやってきた。  だが、血の繋がりのない妹に戸惑うヒルスは、彼女のことをただの「同居人」としてしか見ておらず無干渉を貫いてきた。  レイとまともに会話すら交わさない日々を送る中、二人にとってあるきっかけが訪れる。  レイが八歳になった頃だった。ひょんなことからヒルスが通うダンススクールへ、彼女もレッスンを受けることになったのだ。これを機に、二人の関係は徐々に深いものになっていく。  ダンスに対するレイの真面目な姿勢を目の当たりにしたヒルスは、常に彼女を気にかけ「家族として」守りたいと思うようになった。  しかしグリマルディ家の一員になる前、レイには辛く惨い過去があり──心の奥に居座り続けるトラウマによって、彼女は苦しんでいた。  さまざまな事件、悲しい事故、彼女をさいなめようとする人々、そして大切な人たちとの別れ。  周囲の仲間たちに支えられながら苦難の壁を乗り越えていき、二人の絆は固くなる──  義兄妹の純愛、ダンス仲間との友情、家族の愛情をテーマにしたドラマティックヒューマンラブストーリー。 ※当作品は現代英国を舞台としておりますが、一部架空の地名や店名、会場、施設等が登場します。ダンススクールやダンススタジオ、ストーリー上の事件・事故は全てフィクションです。 ★special thanks★ 表紙・ベアしゅう様 第3話挿絵・ベアしゅう様 第40話挿絵・黒木メイ様 第126話挿絵・テン様 第156話挿絵・陰東 愛香音様 最終話挿絵・ベアしゅう様 ■本作品はエブリスタ様、ノベルアップ+様にて一部内容が変更されたものを公開しております。

【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】

彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。 「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」

そばにいられるだけで十分だから僕の気持ちに気付かないでいて

千環
BL
大学生の先輩×後輩。両片想い。 本編完結済みで、番外編をのんびり更新します。

しのぶ想いは夏夜にさざめく

叶けい
BL
看護師の片倉瑠維は、心臓外科医の世良貴之に片想い中。 玉砕覚悟で告白し、見事に振られてから一ヶ月。約束したつもりだった花火大会をすっぽかされ内心へこんでいた瑠維の元に、驚きの噂が聞こえてきた。 世良先生が、アメリカ研修に行ってしまう? その後、ショックを受ける瑠維にまで異動の辞令が。 『……一回しか言わないから、よく聞けよ』 世良先生の哀しい過去と、瑠維への本当の想い。

処理中です...