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俺のスパダリはギャップがすごい ー立花蓮sideー
プロローグ
しおりを挟む俺は自分が嫌いだ。
この容姿も、このスペックも……
「蓮、別れよう…」
蓮に背中を向けたまま、つい先ほどまで蓮と食事をしていた男からの出た言葉がこれだった。
覚悟していた言葉だったが、はっきり言われると蓮の心がキュッと冷たくなる。
「好きな人ができたんだ」
知ってる。
気付いてたよ。
「蓮は強いから俺がいなくても大丈夫だ。だけど彼女には俺がついていないとダメなんだ…」
半分当たってて、
半分間違ってる。
彼女には彼が必要かも…
でも、俺だって弱いところもあるんだ。
「それに、蓮には俺よりもっといいやつがいると思う」
それを決めるのは、俺じゃない?
「それに……」
まだ何かあるの?
「蓮といると、自信がなくなるんだ。蓮は仕事も人間関係もうまくやっていってる。頭の回転だっていいし、ずば抜けてイケメンだ。それに比べて、俺はどう?仕事も人間関係もうまくいってなくて、蓮と歩けば俺の嫌なところが浮き彫りになる……。もう、それが耐えられないんだ」
ほら、また言われてしまった。
その言葉。
好きな人ができたのも本当だと思うけど、もともと俺といるのが嫌だったんだ…
あんなに『愛してる』っていってくれてても、最後はいつも同じ。
『もう、それが耐えられないんだ……』
「わかった…」
ずっと下を向きながら静かに男の言葉を聞いてきた蓮が、すっと顔を上げて言った。
「‼︎」
「俺は本当に好きだった。でも、いまお互いの気持ちが違う方向を向いていて、一緒にいる事が苦痛なんだったら、別れるしかないね…」
「蓮…それでいいのか?」
蓮の言葉に驚いた男が、蓮に聞き返す。
よくないに決まってる。
泣いてすがれば、貴方の気持ちが変わるのか?
でも、あんな風に思われながら一緒にいるなんて、そんな残酷な事をこれから先もしないといけないのか?
もう………疲れた…………
「よくないけど、仕方ないって思ってる」
男は、はぁ~とため息をつき、
「蓮は最後までかっこいいんだな…」
そんな言葉を遺して、蓮の前からいなくなった。
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