41 / 217
第五弾
蓮の過去 ①
しおりを挟む
蓮と一緒に住むようになったからと言って、二人の休みが重なる事はなかなかなく、二人とも片方が帰ってくるまでの間、
蓮は趣味の料理を、
真司は料理と資格の勉強と、思い思いに過ごしていた。
それでも家で待ってくれている人がいて、
『おはよう』『おやすみ』『いってきます』『おかえり』…
いろんな挨拶ができる時間が幸せだった。
久々の二人揃っての休日。
ソファーに座る蓮の後ろから真司が抱きしめるように座り、まったり過ごしていると玄関ホールからの呼び出し音が鳴った。
「俺みてくるよ」
蓮が立ち上がりインターホンの画面を見る。
「椿⁉︎」
椿って誰だろう…
聞いた事ない名前だな…
真司も画面を見に行くと、高校生ぐらいだろうか、可愛い女の子が立っていた。
「椿、どうしてここにいるんだ?」
「連絡したけど、返信なかったじゃん」
「だからって…はぁ…いいよ。あがっておいで」
蓮はため息をつきつつ、すんなりと女の子をマンション内へ入れた。
蓮の知り合い?
でもこんなに歳の離れた知り合いなんて…
「蓮、あの子って…」
真司が言いかけた時、部屋のインターホンが鳴った。
「ごめん…真司、後でちゃんと話すから…」
蓮が玄関のドアを開けに行き、部屋に招き入れた。
「どうして返事くれなかったのよ」
「忙しくて…ごめん」
廊下を歩きながら話す2人の声が聞こえる。
ガチャと真司がいるキッチンの部屋のドアが開く。
「あ…」
蓮と一緒に来た可憐な少女は、真司の姿を見て驚いていた。
「お客様がいらしたんですね。はじめまして、私は立花椿と言います。立花蓮の妹です」
椿はニッコリと笑いながら、真司に自己紹介をした。
蓮の妹…?
妹がいたなんて、聞いたことない…
「あ、はじめまして、俺は…」
「こちら佐々木真司さん。今お付き合いさせてもらってる」
真司が自己紹介をする前に、蓮が真司を紹介した。
「お付き合いしてるって?」
椿は眉間にシワをよせて、蓮に聞き返す。
「そのままだよ。それに、一緒に住んでる」
「‼︎」
椿の顔が驚き、目が見開かれる。
「そんなの聞いてない‼︎」
急に椿が声を荒立てる。
「椿、落ち着いて…」
蓮は椿の肩に手を乗せようとしたが、その手を払い除ける。
「お兄ちゃん、佐々木さんは…男性だよ。そんなのおかしいよ‼︎」
‼︎‼︎
改めて面と向かい言い放たれると、真司の気持ちがズキンと痛んだ。
「私が知ってるお兄ちゃんが今まで付き合ってた人達は、みんな女の人だったじゃない…なのに、どうして⁉︎」
‼︎‼︎
今まで付き合ってた人は、みんな女性⁉︎
真司は岩で頭を殴られたような衝撃を受けた。
「椿…本当はもうわかってるんじゃないか?」
蓮は悲しそうな顔をして、椿と同じ目の高さにし、語りかける。
「わからない‼︎」
涙目になりながら、椿が叫ぶ。
「今まで彼女と仲良くしてたじゃない‼︎お兄ちゃん、付き合う人は女性だよ‼︎じゃないと…じゃないと…」
叫んだかと思うと椿は泣き崩れ、
そんな椿を蓮が優しく抱きしめた。
「椿…わかってもらえるとは思ってないよ。でも、俺はゲイだし、佐々木さんを愛してる。これは事実だよ」
「でも…それじゃあ…」
「俺が実家に帰れなくなったって、椿とはこうして会えるだろう?」
‼︎
実家に帰れなくなる⁉︎
「もう、嘘をついて生きるのは嫌なんだ…悪いお兄ちゃんでごめんな…」
蓮は椿の頭を撫でながら、まるで小さい子供に語りかけるように話した。
昔、蓮には彼女がいた?
俺と一緒にいたら、実家に帰れなくなる?
