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第五弾
すれ違う2人 ①
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蓮、今日も帰りが遅いな…
真司の母親と蓮が二人のマンションで会う日は、真司の母親が姉の家に泊まることになっていた姪の誕生会の次の日となった。
あの話以降、より蓮の仕事が忙しくなり帰宅時間が遅い日が続くようになっていた。
朝は朝で真司が起きる前には、もうすでに起きていて書斎にこもっていた。
真司はそんな蓮のため、蓮が家ではゆっくり出来るようにと、掃除、洗濯、そしてそれほど得意でない料理もレシピと睨めっこしながら作り、蓮の帰りを待っていた。
真司が夕食を作りながら蓮を待っていると、蓮から電話がはいった。
「もしもし蓮。どうした?」
「あ、真司。今日なんだけど、帰りが遅くなりそうなんだ。だから、先に寝ててくれないか?」
昨日も一昨日も、そんな事言ってて…
「帰りが遅くなるのはわかったけど、こんなに連日で体は大丈夫か?」
「今はちょっと…このままは帰れそうになくて…ごめん…」
電話の向こうから聞こえる蓮の声は暗い。
「そんな、謝らなくていいよ。俺は蓮が無理さえしてなければ、それでいい。だから、俺のことは気にしなくていいよ…」
「…」
「仕事大変なんだな…無理すんなよ」
「…うん…ありがとう…おやすみ」
「おやすみ」
真司からの、おやすみを聞くと蓮は電話を切った。
最近の蓮の様子はおかしい。
以前の蓮は朝食は取らなかったが、真司と住むようになってからは、どんなに忙しくても真司と朝食を食べるようにしていたのに、最近は真司が朝食を食べる頃にはもう仕事に出かけるし、帰りが遅くなりそうな時は、もっと早くに真司に連絡をしていたが、最近はその連絡をしてくる時間もだんだん遅くなってきていた。
そして何より、真司は蓮に自分は避けられていると感じるようになっていた。
つぎ二人が同じ休みの時に、一度聞いてみよう。
真司は一人夕食を済ませ、
蓮に先に寝ててと言われたが、入浴後リビングのソファーで映画を観ながら蓮を待っていると、真司はそのままソファーで眠ってしまっていた。
翌日、目覚めるとソファーで寝てしまっていたはずの真司はベットにいた。
あれ?俺たしか、ソファーで映画観ながら蓮の帰りを待っていたのに、どうしてここに?
それに…
‼︎‼︎
ベットそばにある時計を見ると、もう9時半になっていた。
アラーム‼︎
どうして止まってる‼︎
慌てて枕元にあった携帯を取り上げ、ディスプレイに表示された日付をみると、
あ、今日、仕事休みの日だ…
よかった…
ところで蓮は…
あたりを見回すが、
いるはずないか…
今日、蓮は仕事だもんな。
『おはよう』も『いってらっしゃい』できなかったな。
少し寂しい思いをしながら、真司はキッチンへと向かった。
キッチンのテーブルにはきちんと真司の朝食が用意されていて、そのそばにメモが置いてあった。
『今日も仕事で遅くなりそうなので、会社近くにあるビジネスホテルに泊まります。蓮』
どう言うことだ?
仕事で遅くなるのは蓮の仕方ないし、蓮の体が心配なだけで他はなんとも思っていない。
家まで帰るのが体的にしんどいのであれば、言って欲しかった。
それに、どうしてそんな大事な事を直接俺に言うんじゃなくて、メモなんかで…
とっさに真司は蓮に理由を聞こうと携帯を手にしたが、携帯を持ったその手を下ろした。
今は仕事中だ。
蓮の仕事が落ち着いた頃に電話しよう…
でも、それはいつ…?
モヤモヤした気持ちのまま、真司はしばらくソファーに座って天井を見つめた。
真司の母親と蓮が二人のマンションで会う日は、真司の母親が姉の家に泊まることになっていた姪の誕生会の次の日となった。
あの話以降、より蓮の仕事が忙しくなり帰宅時間が遅い日が続くようになっていた。
朝は朝で真司が起きる前には、もうすでに起きていて書斎にこもっていた。
真司はそんな蓮のため、蓮が家ではゆっくり出来るようにと、掃除、洗濯、そしてそれほど得意でない料理もレシピと睨めっこしながら作り、蓮の帰りを待っていた。
真司が夕食を作りながら蓮を待っていると、蓮から電話がはいった。
「もしもし蓮。どうした?」
「あ、真司。今日なんだけど、帰りが遅くなりそうなんだ。だから、先に寝ててくれないか?」
昨日も一昨日も、そんな事言ってて…
「帰りが遅くなるのはわかったけど、こんなに連日で体は大丈夫か?」
「今はちょっと…このままは帰れそうになくて…ごめん…」
電話の向こうから聞こえる蓮の声は暗い。
「そんな、謝らなくていいよ。俺は蓮が無理さえしてなければ、それでいい。だから、俺のことは気にしなくていいよ…」
「…」
「仕事大変なんだな…無理すんなよ」
「…うん…ありがとう…おやすみ」
「おやすみ」
真司からの、おやすみを聞くと蓮は電話を切った。
最近の蓮の様子はおかしい。
以前の蓮は朝食は取らなかったが、真司と住むようになってからは、どんなに忙しくても真司と朝食を食べるようにしていたのに、最近は真司が朝食を食べる頃にはもう仕事に出かけるし、帰りが遅くなりそうな時は、もっと早くに真司に連絡をしていたが、最近はその連絡をしてくる時間もだんだん遅くなってきていた。
そして何より、真司は蓮に自分は避けられていると感じるようになっていた。
つぎ二人が同じ休みの時に、一度聞いてみよう。
真司は一人夕食を済ませ、
蓮に先に寝ててと言われたが、入浴後リビングのソファーで映画を観ながら蓮を待っていると、真司はそのままソファーで眠ってしまっていた。
翌日、目覚めるとソファーで寝てしまっていたはずの真司はベットにいた。
あれ?俺たしか、ソファーで映画観ながら蓮の帰りを待っていたのに、どうしてここに?
それに…
‼︎‼︎
ベットそばにある時計を見ると、もう9時半になっていた。
アラーム‼︎
どうして止まってる‼︎
慌てて枕元にあった携帯を取り上げ、ディスプレイに表示された日付をみると、
あ、今日、仕事休みの日だ…
よかった…
ところで蓮は…
あたりを見回すが、
いるはずないか…
今日、蓮は仕事だもんな。
『おはよう』も『いってらっしゃい』できなかったな。
少し寂しい思いをしながら、真司はキッチンへと向かった。
キッチンのテーブルにはきちんと真司の朝食が用意されていて、そのそばにメモが置いてあった。
『今日も仕事で遅くなりそうなので、会社近くにあるビジネスホテルに泊まります。蓮』
どう言うことだ?
仕事で遅くなるのは蓮の仕方ないし、蓮の体が心配なだけで他はなんとも思っていない。
家まで帰るのが体的にしんどいのであれば、言って欲しかった。
それに、どうしてそんな大事な事を直接俺に言うんじゃなくて、メモなんかで…
とっさに真司は蓮に理由を聞こうと携帯を手にしたが、携帯を持ったその手を下ろした。
今は仕事中だ。
蓮の仕事が落ち着いた頃に電話しよう…
でも、それはいつ…?
モヤモヤした気持ちのまま、真司はしばらくソファーに座って天井を見つめた。
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