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第五弾

蓮の過去 ③

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「それで、もう喧嘩したのかよ…」

真司が急に泊まらせてくれと連絡したにもかかわらず、野宮は嫌な顔せず真司を家に泊めてくれた。
「ちょっと…な…」
まさか、あの状況を野宮に言えるわけでもなく、真司は言葉を濁した。
「まー、仲良くが一番だけど、喧嘩なんてよくあることだしな。飛び出したのが彼女じゃなくてよかったじゃないか。女の子が泊まるところがないってなったら、危なくて仕方ない」
「ありがとう」
特に理由をきくわけでもなく、そっとしておいてくれた野宮に真司は感謝する。
「でも、野宮どこかにいくつもりだったんじゃないか?電話した時、外にいた感じがしたんだけど」
「仕事の後飲みにいこうと思ってたんだぞ!呑み損ねたから、佐々木、お前付き合えよ」
野宮は真司の前にビールとコンビニで買ったであろう、おつまみを置いた。

その日は遅くまで二人で飲んだ。
野宮はザルで真司がべろべろになっていても、顔色一つ変えず飲んでいた。

次の日真司は休みだったが、野宮は仕事だった。

「居たかったらいつまでもいていいけどな」
そう言いながら、野宮は真司に鍵を渡す。
「彼女と仲直りできたら、すぐに帰るんだぞ。鍵は仕事の時に返してくれたらいいから」
「ありがとう。この穴埋めは必ずする」
「期待してる」
笑顔で野宮が出勤していった。

合鍵。
蓮に初めて合鍵を貰った時のことを思い出すと、無性に蓮に会いたくなる。

蓮、椿ちゃんと話、ちゃんとできたかな…
真司は蓮からの連絡を待った。



お昼を過ぎた頃、蓮から連絡が入った。
『もしもし、真司。昨日はごめん…』
蓮と離れていたのは1日と経っていないのに、もう何日もあっていないような気がした。
「いいよ。ところで椿ちゃんは?」
『さっき帰った』
「話はできた?」
『一生懸命話したんだけど、納得してくれたかは…真司…帰ってきてくれる?』
「早く帰りたい」
「じゃあ待ってる」

真司は野宮に感謝の気持ちをメールして、蓮との家に帰っていった。
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