真司は今知らされた過去の蓮の話に、衝撃とショックで打ちひしがれる。
泣きじゃくる椿を抱きしめながら、蓮は真司を見上げ、
「真司、話を聞いて欲しい…」
「…ちょっと…出てくる…」
「真司!待ってくれ‼︎」
蓮の静止も聞かず、何も考えられなくなっていた真司はふらふらと部屋をでた。
蓮は趣味の料理を、
真司は料理と資格の勉強と、思い思いに過ごしていた。
それでも家で待ってくれている人がいて、
『おはよう』『おやすみ』『いってきます』『おかえり』…
いろんな挨拶ができる時間が幸せだった。
久々の二人揃っての休日。
ソファーに座る蓮の後ろから真司が抱きしめるように座り、まったり過ごしていると玄関ホールからの呼び出し音が鳴った。
「俺みてくるよ」
蓮が立ち上がりインターホンの画面を見る。
「椿⁉︎」
椿って誰だろう…
聞いた事ない名前だな…
真司も画面を見に行くと、高校生ぐらいだろうか、可愛い女の子が立っていた。
「椿、どうしてここにいるんだ?」
「連絡したけど、返信なかったじゃん」
「だからって…はぁ…いいよ。あがっておいで」
蓮はため息をつきつつ、すんなりと女の子をマンション内へ入れた。
蓮の知り合い?
でもこんなに歳の離れた知り合いなんて…
「蓮、あの子って…」
真司が言いかけた時、部屋のインターホンが鳴った。
「ごめん…真司、後でちゃんと話すから…」
蓮が玄関のドアを開けに行き、部屋に招き入れた。
「どうして返事くれなかったのよ」
「忙しくて…ごめん」
廊下を歩きながら話す2人の声が聞こえる。
ガチャと真司がいるキッチンの部屋のドアが開く。
「あ…」
蓮と一緒に来た可憐な少女は、真司の姿を見て驚いていた。
「お客様がいらしたんですね。はじめまして、私は立花椿と言います。立花蓮の妹です」
椿はニッコリと笑いながら、真司に自己紹介をした。
蓮の妹…?
妹がいたなんて、聞いたことない…
「あ、はじめまして、俺は…」
「こちら佐々木真司さん。今お付き合いさせてもらってる」
真司が自己紹介をする前に、蓮が真司を紹介した。
「お付き合いしてるって?」
椿は眉間にシワをよせて、蓮に聞き返す。
「そのままだよ。それに、一緒に住んでる」
「‼︎」
椿の顔が驚き、目が見開かれる。
「そんなの聞いてない‼︎」
急に椿が声を荒立てる。
「椿、落ち着いて…」
蓮は椿の肩に手を乗せようとしたが、その手を払い除ける。
「お兄ちゃん、佐々木さんは…男性だよ。そんなのおかしいよ‼︎」
‼︎‼︎
改めて面と向かい言い放たれると、真司の気持ちがズキンと痛んだ。
「私が知ってるお兄ちゃんが今まで付き合ってた人達は、みんな女の人だったじゃない…なのに、どうして⁉︎」
‼︎‼︎
今まで付き合ってた人は、みんな女性⁉︎
真司は岩で頭を殴られたような衝撃を受けた。
「椿…本当はもうわかってるんじゃないか?」
蓮は悲しそうな顔をして、椿と同じ目の高さにし、語りかける。
「わからない‼︎」
涙目になりながら、椿が叫ぶ。
「今まで彼女と仲良くしてたじゃない‼︎お兄ちゃん、付き合う人は女性だよ‼︎じゃないと…じゃないと…」
叫んだかと思うと椿は泣き崩れ、
そんな椿を蓮が優しく抱きしめた。
「椿…わかってもらえるとは思ってないよ。でも、俺はゲイだし、佐々木さんを愛してる。これは事実だよ」
「でも…それじゃあ…」
「俺が実家に帰れなくなったって、椿とはこうして会えるだろう?」
‼︎
実家に帰れなくなる⁉︎
「もう、嘘をついて生きるのは嫌なんだ…悪いお兄ちゃんでごめんな…」
蓮は椿の頭を撫でながら、まるで小さい子供に語りかけるように話した。
昔、蓮には彼女がいた?
俺と一緒にいたら、実家に帰れなくなる?
真司は今知らされた過去の蓮の話に、衝撃とショックで打ちひしがれる。
泣きじゃくる椿を抱きしめながら、蓮は真司を見上げ、
「真司、話を聞いて欲しい…」
「…ちょっと…出てくる…」
「真司!待ってくれ‼︎」
蓮の静止も聞かず、何も考えられなくなっていた真司はふらふらと部屋をでた。
10
お気に入りに追加
499
あなたにおすすめの小説
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
パパと息子はとっても仲良し♡♡♡ ~可愛がりすぎには要注意???
そらも
BL
何事もほどほどが一番というお話です♪(絶対違う)
とあるお家に暮らしている、ご近所でも美形親子と評判のとってもとっても仲の良いパパさんと息子くんの日常の一コマ♡
ガチガチの父(四十代)と息子(高校生)の近親相姦のえろ話となっておりますので、どうぞご注意してくださいませ。激甘ラブラブな親子です♡
※ R-18エロもので、♡(ハート)喘ぎ満載です。
※ 素敵な表紙は、pixiv小説用フリー素材にて、『やまなし』様からお借りしました。ありがとうございます!
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる